国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年3月24日(木)11:32~11:44

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要    本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、全員出席でありました。議題事項については「人事案件について」、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について」など説明があり原案どおり決定いたしました。報告事項につきましては、お手許の資料のとおりの報告が警察庁からございました。

震災の関連について若干申し上げます。警察ではこれまで被害者の救出・救助、避難誘導、原発への放水、交通規制、御遺体の身元確認等の取組みを進めてまいりました。このうち、交通規制につきましては順次、規制の区間・対象を縮小してきたところでありますが、本日午前6時を以て、東北道・磐越道の交通規制を全面的に解除いたしました。今後は、被災地における生活の安全と秩序の維持が重要になってまいります。このため、警察では全国警察から制服警察官とパトロールカーを現地に派遣をし警戒を強化してまいりますとともに、震災に便乗した各種犯罪の被害に遭うことのないように、取締りの強化、広報啓発活動等の幅広い対策を展開してまいりたいと思います。また、皆様の御協力もよろしくお願い申し上げます。今後も、被災者の救出・救助に最大限の努力を傾けてまいるとともに、国民の皆様の安全と安心の確保に万全を期してまいる所存であります。

一言加えさせていただきますと、収容された御遺体の確認につきましては作業が進んでおりますが、これからまだまだ、行方不明の方のほうが多いわけでございますので、しかも原発に関する20キロ圏、30キロ圏の避難の状況もございますので、今後ともこのことについては大変苦労が多いと思いますけれども、現場の皆さんが真剣に今努力をしていただいているところであります。

問   大臣にお伺いします。先ほどの交通規制の関係ですけれども、13日ぶりに東北道・磐越道が全面開通しましたが、それについての御見解をお伺いします。

答 (大臣)御心配の向きもあり、できるだけ現地に駆け付けたいという方も多かったと思いますし、それよりも何よりも石油製品、タンクローリー、またその他の生活物資、できるだけ早く届けたいという皆さんのお気持ちを体しながらやってきたわけでありますけれども、3月12日以降、東北自動車道、常磐自動車道などを緊急交通路に指定し、一般車両の通行を禁止してきたわけでありますが、やっと今朝6時に東北道・磐越道等の交通規制を全面的に解除することができました。この間、我々は二つの視点でそのコントロールを考えざるを得なかったわけでありますが、いわゆる交通が混乱することを避けるということと、もう一つは道路が大変傷んでいるわけでありますので、その傷んだ道路が壊滅してしまうことのないように、その限界に挑戦をすると、以前も申し上げましたが「臨機応変に」どころではなくて、正にでき得る限り最大限道路を活用していただく、そのためには交通規制もありますが、スピード規制もあります。いろんなことを配慮しながら、最大限の活用ができますようにということの工夫をしてきたところであります。やっと、本日からは東北道など基幹となる幹線は、ほぼ全て通常どおり通行できることになりましたが、現在までのところ目立った渋滞などの問題の報告は受けておりません。ただこの間、緊急交通路の指定範囲の見直しや通行証、標章の交付にきめ細かく対応してきたつもりでありますが、交通規制に御協力いただいた国民の皆様方に改めて感謝を申し上げますと同時に、文字通り不眠不休で道路の復旧工事をしていただいた関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。

問  長官にお聞きします。今大臣のほうからも御説明ありましたけれども、被災地における治安状況ですが、まず現在の治安状況がどの程度のものなのか、一部報道によると、かなり落ち着いてはいるけれども被災者の避難生活が長期化していることに伴って苛立ちなどがあるというような報道もあります。それと、今後こういった被災地域における警察活動の取組みについて、どういった点について強化されるのか、お聞かせ下さい。

答 (長官)ガソリンの抜き取りや自転車盗を始めとする乗り物盗ですとか、店舗からの商品の持ち出しなど、被災地ならではの犯罪が発生していることは事実でありますが、全体として見ますと、これまでのところ被災地における治安状況について特に大きな問題は起きていないと見ております。ただ、今後が大事でありまして、被災地における治安を維持することが、今後最も重要な課題となってくると思います。そこで我々としては、もちろんあらゆる違法行為の取締りを強化するということは当然でありますが、先ほども大臣のほうから言及がありましたように、地域警察特別派遣部隊を投入してパトロールを強化する、さらには、警備業界や金融業界等、関係機関・団体と連携しての防犯対策の強化というようなことを推進していくことが大事だと思います。いずれにしても、被災地の治安確保ということについては、万全を期してまいりたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。20日に宮城県の石巻市で80歳と16歳の被災者が9日ぶりに救出されました。これは地上から石巻警察署員、吊り上げたのが鹿児島県警ヘリと福島県警のレスキュー隊員だと認識しておりますが、警察の総合力で奇跡を起こしたと思います。この活動の経緯と評価、今後の生存者の救出活動の方針についてお聞かせ下さい。

答 (長官)経緯は、既に御案内のとおりだと思いますので割愛しますが、お二人が無事救出されたということは、大変良かったと思っております。評価ということでありますが、まずこれは各機関の連携がうまくいったのではないかと思います。地上で救出・救助活動に当たる警察官と上空でヘリテレ映像を送信しているヘリコプターに搭乗している警察官、そして消防レスキュー隊、これらが密接に連携を図ったということで迅速な救出・救助に至ったという点が一つ評価すべきことだと思います。もう一つは、何と言っても連日現場において警察官が昼夜を分かたず高い士気を保持しながら、一つ一つ丹念に救出・救助に当たった結果であると思います。その意味で、改めて使命感に燃えて黙々と働く現場警察官の姿を心強く思ったというのが率直な感想であります。いずれにしても、未だ多くの方の安否が明らかでない中で、警察としては今後も全力を尽くしてやっていきたいと思っております。