国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成21年10月29日(木)12:00~12:23

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  それでは、皆さんと国家公安委員長との間の、国家公安委員長が欠ける時は、公安委員が代わりに出るという約束に基づいて記者会見を行いたいと思います。

今日の公安委員会の出席状況でありますけれども、大臣は国会対応、それから佐藤委員は国際会議に出張中で、5人中4人の公安委員が出席いたしました。案件については、本日、皆さんのお手許に配られてるとは思いますが、この内、平成21年度第2四半期監察の実施状況について、これは振り込め詐欺対策の推進状況でありまして、一言で言えば、予防に関してはまずまず、しかし取締りや犯行ツールの遮断といったところではまだ多少の問題があるという内容だったと思います。それから、今年の春から全都道府県警察本部に設置されております「子ども女性安全対策班」の4月から9月までの間における活動状況について、検挙や指導状況の件数が報告されました。凶悪・重大犯罪の公訴時効等の在り方に関する法制審議会への諮問については、10月28日、法務大臣が法制審議会に対し、公訴時効の在り方の法整備の要綱骨子を示すよう諮問したことについてであります。千葉県松戸市松戸における女性殺人並びに放火事件についても報告がございました。更に、一般道路における速度規制に係る「交通規制基準」の改正及びより合理的な交通規制の推進については、一般道路の速度制限に係る部分を改定するということであります。後は、主要行幸啓になる第29回全国豊かな海づくり大会中央大会に両陛下が御臨席になる、その警衛警備等が報告されました。この案件については、特段、議論はなかったと思っております。

問  長官にお伺いしたいんですが、子ども女性安全対策班の関係なんですが、4月から始められて半年経って、指導警告件数も結構な数に上ってると思うんですが、子どもが被害に遭う事件を防ぐために、今後、例えばどのような取組みをされていくのか、お聞かせ下さい。

答  (長官)御案内のとおり、この対策班というのは、今年の4月に各都道府県警察に設置したわけでありますけれども、このことによって、これまで十分ではなかった、重大事案の前兆とみられる声かけ、つきまとい等の段階で行為者を特定して、警告、検挙等の措置を講じるといった先制・予防的活動が強化された、これが一番重要な点ではないかと思います。対策班設置後6ヶ月を経過した9月末現在の活動状況をみると、着実に活動実績を積み重ねつつある状況と認識しております。今後、国民の目に見える成果を挙げるということが非常に大事でありますので、警察庁としましては、装備資機材等を更に整備するとともに、対策班が行う活動のノウハウを更に積み上げていき、より効率的かつ効果的な運用に努めてまりたいと思います。他方、この対策班が効果的な活動を行うためには、国民の皆様からの情報提供が不可欠であると思います。声かけやつきまとい等、犯罪に至らない事案であっても、警察としては警告等の対応を取りますので、子どもや女性に不安を与える行為の情報につきましては、国民の皆様の方から積極的な提供をお願いしたいと思いますし、また同時に、警察としても、この対策班の存在に関する広報について、更に努力をすることが必要ではないかと思います。

問  長官にお尋ねします。暴力団についてなんですが、先ごろ、指定暴力団である京都の会津小鉄会のトップが京都府警によって詐欺で逮捕されたんですけれども、この組織は、長官がかねて仰ってる山口組弘道会の影響下にあると言われております。今回の会津小鉄会のトップ逮捕というのは、そういう弘道会対策の一環とお考えでしょうか。

答  (長官)御案内のとおり、山口組の中枢組織である弘道会の取締りに当たり、警察としては、その傘下組織のみならず、同会の強い影響下にある他の暴力団や、関係企業、周辺者についても取締りを徹底する必要があります。今回の京都府警察における検挙については、六代目山口組若頭でもある弘道会会長が、被疑者である六代目会津小鉄会会長の後見人となっているということも視野に入れたものであると考えています。

問  長官にお聞きします。薬物の関係なんですけれども、先般、先週末から今週の頭にかけまして、芸能界で二つの事件の求刑があったんですが、いずれも一年六月ということで求刑が出て、公判のやり取りを見てますと、薬物に対する親和性といいますか、ハードルの低さみたいなのが少し伺えるんですけれども、芸能界からの薬物の一掃を目指すという、そのお立場から改めて御所見をお願いします。

答  (長官)著名な芸能人による薬物事犯というのは、以前も申し上げましたけれども、社会に与える影響が大きく、特に青少年に対する悪影響が懸念されるところです。今回の一連の報道ぶりや反響の大きさを見まして、改めて、芸能界から薬物を一掃する取組みが重要であると認識いたしました。警察といたしましては、今後も薬物事犯の取締りを徹底していく考えであります。また、芸能界におきましては、警視庁から講師を招いて薬物乱用防止研修会を実施するなど、薬物一掃へ向けた取組みが行われておりますが、これを更に広げて、社会全体で薬物乱用防止の機運を高める必要があり、マスコミの皆様の御協力をいただきながら、より強く国民に薬物乱用の危険性、有害性を訴えてまいりたいと考えております。

問  長官にお聞きしたいんですけれども、先週の本部長会議の訓示で、国内の犯罪組織と海外の犯罪組織が連携しており、犯罪のグローバル化が急速に進んでいるという問題を言われましたけれども、警察としては、具体的にどのような所に捜査の力点を今後置いて、犯罪のグローバル化を阻止しようとされるのか、その辺について御所見をお聞きします。

答  (長官)外国人組織犯罪については、これまで二国間とか特定の地域に限定されている、いわゆるトランスナショナルといいますか、国際的な犯行形態という認識であったわけですが、現在の状況は、犯罪の関連場所、波及する地域が地球的規模、すなわちグローバルに拡散し、犯行主体も多国籍化しているという方向に移行しているという認識をしています。このような犯罪のグローバル化によって、証拠収集や被疑者の追跡など捜査の対象が世界中に拡散し、捜査の困難性が更に増大していくものと懸念しています。したがいまして、捜査に当たっては、強盗、窃盗等の表見的事件処理に終始せず、背景捜査を徹底をすることにより、背後にある外国人犯罪組織のネットワークや犯罪インフラまで解明、解体することが重要ではないかと考えております。この新しい脅威に対してもっと戦略的な戦いをしていく、それに切り替えていくということをしませんと十分な対処が出来ないという意識を持っております。

問  吉田委員にお伺いします。こういった形で公安委員の方が、公の場でご説明なりご発言なさるのは多分初めてなんだと思うんですが、受け止めと言いますか、感慨をお話していただけるんでしたらお伺いしたいのですが。

答  (委員)私共公安委員会は50年位、こういう形での記者会見というのはやってなかったと思いますんで、そういう意味では異例の事態だと思うんですが、政権交代に伴い記者会見もいろいろと変更がありました。その中で、私共は委員長と一緒に協議いたしまして、今日が初めてなんですけども、委員長が国会対応のため出席できないということで、代わりに私が来たわけです。記者会見の在り方自体、私も長い間記者をやっていたので、皆さん方の意見を尊重してやった方がいいということは、委員長には申し上げました。いろんな経緯がありまして、他の省庁には珍しいとは思うんですが、長官が陪席するという形になったので、皆さん方のニーズに少しは応えられるようになったのかなという感想を持っております。私は質問する側に40何年前にいたんですが、答えるのは今日が初めてなんで緊張しておりますので、どうぞお手柔らかにお願いします。

問  長官に質問したいんですが、この間、警視庁と近県の県警で痴漢防止対策で電車内での防犯カメラの設置ということを事業者に要請したんですけども、プライバシーの問題もありますが電車内での防犯カメラの設置の意義、効果などをお聞かせ下さい。

答  (長官)まず、去る26日に開催されました電車内痴漢対策首都圏官民会議におきまして共同宣言がなされるなど、官民が協働した取組みが着実に進められているということ対して、評価できると私どもは考えております。また、警察においても首都圏警察が一体となって特別チームを投入し、徹底した検挙を図っておりますし、着実に成果が上がりつつあるのではないかと思っております。御指摘の電車内での防犯カメラの設置ということにつきましては、これまでなかった新しい取組みであり、設置されることによる犯罪の抑止効果はあるものと考えております。鉄道事業者において電車内への防犯カメラの設置を積極的に検討していただくことは大変意義のあることであります。いずれにしましても、この機会に卑劣な痴漢を撲滅しなければいけないと考えております。防犯カメラの設置を始め様々な取組みを官民一体となって強力に推進すると共に、警察庁としましては首都圏警察等を指導し、痴漢撲滅に向けて努力してまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。本日、福岡県警の飲酒ひき逃げの警察官の初公判がありまして、起訴事実を認めたということでありますが、先日、9月の半ばにアルコール依存の疑いに関して通達も出されていますが、この種事案の絶無に向けた決意というものを改めてお聞かせ下さい。

答  (長官)警察は、職務上飲酒事案を取り締まる立場であります。これまでも何年もかけて、飲酒運転防止のためにいろんな施策をして参りましたが、依然としてそういう事案が発生していたということで、先般、アルコール依存症に特化する対策を全国警察に対し通達して、今、その対策を徹底しているところであります。いずれにしても、この種事案の絶無を期して更なる努力をしていくということではないでしょうか。それ無くして、国民の信頼を得ることはできないと思います。そういう強い決意でやるべきだと思います。

問  長官にお伺いします。先だって開催されました、全国の鑑識課長並びに科捜研所長会議の長官訓示の中で、大量一括処理方式を採用した被疑者のDNA鑑定の導入に向けて、順次進めてらっしゃるということを述べられましたが、この大量一括処理方式の概要とこれを進めていこうという狙いなどについてお聞かせ下さい。

答  (長官)この方式を導入する理由は、犯罪捜査に有効なDNA型鑑定というのは、そのほとんどが都道府県警察において実施されてDNA型記録がデータベースに記録されてますが、問題は最近の鑑定需要の急増によって、このままのペースで行くと、鑑定やDNA型記録の対照作業に遅延が生じることが十分に予想されるという危惧が出てきたわけであります。この事態に対応するために、警察庁においては、検査を自動化する大量一括処理装置を導入して、都道府県警察から直接鑑定嘱託を受けて、被疑者資料についてDNA型鑑定を行う方式を、来年度中にスタートさせるということにしております。つまり、先程申し上げた鑑定需要の急増を受け、被疑者資料につきまして、警察庁で全部集約して直接鑑定を行うことにより、都道府県警察の負担を軽減し、都道府県警においては、現場遺留資料の鑑定に専念できるようにするということによって、効果的な犯罪捜査が図れるのではないかという考えでこの方式を導入したわけです。