国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年4月14日(木)11:47~12:04

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員
出席であります。議題事項につきましては、東日本大震災の被害者の権利利
益の満了日の延長措置を指定する国家公安委員会告示の制定等について説明
があり、原案どおり決定いたしました。報告事項については、お手元の資料
のとおりの報告が警察庁からございましたが、震災の関連について二点強調
して申し上げさせていただきたいと思います。第一点は、福島第一原発から
10キロ圏内の捜索活動についてであります。ここにつきましては大変危険
も伴いますが、地域住民の皆さんの御要望・お気持ちもしっかり体しながら、
福島県警として勇断をもってやろうということで御決定をいただいたようで
あります。これまで福島第一原子力発電所から10キロ圏内において必要に
応じ、隊員の安全を確保しつつ、捜索や御遺体の収容等の活動を行ってまい
りましたが、特に本日から約300人の部隊により、行方不明者の捜索を行
うことといたしました。これは福島県警察独自でやってまいります。この決
断は私どもとしても感銘を深くしているところでありますが、当然十分に隊
員の安全の確保をしなければなりません。その中に勇気ある決断をして本日
からこの活動に入ってもらうこと、特に敬意を表したいというふうに思って
いるところであります。なお、その外側であります10キロから20キロ圏
内における行方不明者の捜索につきましては、引き続き、これは福島だけで
はなくて各県警から動員をされている皆さんとの合同でありますが、約24
0人の部隊によって行っております。

次に、被災県警察に対する支援体制の強化についてであります。現在、全
国警察一丸となって被災県警察に対する支援体制を強化し、常時3,000
人を超える各種部隊の派遣等を行っております。既にパトロール活動の強化
のために地域警察特別派遣部隊や特別機動捜査派遣部隊、また避難所におけ
る相談受理等に従事する女性警察官等の派遣を行っております。これにつき
ましては、パトロールなど治安の対策もございますが、女性警察官が避難所
等におきまして色々な御相談に応じる、または避難をしておられる方々に寄
り添って、親身になって色々なお悩みや御要望を聞かせていただく、そのこ
とによって皆さんから大変喜んでいただいているところであり、これらそれ
ぞれのニーズにお応えできるようにと、きめ細かな配慮を加えた派遣を行っ
ているわけであります。これらを今回また増強することといたしております。
加えて4月18日からは新たに全国から警備部隊約1,000人を増強し、
全体で合計4,500人の支援体制を確立することといたします。また警察
車両につきましても、約100台を新たに配備すべく調整中でありまして、
支援体制として総数で約1,000台を投入することといたしております。
これらの増強措置により避難所の警戒や治安維持のための警戒警ら活動をさ
らに強化し、被災地における住民の皆さんの安心と安全の確保、そしてまた
少しでもお気持ちを強くしていただけるように、そういう気持ちで警察とし
ましても全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。

問  長官にお尋ねします。被災三県への警察官の増強でありますが、この時点
での被災での警察活動の要諦、それから今後の力点を置くところなどについ
て改めて長官の御所見を伺います。

答  (長官)先週、私も被災地を視察しまして、この度の震災による被害が甚
大であることを改めて実感し、その上で、全国から大規模な部隊を投入した
いと申し上げたわけであります。今回、支援体制の強化を図ったということ
でありますが、前提として考えたのが通常の震災というものを踏まえつつ、
一つは津波の被害が広範囲に渡っているということによって行方不明者の捜
索が長期化している、それから復旧・復興の長期化が予想されること。二つ
目は、福島の原発周辺対策が長期化するであろうこと。三点目は、今回の特
徴として町全体が流されて家を失う、職場を失うと避難民の方々も各地に分
散されるということで、昔ながらの地域共同体が崩れたところが少なくない
ことから、地域社会の犯罪抑止力というのが大きく弱体するおそれがあり、
今後の治安確保というのはそういうことを前提に、ベースに考えないといけ
ないこと。大きく以上三点が今次震災特有の状況ではないかと思います。こ
のような特有な状況も踏まえて、長期にわたる支援体制の強化を今回第一弾
として図ったということであります。今後とも東北三県を中心とした被災県
とも緊密に連携しながら、全国警察一体となって必要な体制を長期にわたっ
て確保していきたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。今回の津波で瓦礫の中に所有者が判らない金庫等の
貴重品が多数見つかっているようですけど、これら金庫とか貴重品の取り扱
いについて教えてください。

答 (長官)今ご指摘のように、今回の震災で金庫等の貴重品が拾得物として
相当多数届けられております。被災した地元の警察署では行方不明者の捜索
や被災地の警戒警備等を行っている中で、こうした大量の貴重品を受け付け
るということでありますから、受付の要員とか保管場所の確保に苦労してい
るという現状でありますし、取り扱い署によっては数百の単位で金庫を保管
しており、署の倉庫が金庫で一杯になっているところもあるわけであります。
しかしながら、被災された方々のお気持ちを察すれば、例えば金庫であれば
必要に応じて解錠するなどして所有者の確認に努めて早期の返還を図ること
が重要だと思っております。

これからもまた金庫等の貴重品の拾得が更に出てくるのではないかと思い
ますが、現地の警察署では、地元自治体とも連携しながら、適切に対応して
いきたいと考えてます。

問  大臣にお伺いいたします。原発周辺地域で計画的避難区域や緊急避難準備
区域などの色分けの動きがありますけれども、これに対する警察の対処とい
うものは、どういうものがあるのかということをお伺いしたいのですが。

答 (大臣)そのような検討がなされていることは承知をいたしておりますが、
これにつきましては、引き続き関係機関とも連携をとりながら、その内容等
に応じて警察としてはできる限り必要な支援を行っていこうと思っておりま
す。心構えは十分に備えてやってまいりたいと思っております。

ちなみに既に警察でやっておりますことは、沢山ございます。福島第一原
子力発電所から20キロ圏内に避難指示が既に出ておりますが、また20キ
ロから30キロ圏内において自主避難の促進が図られている中で、病院や介
護施設におられた、自力で退避することが困難な患者の方々などにつきまし
ては、警察独自にバスで順次圏外に移送してまいりました。また、避難して
いる方々の不安を軽減し、避難地域における安全・安心を確保するために、
福島第一原子力発電所の周辺地域においては、これは地元警察のほうがより
詳しいですから、先ほども申し上げましたが、福島県警察がパトロール等を
行っているところであります。これは20キロ圏内でも、それぞれ防護服を
着用したり、色んな方法を講じながら努力をしているところであります。

また、4月4日以降は、福島第一原子力発電所から20キロメートル周辺
の主要道路上において、警視庁から派遣された約250人の部隊が検問を行
っておりますし、30キロメートル周辺の地域においても、他の県警察から
派遣された約100人の部隊が検問を行っているということで、でき得る限
り地域の安心・安全のために努力をしているところでございます。

問  長官にお聞きします。先ほど大臣からも御説明がありましたが、原発から
10キロ圏内での本格的な捜索活動が今日から始まったということですけれ
ども、大変危険な作業だとは思われますが、このことについて改めて長官の
御所見を聞かせてください。

答 (長官)これに関しまして、今大臣の仰ったとおりでありますが、御案内
のとおり4月7日から20キロ圏内の本格的な捜索が始まったわけでありま
す。

その上で今回の10キロ圏内の捜索を始めたということでありますが、こ
れは特に浪江町の請戸地区につきましては、相当津波による被害が見込まれ
て被災者の方々からも強い要望が寄せられていたということから、福島県警
察が、これまでの空間放射線量の測定結果を踏まえて、隊員の安全を確保し
たうえでの活動が可能であると判断して、300人の体制で本格的な行方不
明者の捜索に臨むということになったわけであります。警察としては、やは
り震災後1ヶ月以上経っており、早く行方不明者を捜したいという被災者の
気持ちを察して、隊員の安全確保を図りながらでありますが、避難指示地域
における行方不明者の捜索に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

(大臣)一つだけ、先ほど長官からお答えいただきましたが、金庫の件で
す。私も随分と前から気に掛かっておりまして、長官からも写真を見せてい
ただいたりしておりましたけれども、その中に、これからの復興を目指す各
企業、個人、色んな方々の貴重な財産が保管されているものもあるんだろう
と思います。ただ解錠するのにもお金がかかるわけですが、これらのことに
ついても特別の措置を講じながら、できるだけ皆さんの便宜を図るようにと
いうことで、諸手続を進めて、先ほど長官が答えたような段階まで来たとい
うことでございます。これがまた多くの方々の力づけに寄与できればいいな
というふうに期待をしているところであります。