国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年1月6日(木)11:06~11:16

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、全員出席でございます。報告事項につきましては、「土浦市北荒川沖町地内ホームセンターにおける殺人未遂事件の検挙について(茨城県警察)」、「平成22年中の交通事故死者数について」、「民主党2011年度定期大会に伴う警護警備について」、お手許の資料のとおり報告が警察庁からございました。定例会議の内容は以上でございます。

問  今、大臣のほうからもお話がありましたように交通事故の件なんですけれども、昨年の交通事故死者が10年連続減少ということになりましたが、一方で高齢者の死者に占める割合が初めて半数を超えるという状況になりました。今後、交通事故死者対策を一層進めなければいけないと思いますが、それについての長官の御所見をお聞かせ下さい。

答 (長官)交通事故死者数というのは引き続き減少傾向にはあるわけですが、減少率を見ますと過去10年間で最小、すなわちマイナス1.0パーセントとなっておりまして、更に交通事故死者を減少させるためには、特に高齢者についての交通事故抑止対策を一層強化する必要があります。

そこで、具体的な取組みとして、一つは、高齢者についてでありますけれども、これまでもやっている参加・体験型の交通安全教育や反射材の普及促進などの諸対策を進める。二つ目は、社会全体の交通マナーの向上施策を進める。三つ目は、飲酒運転根絶に向けた施策を進めていく。こういう三つを例示で挙げましたが、こうしたこれまでの施策を一層強力に取り組むというのは当然のことでありますが、今後、更なる死者数の減少、先ほども言いましたように減少率が最小になっているということでありますから、今後、その目的を達するためには相当な努力が必要だと思います。

例えて言えば、これからはより固い岩盤みたいなものではないかなと、これを割るには新しい発想・知恵が必要ではないかと私は考えております。そうした努力が求められると思います。

問   年頭に当たって長官にお尋ねをいたします。昨年は暴力団対策を始め、いろんな問題に取り組んでこられたところでありますが、今年もこの経済情勢、政治情勢が不穏な折、またどんなことが起きるか分からないという情勢には変わりはないと思います。警察として、本年どのようにそれら諸問題に取り組んでいかれるのか、改めて長官の抱負をお聞かせ下さい。

答 (長官)年末に申し上げたことと一部重なる部分もありますが、いろんな諸課題を今やっております。まず振り込め詐欺については、最後の固い岩盤をどう打ち破るか、先ほどの交通死亡事故と同じでありますが、これにどう新しいアプローチを加えるか、そういうことをしないと撲滅に向かうにはなかなか難しいのではないかと思います。撲滅に本当に達するような年にしたいと思います。

それから、犯罪のグローバル化の問題は昨年から取り組んでおりますが、更に強力に推進していく、犯罪の起きにくい社会づくりについては、今年は大きな社会運動へ進むように推進したいと思います。また、初動捜査の高度化・科学化について、今年は非常に大事な年になると思います。

さらに、昨年の秋に指示しました犯罪インフラの解体の取組みですが、これは今年は本格的な取組みをしたいと思っておりますが、しかしながら、何と言っても今年は暴力団対策というのが日本の警察の最重要課題だと位置付けております。既に日本全国の半数以上の道府県で暴排条例が制定されております。間もなく全都道府県で条例が制定されるという、これ一つをとっても、これまでとは違った社会全体の暴排運動の高まりを示す証左だと思います。

今年は更に暴力団対策を進めることによって、日本の治安の風景を変えるほどの段階に進みたい、また進まなければいけないのではないかという覚悟でやりたいと思っております。

いずれにしましても、暴力団対策を含めていろんな諸課題がありますが、やはり警察の各部門が連携することと、県間の連携、それぞれの縦割りを越えて総力を挙げるということと、もう一つは既存の縦割りを前提にした仕事のやり方だけではなくて、新しい仕事のシステムを構築していかなければならない。既に重要な施策について新しいアプローチをしているわけであり、グローバル化対応でもインフラ解体への取組みでも、縦割りを廃したような取組みを始めているわけです。その上で、全国警察一枚岩と官民一体という二つの取組みの方向が今年はより深化した段階に進む年にしたいと思います。

第二は、御指摘がありましたように内外情勢が厳しい時代でありますから、警察の諸々の分野における危機対応能力を高める年にしなければいけないと思います。早速、1月中に取手の事件等を想定しました初動対応訓練を全国で実施することにしておりますが、重要なのは、想定がワンパターンではなく、非常に情勢が変化しやすい時代でありますから、起こり得る事態を、想像力を駆使して各県が考えて、その想定で訓練をすることであります。不断の訓練をすることが大事です。こういう訓練をすることによって、この時代に備えたいと考えております。