1 日時 平成23年6月16日(木)12:14~12:24
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員
出席でございます。議題事項につきましては、人事案件について説明があり、
原案どおり決定をいたしました。皇太子殿下の御洋行の話など、かなり長時
間にいろいろございましたが、ここで私どもの方から申し上げる案件は特に
ございませんでした。なお、お手元の資料のとおりの報告がございましたの
で御参照していただければと思います。
問 大臣にお伺いします。震災から3か月が過ぎましたが、身元不明の遺体が
2,000人近く残っているという状況が長く続いています。昨日は、日赤
の協力を得てDNA型検査の結果、身元が判明したというケースが発表され
ましたけれども、これからゼロに近づけるべく、どのような取組みをされて
いくかについてお聞かせください。
答 (大臣)警察としては、御家族の皆さんのお気持ちを察しながら、このこ
とに神経を大変すり減らす思いで、今、一番傾注をしている作業の一つであ
ります。6月16日現在の数字が1,876体ということで、やっと1,9
00を切ったということを聞いたばかりでございます。身元不明の御遺体に
ついて、その数の推移を振り返りますと震災発生から1か月を経て以降、約
2か月間、常に2,000体以上の状況にありましたが、5月13日から特
に支援部隊を派遣をいたしまして行方不明者の御家族からの再聴取を行うな
ど、身元確認作業に係る諸対策を推進した結果、6月11日に至って2,0
00体を切り、その後も減少傾向で推移しているところでございまして、今
日現在で1,876体となっております。この御家族への再聴取などにつき
ましては、部隊の派遣終了後も岩手、宮城及び福島の被災3県警察において
継続中でございまして、これまでに約1,900人の行方不明者に係る御家
族から再聴取を行いました。行方不明者の約1,000人に係る献血検体の
鑑定のための同意書も頂きました。行方不明者御本人に直接関係する資料も
約670点お預かりをいたしました。また、約4,000人の御家族の口腔
内細胞を受理しているとの報告を受けております。再聴取により様々な情報
を得たことはもとより、現段階では日本赤十字社から提供を受けた25人の
行方不明者に係る献血検体のDNA型鑑定から6人の御遺体の身元を確認い
たしております。また、行方不明者御本人に直接関係する資料から身元を確
認する事例が出始めるなど、作業の効果が現れてきているものと承知をいた
しております。引き続き行方不明者の発見活動とともに、身元確認作業を強
力に推進し、1人でも多くの御遺体が御家族に引き渡されますように、警察
としても万全を期すよう督励をしてまいりたいと思います。ちなみに、新し
く確認された方の中には殉職された警察官の御遺体もありました。
問 長官にお尋ねします。先日、千葉県木更津市で起きました死体遺棄事件に
ついてでありますが、6月11日に女子大生の遺体が発見され、翌日に被疑
者が検挙されました。事件そのものは今後捜査で解明するんでしょうけど、
この手の社会を不安に陥れるような事案について、翌日の検挙は評価できる
のではないかと思うのですが、早期検挙に至った経緯その他で特筆するよう
なこと、あるいは、このところ警察が取り組んでいる初動のいろいろな活動
が実を結んだのではないかとも思われるのですけど、その辺りについてお聞
かせください。
答 (長官)御指摘の事件につきましては、6月11日に女性の死体が発見さ
れた翌日、死体遺棄罪で被疑者を逮捕したということでありますが、何より
基本に忠実に初動捜査をしっかりやったということではないかと思います。
現場の遺留資料の精査や組織を挙げた捜査の結果が、こうしたものに結びつ
いたのだと思います。
これら重要凶悪事件というのは社会を震撼させ、国民に著しく不安を与え
る犯罪でありますので、何よりも早期解決を図るということが一番であるわ
けであります。
初動捜査の高度化というのは、昨年から全国警察を挙げてやっているわけ
でありますが、こうした事件発生の際には、的確な捜査指揮の下、ITや科
学技術を活用しながら組織の総合力を発揮して初動の段階で、いかに多角的
な客観証拠を確保するかが何よりも重要であります。現在、高まりつつある
捜査の困難性という状況を打開する最も有力なアプローチは、初動捜査の段
階でいかに多角的な証拠の確保ができるかということが最大のポイントとな
るのではないかと思います。つまり、すべてとは言いませんが、いかに初動
捜査を高度化するかということが重要であるわけであります。ITや科学技
術の革新というのは日進月歩でありますので、全国警察で進めている初動捜
査の高度化というのも、やはり日進月歩が求められているということを踏ま
え、不断に革新していく取組みでなければならないと思います。何かあるも
のを決めて初動捜査の施策をやることも大事でありますが、日進月歩するI
Tや科学技術を活用しながら、初動捜査の在り方も絶えず不断の革新を図っ
ていくものだと思います。そういうことを全国で各県がばらつきなく集中し
て持続的にやれば、私は日本の捜査の困難なところを打開できると確信をも
っており、初動捜査の高度化というものの旗を振っているわけです。まだ道
半ばですが、更なる努力をしてまいりたいと思います。