国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年7月14日(木)11:17~11:28

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員
出席でございます。議題事項につきましては、「道路交通法施行規則の一部
を改正する内閣府令案に対する意見の募集について」等、お手元の資料のと
おり説明があり、原案どおり決定いたしました。報告事項につきましては、
お手元の資料のとおりの報告が警察庁からございました。

  大臣にお伺いします。今おっしゃった道交法の施行規則の改正なんですが、
聴覚障害者が運転できる車両の種類を拡大したり、矢印信号の形状の規定を
整備したりすることについて、まず所見を伺いしたいと思います。それから、
右向きの矢印信号につきましては、一部のドライバーの中には多分Uターン
ができると思っているドライバーもいると思うんですけれども、今後の国民
への周知をどのようにするか、そういったことについても御意見の方をよろ
しくお願いします。

答  (大臣)周知方はいろいろ工夫もしなければいけませんので、そういう意
味では皆様にも是非御協力をお願いいたしたいと思っております。そういう
意味でも若干詳しくなりますが、御説明をさせていただきたいと思います。

   聴覚障害者の方々につきましては、平成20年6月より、ワイドミラーを
車室内において使用すること等を条件に、普通乗用自動車に限り運転が認め
られているところでありますが、その後も引き続き聴覚障害者団体等からは
運転することのできる車種の拡大について御要望をいただいておったところ
でございます。そこで警察庁において、平成21年度、22年度の2か年で
調査研究を行いました結果、普通貨物自動車については、ワイドミラーの代
わりに補助ミラーを装着することにより、また、大型自動二輪車等について
は、直接目視で確認することを徹底することにより、それぞれ安全に運転で
きることが確認されたことから、今般、これらの車種についても聴覚障害者
の方々が運転できる車種とすることを内容とする道路交通法施行規則の改正
案を取りまとめたところでございます。国家公安委員会といたしましては、
今後とも交通の安全の確保に配意しつつ、一層の聴覚障害者の社会参加の支
援に努めるよう、警察庁を指導してまいりたいと存じます。また、もう一つ
の御質問については、現在、右折矢印信号時には車両が転回できないことか
ら、右折レーンの車両が円滑にさばけない場合があります。今回の改正案は、
こうした右折レーンの円滑化等を一層推進するため、右折矢印信号が表示さ
れている場合には、右折に加えて、転回もできることとするものであります。
この場合は、対向車がストップしているわけですので、右折だけではなくて、
転回をしてもむしろその時の方が安全という一面もあるという考えでござい
ます。こうした信号の意味については、交通ルールの基本であることから、
警察としてもホームページ等による広報のほか、運転免許の更新時の講習、
交通安全教室、自動車教習所における教習等の機会を捉えて、積極的に周知
を図ってまいりたいということであります。なお、マスコミの皆様方にも是
非とも御協力いただければ有り難いというふうに思っております。

  長官にお伺いします。先日起きました6億円の強奪事件の関係で、現金保
管を担当した警備会社に対する処分などを検討されていると思いますが、改
めて警察として今後どう警備会社等に対する指導等を行っていくのかや警備
業の在り方について、御所見をお願いします。

答  (長官)本件については、多額の現金が奪われた重大な事案でありまして、
お尋ねの警備業者の警備体制全般について、警視庁において調査が行われた
わけであります。その調査の結果分かったこととして、現金輸送業務に関し
て、十分な指導を行っていなかった指導監督義務違反というのが一点、二点
目が警備員に対し、警備業法で義務付けられた教育を実施していなかった教
育義務違反、三点目が教育を行っていなかったことを隠蔽するための警備員
名簿等の虚偽記載が判明したとの報告を受けているわけであります。これら
の義務は、人の生命、身体、財産を守る警備業者にとって極めて重要なもの
であり、こうした基本が守られていなかったということは、極めて重大な問
題であると思っております。そして、仮に同種事案が再発すれば、警備業全
体に対する国民の信頼を失われかねないことについて、全ての警備業者は重
く受け止めるべきであるというふうに思います。警察としても、今後も適正
に警備業務が指導されるよう、全国の警備業者に対する必要な指導を行って
まいりたいと思います。これは一つの事案であるかもしれませんが、警備業
というものは国民の信頼があって成り立つものでありますから、この際、す
べて同質の業務能力になるように頑張って欲しいと思います。

  長官にお尋ねをいたします。臓器移植法事件についてであります。昨日、
警視庁が第二弾として、現役の住吉会の組長ら4人を逮捕いたしました。こ
の住吉の組長らが関わったケースでは、実際に21歳の若者の腎臓が提供さ
れたことで臓器売買が成立してしまったわけですが、第一弾の時も伺いまし
たが、今回の第二弾摘発で更に暴力団が臓器売買に関わっているという実態
が浮き上がってまいりました。改めて長官の御所見を伺いたいと思います。

答  (長官)本件は、今回、第二フェーズに入ったという捜査でありますが、
やはり今後捜査を徹底して暴力団による組織的な関与の実態等、全容を明ら
かにして、この際徹底的にメスを入れるべき事件ではないかと思っておりま
す。

   今回の事件を見ますと、偽装養子縁組が犯罪インフラとして悪用されたも
のでありますが、警察としては、本年3月に犯罪インフラ対策プランを策定
して総合的な犯罪インフラ対策を進めているところであります。もちろん、
この取組みを一層強化していくということは当然でありますが、その上で再
発防止策について、以下二点が重要であると思います。警察独自と言うより
は、関係機関との協力を得てということでありますが、一つは、偽装養子縁
組というのは、我が国の戸籍制度の根幹を揺るがす極めて悪質なものである
と同時に、犯罪インフラとしても非常に重要な役割を担っているわけであり
ますから、警察としては、既に法務省と連携して偽装養子縁組を防止するた
めの取組を進めておりますが、引き続き関係省庁と連携いたしまして養子縁
組制度が悪用されないよう、再発防止に向けた取組みを進めることです。も
う一つは、偽装養子縁組が臓器移植に利用されないよう日本移植学会におい
て再発防止に向けた取組みがなされることを期待したいと思います。そうい
うことで警察としては、独自に犯罪インフラ対策を更に進めると同時に関係
機関等と連携して、こうした再発防止策を徹底してまいりたいと思います。
本件は、そのくらい重要な事件ではないかと思いますので、全容解明に向け
て警視庁の一層の奮闘を期待したいと思います。