終わりに(警察刷新に関する緊急提言)

終わりに(結びにかえて)

提言を終えるに当たって、以下の三つのことを指摘しておきたい。

第一に、一連の不祥事を見るにつけ、国民に顔を向けず、組織の「上」ばかり見ている警察幹部が増えつつあるのではないかとの危惧を抱かずにはいられない。全警察職員は国家と国民に奉仕するとの原点に立ち戻ってほしい。困り苦しむ国民を助け、不安を抱く人々に安心を与えることこそ警察の真髄であり、また、警察職員の喜びの源泉でもあるはずである。雨の日も風の日も管内を徒歩でパトロールする「お巡りさん」の優しさと、悪に対峙していささかもひるむことのない「刑事」の強さこそ、国民が警察職員に求めるものであろう。そして、この両者を根っこで支えるものは、国民のために尽くすというひたむきな使命感にほかならないことを今こそ肝に銘じるべきである。

第二に、社会と市民生活の安全の確保は、国民と警察が責任を共有しながら自発的に協同してこそ初めて創出可能なものである。

私たちが提言の中で示した処方箋の中には、警察の人的、物的体制の強化のように国民の側の負担を伴うもの、警察署評議会(仮称)のように能動的に社会にかかわり責任を果たそうとする国民の存在を必要とするものなどが含まれている。

約5年前の阪神・淡路大震災の発生に際して、負傷した家族を振り切り、壊れた自分の家などを打ち捨てて直ちに職場に駆けつけた警察職員が、全国から集まったボランティアと手を携えて、傷つき又は助けを求める市民を救ったことは、私たちの記憶の中に鮮烈な感動を残した。あのときに国民と警察が共有した連帯感こそが今最も求められているものである。

この提言が契機となって、社会と市民生活の安全に国民が果たすべき責任についても議論が深められることを強く期待したい。

第三に、私たちはこの提言において警察が再び国民から信頼を回復するための基本的な処方箋を盛り込んだつもりであるが、こうして議論している間にも、時代の変化とそれに対応する国民の新たな意見、要望が現れており、警察は今後とも、これらを鋭敏に把握した上で、解決策を提示することを求められている。

ここで大切なことは、警察が受け身にならず、自ら改革案を提示できるだけの自発性と意欲を持ち続けることであろう。国民もまた、警察の信頼回復に向けた取組みを監視するとともに、必要な支援を行っていく必要がある。

一旦失われた信頼を回復するには、気の遠くなるような努力が必要とされるが、幹部が率先垂範して困難を克服し、私たちの示した提言に魂を入れるとともに、時代の要請にこたえる新たな改革案を国民の前に提示し、国民に愛され信頼される組織となるため最大限の努力をすることを強く要求する。

最後に、私たちは、今日もなお第一線現場で、多くの警察職員が、国民生活の安全のため、いろいろな困難を乗り越え、黙々と職務に精励していることを信じる。警察の刷新による国民の信頼の回復は、このような第一線現場における努力が一段と広まり、深まることによってはじめて、達成され得るものであることはいうまでもない。そのためには、警察職員が努力をすれば報われ、社会から感謝と尊敬を受け、誇りと使命感を持って仕事ができるような環境を実現させる必要があり、政府は、報償制度の充実その他の待遇改善にも努めるべきであろう。警察職員が誇りと使命感を持ち、一層国民に奉仕する意欲が湧き上がることにより、国民が安心して暮らせる安全な社会が実現されるのである。

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