国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年2月24日(木)11:41~11:54

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、山本委員が所用のため御欠席でありました。また、前田新委員から着任の御挨拶がございました。議題事項については、人事案件について説明があり、原案どおり決定をいたしました。報告事項については、お手許の資料のとおりの報告が警察庁からございました。定例会議の内容は以上であります。

問  大臣にお伺いいたします。国際緊急援助隊がニュージーランドに入って、現場で活動を始めているそうですけれども、国民の期待も非常に大きい中で、現場も厳しいようですが大臣の御所感をお伺いしたいと思います。

答 (大臣)一昨日、この大地震の情報が入りまして、即座に警察としては派遣要請があるであろうと、またあった時には即座に対応できるようにということで準備をし、ニュージーランド政府からの御要請が外務省を通じてありまして、即座に出発をしたということでございます。まず何よりも、今回のニュージーランド南島での地震で亡くなられた方が出ております。心からお悔やみを申し上げる次第であります。

御質問の今回の派遣につきましては、国際緊急援助隊救助チームの要員として警察からは22名、警察庁からは指揮官として、また通信担当として合わせて3名、警視庁からは19名の派遣をいたしたところでございます。今仰られましたように、内外から日本の救助隊の能力については大変高い期待が寄せられておりますので、しっかりと救助の任務を果たしてくれることを期待し、また健闘を祈るところでございます。

問   長官にお聞きいたします。今回とりまとめた来日外国人犯罪情勢についてですが、非常に正規滞在者の犯罪の割合が高まっているんですけれども、その一方では、偽装結婚などで合法を偽った身分でいる外国人の摘発も増えております。こうしたことに対する長官の御見解と今後の警察としての取組みについてお聞かせ下さい。

答 (長官)御指摘のとおり、刑法犯検挙人員に占めます正規滞在者の割合というのは、平成19年以降9割を超え増加傾向にありますけれども、これは、関係機関との連携による不法滞在者の取締りを強化していることにより不法滞在者が減少し、その結果、不法滞在者の検挙人員が減少したということが要因の一つとしては考えられるわけであります。

他方、外国人が偽装結婚等の犯罪インフラを利用して正規滞在者を装って、犯罪を敢行する事例も目立ってきており、今後はこれら犯罪インフラを徹底的に解明して摘発していくことが犯罪のグローバル化対策を推進する上で極めて重要だと思っております。この犯罪インフラ対策というのは、今年、本格的に取り組むことにしておりまして、近く全国会議を開催して指示をする予定であります。

問  長官に生活経済事犯の検挙状況についてお伺いします。今回、利殖勧誘事犯についての検挙状況については、国民生活センターへの相談状況と比べて、少し見劣りする感があるような気もしますが、そのことについての御所見をお伺いします。もう一点はヤミ金についてですが、借入総額の規制を盛り込んだ改正貸金業法が昨年7月に全面施行されまして、当初はヤミ金の被害拡大も懸念されていましたけれども、今回の結果を見ますと、検挙件数も国民生活センターへの相談件数も減っている状況にありますけれども、このことについての御見解もお伺いしたいと思います。

答 (長官)利殖勧誘事犯の検挙件数というのは増加をして、我々も頑張っているんですけれども、それを上回る勢いで高齢者を中心に被害が拡大しているということは事実であります。また、多くの被害者の関心はどうしても被害回復にあるということや警察に相談することへの躊躇があって、警察への相談は遅く、少ないというのが現状であります。

今後、警察としては、高齢者被害の悪質商法事犯を優先取締り対象と位置付けて、一つは関係機関に働きかけての情報共有による早期の被害把握、そして、その上で早期の捜査着手を行う。二つ目は、口座凍結のための金融機関への情報提供を進める必要があります。三つ目は、関係行政機関にも、それぞれの役所が持っている権限で行政調査や処分の実施を求めるという、この三つのことを重点に、更に取締りを推進してまいりたいと思います。

ヤミ金の減少についての御指摘でございますが、これは、ヤミ金融に対する罰則の強化を含む官民を挙げた一連のヤミ金対策が現段階では奏功しているというふうに思っております。他方で、ヤミ金融被害増加の懸念というのは依然として払拭されておらないわけでありますから、気を緩めないで、引き続き、取締りを徹底していくという姿勢で取り組んでまいりたいと思います。

問   長官にお尋ねします。女性警察官についてですが、この度、警察庁は女性警察官について、全国警察に対し採用・登用の拡大を指示いたしました。このような取組みに関して長官の御所見をお聞かせ下さい。

答 (長官)御案内のとおり、女性警察官の採用・登用というのは、各県多少のばらつきはありますけれども、着実に推進されてきたところです。ただ、少子化社会の進展に伴って、警察官採用試験受験者の減少が懸念されております。これは、男女問わずに全体でであります。そうしますと、警察官の質を確保していくためには、優秀な女性を積極的に採用していくことが必要不可欠だと思っております。加えて、女性警察官がその能力を十分に発揮して警察組織を活性化していくためには、能力や実績を有する女性警察官を更に警察の各分野に積極的に登用していくことが重要であると思っております。そういう認識に立って、今回各都道府県警察において、今後女性警察官をどのように活用していくかという将来的なビジョンを持って、長期的な視点で計画を立案するように指示をしたということです。要するに、10年位の見通しを立てて、どういう採用計画をしていくかなど、いろんな側面があるわけでありますが、そういうことをいろいろと検証しながら進めていくということが新しい点であります。

答 (大臣)今の件について、私からも一言申しました。女性警察官を採用するために、女性のための生活的な、例えば更衣室であるとか、トイレであるとか、そういうことが当然、必然的に必要であります。そういうことを措置する費用というのが都道府県、いわゆる地方自治体の負担になっておりますので、そう意味では、この件については地方の御協力をいろんな形でお願いしなければならないということを認識の中に持っているというわけであります。

問   長官にお尋ねいたします。國松元長官の銃撃事件についてでありますが、先頃、警視庁が去年3月の公訴時効までの捜査についての検証結果を報告いたしました。初動捜査の不備、その他問題点も盛り込みつつ、今後の課題としては、科学捜査をもっと活用すべきだというような内容でありましたけども、これについての長官の御所見を賜りたいと思います。

答 (長官)まず、本事件というのは、治安に対する挑戦ともいうべき極めて重大な事件であったわけですけども、事件解決に至らず時効に至ったということは、誠に残念だという率直な気持ちを持っております。

今回の検証については、警視庁において、本件が未解決に終わったことを謙虚に反省しつつ、今後、捜査力の向上を図るための教訓を得るとの観点から、特に犯人を特定するに足る証拠の収集に至らなかった理由はどこにあったのかを真摯に検証したものだと思います。そういう視点から、御指摘の3点を核心的であると判断して、そこを中心に検証したものであると思っております。いずれにしても、警察としては今回の検証結果を教訓にして、それを、将来のこの種の犯罪捜査に生かさなければならないわけで、むしろ、これからが大事だと思っております。