国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成22年2月4日(木)12:14~12:26

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会の定例会議の状況について御報告申し上げます。委員長は欠席、委員は5名出席であります。本日の議題案件につきましては、「国家公安委員会が所管する事業分野における個人情報保護に関する指針の制定について」、「人事案件について」、「警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について」等、お手元の資料にそれぞれ説明がございます。原案どおり決定をいたしました。報告事項につきましては、資料のとおりの報告が警察庁からございました。定例会議の内容は以上であります。

問  長官にお聞きします。先週から今週にかけて、鳥取と埼玉で不審死事件の容疑者が検挙されるということがあったんですけれども、いずれも容疑者が否認をし、それから、なおかつ直接的な証拠がなかなか難しい事件だと思うんですが、この二つの事件についての長官の所感をお願いします。

答  (長官)今御指摘の事件を含めて、最近は凶悪事件の被疑者が取調べに対しまして、犯行を自供せず黙秘する、あるいは否認をするといったケースも多くなっているほか、これからますます治安事象の複雑化等を背景といたしまして、直接的な証拠が乏しい事件等も増えていくように思われます。そこで、まずいわゆる状況証拠を積み上げるといったことも、一つの手法として考えられるわけでありまして、平成10年の和歌山毒カレー事件や平成20年の舞鶴の女子高生殺人事件がこのような手法であったと思いますけれども、こうした手法は捜査事項が非常に膨大となり、現場の捜査員も大変な苦労を強いられているのが現実であります。また、今後は、防犯ビデオ映像の解析や現場遺留資料のDNA型鑑定等を活用した科学捜査を始めとして、犯人に関する手がかりをいかに確保していくかということがより一層重要になってくると考えております。そのためには、装備資機材の整備も然る事でありますが、やはり初動段階において、刑事部門はもとより、初動警察活動を担う部門全体において現場資料の確保等の的確な対応を講じていくことが事件解決の重要な鍵となることから、今後は、組織の総合力を発揮しうる初動体制の確立とそのための継続的な取組みの推進が重要と考えております。いずれにしましても、警察としては、裁判員制度の下、これに耐え得る証拠の収集が求められているわけでありますので、引き続き、全国警察において、犯罪を犯した者が黙秘や否認をしたとしても公判に耐えられる緻密な捜査を推進することが必要であると思います。

問  長官にお聞きします。天賞堂事件の関係なんですけれど、現在、警視庁が捜査員を派遣して捜査協力が進められていますけれども、こういう引渡条約がない国に関わる事件というのも、今後、グローバル化の中で予想されるわけですが、この種の事件への対応について長官のお考えをお聞かせ下さい。

答  (長官)御案内のとおり、本件のように我が国において犯罪を犯した者が犯罪人引渡条約がない国に逃亡するケースというのが、これから多くなってくるのではないかと思います。それに対して警察としては、こうした外国に逃亡した被疑者に対しまして「逃げ得」を許さず、厳正に対処すべきものとして、可能な限り被疑者の引渡しを相手国に対し求めることが第一でありますが、我が国との間で引渡条約がない場合には、積極的な情報交換や捜査協力を通じて、相手国に国外犯処罰規定等の適用を促すなどの取組みを推進していくことが大事だと思います。それと同時に、これから犯罪のグローバル化が更に進んでいくわけでありますので、我々がこれから重点としてやるべきことは、国際的な捜査協力、特にリアルタイムでの共同オペレーションの実施等、海外捜査機関とのタイムリーな連携を一層強めていくことであり、そういうことによって犯罪のグローバル化に的確に対処していくことが求められているのではないかと思います。やはり、犯罪のグローバル化時代には、国際捜査協力のスピード化が求められている、そうした努力をしていく必要があると思います。ただ、その前提として、平素から各国の捜査機関との信頼関係がないと、そうしたスピーディーな共同オペレーションというのは難しいわけでありますから、そうした努力を今後ますますしていく、日本警察としては集中していく必要があるのではないかと、そういうことによって犯罪のグローバル化に対して対処できるのではないかと思っております。

問  長官にお聞きしたいんですが、時効の制度に関しまして、法務省から殺人罪等につきましては時効制度をなくすというような概要案が示されましたが、このことについてお考えをお聞かせ下さい。

答  (長官)(凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方等に係る)要綱骨子案を基に(法制審議会刑事法部会において)審議をされていると承知しておりますが、一部の犯罪につきまして時効が廃止・延長された場合には、長期未解決事件につきまして、DNA型鑑定の進歩等によりまして、一定の範囲で犯人検挙の可能性が広がることとなり、検挙に至れば、犯人の処罰を求める被害者の方々の心情に沿うことができるものと認識をしております。他方、長期間にわたる捜査体制の継続や証拠品保管等の負担が増加することへの対応が必要であることから、捜査人員や保管場所の確保等につきまして、法務省等関係機関と協議するなどして、実効的な方策を検討してまいりたいと思います。いずれにしても、やはり一番大事なことは、犯罪被害者あるいは国民が最も望むのは、犯人を検挙するということにあるわけでありますから、日本警察としては、初動捜査を始め捜査力の強化に更に努めてまいることが大事だと思います。

問  長官にお尋ねします。航空機のテロ対策についてでありますが、去年、アメリカの航空機が爆破未遂という危ない局面がありましたが、日本国としても今後APECを控え、同種の事案の発生も予想されるわけでありますが、全身を透視するというような装置の導入も一部では検討されているようですけども、これらについて長官の御所見をお聞かせ下さい。

答  (長官)昨年のクリスマスの時に起きたデトロイトにおける航空機爆破未遂テロ事件については、今米国当局で真相解明が進められておりますけども、今の段階で申し上げられることは、我々としては、爆発物が実際に機内に持ち込まれて起爆が試みられたということと、いわゆるX線や金属探知機では探知が困難な手法が用いられたということを非常に重く受け止めているということです。そのような中で、今御指摘のような全身透視型スキャナー検査機の導入が各国で検討されているわけですが、我が国においても、もちろんプライバシーの問題等もありますから、その有効性や課題等について今、政府として検討、研究しているということだと思います。その結果を待つということでありますが、今御指摘のように、今年はAPEC開催を控えているということでありますから、こうした事件を受けて一層の緊張感を持ってテロの未然防止に取り組んでいかなければいけないということであります。爆発物探知の新しい手法を始めとして、今後のテロ対策というものを、情勢の変化に応じてきちっと対応していくということで関係省庁と検討してまいりたいと思います。いずれにしても、情勢がこの事件一つでも大きく変化するように、やはり万全を期するためには緊張感を持ってAPECに向けて取り組んでいかなくてはいけないんじゃないかなという点では、非常に大事な時期に来ているんじゃないかなと思います。