国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年12月27日(火)9:27~9:54

2 場所 内閣府本府1階記者会見室

3 概要  お待たせしました。すみません。今日は色々なことが沢山ありましたけれ
ども、特に私から申し上げたいのは拉致の問題と、それから消費者庁、国民
生活センターに関する問題でございます。

      本日は、閣議前に拉致対策本部の第6回会合が開かれました。野田内閣に
おいては初めての会合でございます。そして、なぜ今日かということは、か
ねてから年内に行いたいと思っておりましたが、特に野田総理の訪中などの
後にある程度情報を整理して行いたいと、こういうことでございますので、
またすぐインドに向かわれますので今日行うということになりました。

      そして、私の方からは19日の金正日国防委員会委員長の死去を受けての
今後の対応といたしましての確認として、まず第1は「拉致問題の解決なく
して日朝の国交正常化なし」という基本方針を堅持していきましょうという
ことでございます。また、2番目として、昨年11月の8項目の本部長指示
の方針に沿って、政府一丸となって取り組んでいくということをまず確認を
させていただきました。

      次に、拉致問題の対策本部としての取組として、とりわけ拉致問題の実質
的進展のためには水面下での、水面下という意味は、表では総理とか、ある
いは外務大臣等々の公式折衝あるわけでございますが、実質的な進展のため
には水面下での核心につながる情報収集や北朝鮮中枢部との交渉チャネルの
開拓が不可欠であり、拉致問題対策本部事務局としてはこのことを推進して
いくと、こういうことを考えているということでございます。そして、その
ために事務局を職員等々を中心にして各国に派遣する等々して、あるいは北
朝鮮中枢部へのアプローチチャネルの確保を図っていく等々の努力を事務局
中心にしてまいりますということ、そういうことが大きな1点目でございま
す。

      次に、2点目といたしましては、拉致問題対策本部の体制強化についてで
あります。そこはお手元に資料が配付してあると思いますけれども、関係府
省連絡会議のもとに分科会を設けると。そして、7つの分科会を設ける予定
にしております。それは7つというのはどういう意味かと言えば、昨年11
月の8項目の本部長指示に基づいた7つの分科会ということでございます。
分科会のメンバーについては、今後関係府省の副大臣等を中心に各大臣の了
解を得て決めさせていただきたいと考えております。最後に総理からは7つ
の分科会を順次設置の上、取組の深度を深めて、特に戦略を練ってもらいた
いという旨のお話がございました。

      以上が拉致問題に対する御説明でございます。

      それから、もう一つ消費者問題でございますが、消費者庁とそれから国民
生活センターの、一言で言うと、一元化という呼び名で、呼称でかなり前か
ら論議をされてまいりましたが、そのことについては前から申し上げている
手順を言うと、国民生活センターと消費者庁との間でのそのことに関する試
行を行ってまいり、またそういうことも念頭に置きながら第三者からなる国
民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議というものを設置をいた
しまして、消費者庁との一元化、今申し上げた一元化以外の選択肢も含めて
議論を進めてきたと。ですから、両者の一元化ありきということではなくて、
それ以外の選択肢を含めて議論を進めてまいったところでございます。また、
財産事案の情報分析や提供に関する消費者庁との一元化の試行をやってまい
りましたが、その実施状況についてもあわせて検証・評価を行ってまいった
ところでございます。

      こうした検証会議の中間取りまとめを今度提出していただきましたので、
先般政務三役として協議した結果、国民生活センターの各機能については、
その全てを維持し、基本的に一体性を確保しつつ、より一層充実させていく
ということとすると。このため、国民生活センターの各機能を、独立行政法
人改革による新たな法人制度ではなく、これは別な法人制度をつくってはと
いう案もあったわけですが、そういうことではなくて、国に移行するという
ことが妥当という判断に至ったと、そういう結論でございます。

      国に移行するという意味はまた説明しますけれども、消費者庁と国センを
一元化するという意味ではなくて、国に移行するという大原則をやっていき
ましょうと。といいますのは、この後、副大臣から細かく御説明があり、そ
の資料ももう既に入っていると思いますが、非常に期待されるものは大きい
し、裾野がかなり幅広いことはよく承知をしているわけでございますが、実
態的にはまだ消費者庁もつくられて期間は少ないし、国民生活センターあわ
せても予算と人員にはかなり限られたものがあるわけでございまして、そう
いうことからこの例の茶のしずくの問題とか、あるいは安愚楽牧場の問題等
々の色々と御指摘もあったわけで、そういうこと等々を踏まえながら、しか
し、これを解決していかなければいけませんから、そういうことから考える
と、今の時点では総合的に国に移行することが妥当と、こういう結論で、詳
しくはまた説明をしていただきます。しかし、では、実際にどうやるのかと
いうことについては、これから別途夏までの間、なぜ夏までの間と言ってい
るかというと、その後予算というのがありますから、それに合わせてそれを
にらみながら夏までの間に改めて結論を得ると、そうした上で平成25年度
を目途にして国民生活センターの各機能を国へ移行するための所要の法整備
を行っていくと、こういう方向でございます。

      あとまた説明がありますから、大体その両方、そのぐらいにさせていただ
いて、もし御質問があればどうぞ。ちょっと先に拉致のほうからにしましょ
うか。なければいいですけれども。

  自民党政権時代にもこういう会合があったと思うんですけれども、それと
も違うという。

答  自民党時代の分科会というのはお役人さんが中心というか、ほとんどで政
務は1人しか入っていなかったんですが、今度は名前は分科会ですが政務が
中心になる分科会というところが大きな違いでございます。

  今回の分科会の設置は金正日総書記の死去に関連するものなのか。そうじ
ゃなくて、もともとそういうことを念頭に置いて設置を考えていたのか、ど
っちなんでしょうか。

答  もともと設置を考えていたものです。したがって、新たに野田内閣でスタ
ートいたしましたが、最初にやっても、それは頑張りましょうというセレモ
ニーにすぎないわけでございますので、ある一定期間をこなして総理も外務
大臣も外遊をなされて、各国に訴えてきたとか、あるいは私も各国大使等々、
あるいは御家族の皆様、関係者の皆様等々の御意見や御意向、お気持ち等々
を色々と伺ったと、こういう一つのある程度の時点で、しかし今回北朝鮮の
ああいう問題が起きましたので、これはもう場合によっては来年でもいいか
なと、こう思っていたんですが、ここはその対策も含めてこの時期に行うべ
きだと。ですから、そういう意味じゃ両方の意味を持って今回行ったという
ことです。

  その分科会設置の意味というか、何を狙って設置をするかということと、
順次設置ということなんですけれども、いつぐらいを目途に設置を始めてい
く予定でしょうか。

答  これは必要とされるものから先に順次─あくまでも、この形式を整え、組
織をつくってやったんだということはしないつもりですし、ですから、必要
なものから順次つくって、一、二か月の間につくって、人選もしなきゃいけ
ませんから、人にも大分よりますから、そういうことでやっていきたいと、
こういうふうに思っています。

  大臣、1点だけすみません。先ほど政務三役が中心という分科会のことで
すけれども、これ当然1から7に例えば内閣府副大臣とかというふうなイメ
ージをお持ちなんでしょうか。

答  そうですね。

  7人という意味じゃない。例えば、1と4と7は誰かが兼ねるとか、そう
いうイメージで。

答  そういう兼ねるということは原則ないと思っているんですけれども。

  基本的に、じゃ、副大臣を7人選択という。

答  具体的に誰ということはまだ申し上げられませんけれども、そういうこと
を念頭に置いております。政務官もあるかもしれませんけれども。

  先ほど大臣おっしゃった拉致対策本部で2件ということでしたけれども、
水面下でのチャネルの開拓とこの分科会の設置とは関連しているんでしょう
か。分科会は何らか水面下のチャネル開拓にも活躍するということがあるん
でしょうか。

答  それはいずれにしてもそういうことは言えると思いますし、また拉致本部
のメンバーではない国会議員の先生方から色々と例の北朝鮮の資料等々の入
手とか情報の収集とか、そういうお話は広くいただくようにしておりますし、
現にいただいておりますから、ですから、そういう点においては関係者全員
がそういう意識を持って取り組んでいただきたいという意味も1つあります。

   それから、もう一つは、実際にはそういう情報をキャッチしたり、あるい
は交渉チャネルを開拓をしていくというのは、今まで一切外には言いません
でしたけれども、いつも申し上げているとおり、家族やあるいは支援者の─
そういう言葉が適当かどうかわかりませんけれども、ケアとか、あるいは国
内のそういうムード、環境の盛り上げということが1つのテーマであります
し、もう一つのテーマは、色々な情報が乱れ飛んでおりますけれども、その
実態情報の把握とか、検証とか、そういうものをかなり踏み込んで今やって
いるわけでございますが、このことについてはいつも非常に申し訳ない言い
方なんですが、具体的に、じゃ、どうしているのかということを申し上げる
わけにはいかないと申し上げているのは、一般的な言葉で言うと、そういう
ことを申し上げれば、その内容が変えられるおそれがあるし、また逆に言う
と、危険が、拉致の皆様への危険が伴う可能性もありますので申し上げられ
ないと言っているところでございますが、そのことが2つ目の大きな問題で
ございますし、3つ目は実際に今度は新しい体制に変わりましたが、その状
況の分析を今私どもだけじゃなくて至るところで徹底的にやっているところ
でございますけれども、その交渉チャネルというのは表チャネルもあるかも
しれませんが、実態チャネルを探し出したり、あるいは下交渉をしていかな
ければ解決にはつながっていかないと思っていますから、このことも今まで
も努力をしてまいりましたけれども、またここで新たな体制変化という時点
になりましたので、それも新たにしていかなきゃならないと、こういうこと
でございますが、それが三本柱であって、一本柱はいつも申し上げられるん
ですが、二本目、三本目は申し上げられませんが、三本目が整わないとこの
ことは進まないと思っているというのは、これは事務局を中心にやっていか
なきゃいけないと思っております。

   3つ目の要素は、その話がある程度進んでいったときに、これは高度な判
断になっていきますけれども、我が国としてどう対応をするのかということ
も内閣や国民的コンセンサスの要ることでございますから、ある意味では─
仮定の話かもしれませんが、検討しておかなければ回らないという問題も出
てくるんじゃないかと思っております。よろしいですか。

   では、消費者庁。

  検証会議が選択肢の一つに残した政府から独立した法人というのは実現が
とても難しいということで検討の対象から今回は外されたということなんで
すが、消費者団体がそれを残すことにこだわったのは、一元化以外の特別の
機関にする、消費者委員会に残す案というのが、法テラス型の法人よりも実
現化は非常に難しいのではないかという背景があったから、ここの選択肢に
とどまったという、そういうふうに認識しています。

   特別の機関とか、消費者委員会に移す一元化以外の方法について、夏まで
に検討されるお考えはあるんでしょうか。

答  もうちょっと分かりやすく言ってください。

  一元化以外に選択肢が挙がっているものの中には特別の機関に設置すると
いう案、あと消費者委員会に移すという案、内閣府の本府に置くという案と
か色々挙がっているんですが、それについても本当に検討をするのでしょう
か。

答  それについても8月までの間に検討するという意味です。それで、そこを
整理をして言いますと、行政刷新会議で考えているのは別な種類の独立行政
法人というのを新たにつくるということもあるというふうに考えているんで
すが、それは選ばないというのが皆さんのもう既に出ている結論でございま
すから、そういうものにはしないと。しかし、やはり予算とか人手とか機能
とか、これから副大臣から説明しますが、今やり得る最善の道はいずれかの
形でも国に移行させて、その中でやることがまずパワーや機能はつくんじゃ
ないかと。さはさりながら、それでは、今まであった国センの良かった点や
更に良くすべき点と、こういうものを失わないように更に強めるような方法
をこれから8月までの間に検討をしていただくと、その選択は今おっしゃっ
たようなものも含めて検討していただく。

  法テラス型の法人はもう絶対に無理だという結論が出たということで受け
とめてよろしいでしょうか。

答  基本的にはそういうことでしょう。できるならいいですけれどもね。

  1つの機関の中であっせんもADRも実施できると、国の機関の中でと、
お考えでしょうか。

答  それをみんなで消費者団体の皆さんも含めた皆さんで色々と検討してベス
トのものをつくっていただきたいというのが今の段階です。

  最初に選択肢を切ってしまって、期限イコール一元化案しかないというこ
とになると茶番ではないんではないかという指摘も出ていて、こういう先に
選択肢を限ってしまうやり方で国会の議論を乗り切れるとお考えでしょうか。

答  そうおっしゃるけれども、いつまでも宇宙遊泳みたいなことをしていても
全く結論が出ないと。そうすると、これは今予算も人手もないし、逆に言え
ば行政刷新会議からも迫られている段階でそういうのは事実上難しいだろう
という結論です。

  確認ですが、国への移行の具体的な移行先としては、中間取りまとめで、
消費者庁、消費者委員会、内閣府本府というのを具体例として挙げているん
ですが、ここら辺が選択肢だと考えていいんですか。

答  今考えられるのはそんなところかなというんで、具体的に。別なものがあ
れば、それでもいいんですよ。ですから、決めているわけではなくて、やは
り予算とか人の数とか、現実に色々な問題が出てきて、非常にざっくばらん
に言うと、反省も含めて対応が遅れているわけですよ。今の起きている問題
等々に。そういう起きている問題も今一緒に検討をして、抽象論ではなくて
具体的にこういうことが解決できる、そういう方策にしていきましょうと、
今こういうことなんで、この後副大臣から説明をしていただくということで
す。

  すみません、あともう一つなんですが、別途検討の場というのは、この間
のような検証会議のようなメンバー構成といいますか、消費者団体とか有識
者とか、そういうことでよろしいでしょうか。

答  それはもうオールメンバーです。誰かが勝手にやるということではなくて、
私はもう最初から基本方針で申し上げているのは、これは政府や行政の都合
のよい制度ではなくて、消費者にとって、生活者にとって何がベストかとい
うことから逆算をして考えていただきたいと。ただ、そうはいっても、抽象
的な論理を永遠に続けているわけにはいきませんから、現実に安愚楽の問題
とか茶のしずくの問題とか、どんどん出てきていますし、インプラントの問
題とか出てきていますから、そういう現実にも対応していかなければいけま
せんので、そういうことを踏まえながらやり得るベストを考えていただきた
いという段階です。