国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年12月15日(木)12:01~12:10

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につ
いては、「人事案件について」、それから「道路交通法施行令の一部を改正す
る政令案等について」の説明があり、原案どおり決定をいたしました。報告事
項につきましては、お手元のとおりでございます。

  大臣にお伺いいたします。東日本大震災の警備についてなんですが、年末年
始を迎えますし、もう9か月以上が経っておるわけでございますが、今後、行
方不明者の捜索等について、対策も含めて、今後どういうような捜索をされて
いくご予定でしょうか。

答  (大臣)東日本大震災については、警察は全国から特別派遣するなど、組織
を挙げて取り組んでいるところでございました。行方不明者の捜索、パトロー
ル、また、福島第一原発周辺の警戒、或いは検問等に全力を挙げているわけで
ございます。

   特に被災地においては、これから本格的な寒さを迎えるわけでございます。
降雪とか、厳寒とかそういう困難の中で、警察においては車両整備や個人装備
品の充実、防寒対策などを徹底して、特に職員の健康にも十分留意しながら、
引き続き全国警察から部隊を特別派遣するなど、被災地の安全・安心には全力
を挙げて取り組んでいく所存でございます。

   こういう御質問をいただいて、私個人としても非常に有り難く思うのですが、
当然の職務とはいえ、発災の際から地元の警察というのは全力を挙げて取り組
んで、犠牲も出ているところで、全国規模で取り組んでいるわけでございます
が、そういう点で今復旧とか、復興とかいうところに非常に関心も強くなって、
そのことも極めて重要なことでございますけれど、現地の治安の維持というこ
とについては、これから少しも変わらず、むしろ強化していかなくてはならな
い状況でございますので、私個人として職員が本当に地元で地道に全力を挙げ
て取り組んでいることに対して、是非、国民の皆さんもマスコミの皆さんも、
より理解をしていただきたいなと、特に閣議でも度々言ってますし、国会の答
弁でも言っているわけですが、公平に考えても大変な努力と犠牲をはらってい
ることについて御理解をいただけるような御質問は誠に有り難く思います。あ
りがとうございます。

  長官にお伺いします。インターネットバンキングでの不正送金事案について
今年3月以降の状況が、このほど発表されました。インターネットバンキング
の不正送金の被害については、新たな手口が次々出てきて、なかなか対応にも
苦慮されているようですが、今後どのような対応に取り組むのか、現状をどの
ように捉えていらっしゃるかという御所見をお伺いします。

答  (長官)今年の3月以降ですが、いわゆるフィッシングとか不正プログラム、
いわゆるウィルスでありますけれど、こういうものを使って他人のID・パス
ワードを盗み取って、それを使ってインターネットバンキングに不正アクセス
をし、勝手にお金を他人口座に移し換えるという事案が相当発生をしておりま
す。11月までに警察が認知した被害額は約3億円ということでありまして、
その後もこうした事犯は続いていると承知をいたしております。

   警察ではこうした事案について、その手口や発生状況を広く国民にお知らせ
をして注意喚起を行うということをやってきているところであります。同時に
捜査も強力に進めているところでありますけれど、捜査の結果、不正送金され
た口座からお金を引き出した者、それからそれを指示した者を4名検挙してま
すが、いずれも中国籍であったということが分かっております。それから不正
送金先の口座名義人ですが、これが中国人ないしは中国人とみられる名前の人
が相当多くを占めているということも判明しているところであります。こうし
た事犯というのは、主に固定のパスワードを使うといったセキュリティが比較
的甘い金融機関が狙われているという傾向があるわけでありまして、私どもと
しては、金融機関や金融庁、全国銀行協会等の関係機関・団体等に対して顧客
への注意喚起を行うとか、また可変式パスワードを推奨するとかいった対策を
講じていただきたいという要請をしているところであります。

   併せて警察庁では、次期通常国会に向けましてフィッシングサイトの掲出自
体を犯罪化するとか、不正アクセス行為をより重罰化するとかいったことを内
容とする不正アクセス禁止法の改正案を上呈すべく現在検討を進めているとこ
ろです。

   引き続き警察としましては、外国の関係機関との連携も図りながら捜査を徹
底するほか、こうした関係機関・団体と連携しながらサイバー空間上における
犯罪を防止していくための対策を強力に進めてまいりたいと考えております。

   (大臣)若干補足しますと、昨日そのことについては、長官から総理にも御
説明をいただいて、総理も非常に関心を強く深く持っていらっしゃるわけです
が、私もその後、総理と色々と協議をさせていただいてですね、国内のことは
警察はもちろん官房機構あげて全力で取り組んでまいります。今、最後にあっ
た外国の機関と。これはもう非常に幅広で難しいわけなんでございますが、特
に関係事案の多い中国とか韓国とかアメリカ等々についてはですね、国際協力
を進めていくために、いずれ機会をみて私自身もその協議に行きますというか、
行くというような話を昨日してきたところでございます。具体的にはまだ進め
てはおりませんが、最終的には国際協力をいかにやっていくかと、これができ
ないと先々非常に、完全な対策というのは最初から無理なんでしょうけども、
抑えるのが困難になってくる可能性がありますので、そういう話合いも強めて
いきたいというふうに思ってます。