国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年4月28日(木)11:36~11:47

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。

 本日は全員出席です。議題事項につきましては、八代目酒梅組の指定の確認、
平成23年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画案等について、それぞ
れ説明があり、原案どおり決定をいたしました。

 報告事項につきましては、お手元の資料のとおり報告が警察庁からございま
した。

 一つだけ私的に考えを申し上げますと、昨日、犯罪収益移転防止法が成立を
みました。もともと薬物の問題やテロ対策、いろいろな形で、これをしっかり
と運用し、効果を上げていかなくてはなりませんが、拉致対策の担当としては、
イランとともに北朝鮮が非協力的国家として指定をされております。そういう
面におきましても、一つの役割が果たせるのではないかという感じがいたして
おります。公安委員会でこの法律が成立したことの報告はございましたが、加
えましての私の所感の一端でございます。

 また、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方についての最終取
りまとめにつきましては、委員会の前に研究会の佐藤座長から直接お受け取り
をいたしました。この提言を踏まえて、内容の実現に向けて今後とも努力をし
てまいりたいと考えております。

問  大臣にお聞きします。今ほど仰いました、死因究明制度の在り方の関係なん
ですけど、もう少しこれについての所感と今後の警察としての取組みについて
お聞かせください。

答  (大臣)内容的には、法医解剖制度の創設や法医学研究所の設立など、画期
的で具体的な提言をいただきました。日本の解剖率が低いなど日頃から御指摘
を受けているところもございますが、これを充実させることによって日本にお
ける捜査がより一層、真相解明しやすくなる、いろいろな効果を発揮すること
ができると思います。ただこれは、御提言をいただきましたが、これを完全に
実行に移すには、かなりの時間と費用が必要だと思います。例えば警察庁、厚
生労働省、文部科学省で連絡協議会を設けるなどしてやっていかなければなり
ませんが、特に解剖の問題やそれから法医解剖制度の創設や専門検案医制度の
創設については厚生労働省の御協力をいただかないとできませんし、また解剖
医体制の強化をするための大学医学部教育の充実には文部科学省、そして検視
の拡充等については法務省の協議が必要となってまいります。そういう意味で
特に厚生労働大臣は、この解剖医制度について議員立法を以前にお出しになっ
た経験を持つ方でありますので、いずれにいたしましても各省庁と連携をとり
協議をしながら実効あらしめるよう努力をしていきたいと思います。

問  今の死因究明の関係で、厚生労働省の協力ですとか文部科学省の協力という
のは不可欠だというのは分かったのですが、今後の具体的なプランや予算措置
のようなプランなどお考えがありましたら教えてください。

答  (大臣)これは、そういう連絡協議会を作って、それらのことも踏まえた検
討を深めていきたいというふうに思っております。

問  長官にお伺いしたいと思います。本日、交通安全業務計画が決定されました
けれども、生活道路におけるゾーン対策等、いろいろ盛り込まれていると思い
ますが、この計画についての長官の御所見をお伺いしたいと思います。

答  (長官)これは、政府の第9次の基本計画で死者数を3千人以下とする目標
が設定されているわけでありますけれども、交通事故が大幅に減少するという
トレンドの中でもよく見ると、歩行中に交通事故で亡くなるという方の割合が
高いこと、いわゆる生活道路での事故件数が減少していないことに着目して、
この政府目標を達成するためには、やはり生活道路における歩行者、自転車の
安全確保を図る必要がある。そこに照準を合わせて、一つの重点施策として、
今回生活道路におけるゾーン対策を積極的にやっていこうということでありま
す。これまでも色んな試みがありましたが、今回の生活道路対策の新しい点と
いうのは、やはり外国の取組みも参考にしておりますけれども、最高速度30
キロ規制を面的に行って、これに路面標示などを組み合わせることによりまし
て、交通対策を通じた人優先の街づくりを地元自治体、住民とともに推進して
いこうということです。つまり、単に交通安全のためという視点だけではなく、
新しい生活空間づくりというものに繋がっていくものであればよいと思ってお
りますし、そういう挑戦をしてみたいと考えております。併せて今回の震災に
よって信号機や道路標識、運転免許試験場等が被害を受けておりますから、こ
れらの施設の早期復旧と、こういうものも計画に盛り込んでおります。

問  中野委員長にお尋ねいたします。東日本大震災の関係なのですが、原発直近
の自治体での不明者の捜索というのは警察が一生懸命やっておりますけれどな
かなか進まない。多くの瓦礫があって、それを除くところから始めなければな
らない。現状では地元の業者の協力を得て、小さな少ないクレーンでやってい
るようですが、大きな能力の高いものを持っている自衛隊との協力について、
大臣のお考えを聞かせてください。

答  (大臣)まさに20キロ圏内、10キロ圏内含めて努力を警察としてはいた
しております。この前、長官も現地へ一緒に入られて激励をされ、つぶさに現
場を見てこられたわけでありますが、基本的に、この瓦礫との戦いの問題は、
地方自治体が中心になるわけでありますけれども警察としては被災者の皆さん
の御要望やお気持ちに応えていくために、敢えて大変厳しい環境のところへも、
もちろん防護服など自らの安全性も確保しながらでありますが、精一杯努力を
している。また、重機について警察は、ほとんど重機を持っておりません。地
域の県対策本部の方で地元の民間業者の方々に依頼をしたり手配をいただいて
御協力をいただき一生懸命やっているわけであります。自衛隊は、より一層、
その外側がメインでありますけれども、30キロ圏内で大がかりな捜索をして
いただいている。ここもまだ完全に終わっているわけではありませんので、こ
れらのところも含めて自衛隊が大変力を入れてやっていただいていると思いま
す。両両相俟って全体としての遺体捜索と、また自衛隊の場合は瓦礫の処理と
いう任務も含めて警察の方はどちらかというと行方不明者の発見や御遺体の捜
索ということがメインになりますけれども、これら両両相俟ってやっていると
いうことでありますので、警察の方から自衛隊に要請するという視点ではない
と思います。お互いにそれぞれの特性を生かして精一杯この対策に臨んでいく
と、また必要なことは当然のことながら自衛隊、防衛省とも連携を取りながら
今後ともやっていきたいというふうに思っております。