国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年1月19日(木)11:22~11:32

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について御説明申し上げます。本日は
全員出席でありました。議題事項については、「人事案件について」説明があ
り、原案どおり決定いたしました。報告事項については、お手元の資料のとお
り報告が警察庁からございました。

      東北3県警察への特別出向の開始についてですが、東日本大震災の発生を受
け、岩手県、宮城県及び福島県警察の警察官を増員するため、昨年11月に警
察法施行令を改正し、準備を進めてきたところであります。2月1日付けで全
国警察から東北3県警察に750人の警察官が特別出向することとなりました。

      全国警察から岩手県、宮城県及び福島県に特別出向する警察官が被災地の皆
さんの安心と安全の確保のため、全力を尽くすことを期待しております。

  大臣にお伺いします。昨年1年間の特殊詐欺の認知・検挙件数などが発表さ
れましたけれども、これまで警察は未然防止を含めて相当懸命に対策を講じて
きたと思うんですが、それにもかかわらず振り込め詐欺の状況は大変依然とし
て厳しいと言っていいと思うんですけど、振り込め詐欺の撲滅に向けて大臣の
意気込みなどをお聞かせください。

答  (大臣)振り込め詐欺事案については、高齢者被害の多いオレオレ詐欺の増
加傾向が止まらず、これに伴って振り込め詐欺全体の被害額が前年と比べて大
幅に増加するなど、依然として憂慮するべき厳しい状況にあると報告を受けて
おります。

   こうした状況を踏まえ、現に犯行を繰り返している犯行グループに重点を置
いた取締りを強化するとともに、「家族の絆」をテーマとした高齢者の子や孫
を通じた被害予防対策を強力に推進していくように、警察庁を指導してまいり
たいと思います。

   また、振り込め詐欺については、ひとり警察だけではなく、その取締りで撲
滅できるわけではありません。官民一体となった取組が必要であり、金融機関
や携帯電話事業者等の関係事業者・団体、また、今日たくさんのマスコミの方
もいらっしゃっておられますが、こういったマスコミの皆様とともにこの問題
の撲滅に全力で取り組んでいきたいと思っております。

  大臣にお伺いします。一部の報道で北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)氏が日
朝交渉はまだ続くという旨の発言をしたとされているんですけれども、大臣が
把握されている内容とそれについての所見をお願いします。

答  (大臣)宋日昊氏の発言は、マスコミ等の報道で承知をしておりますが、
「自分達は日本との拉致の問題に対して交渉するのがその役割であると、それ
をしないと言ったことはないと、これからまた交渉は続くだろう」とこういっ
た発言をしたというふうに聞いております。私は大臣就任以来、拉致問題の解
決のためには様々な接触が多角的にあらゆる可能性を排除せずに行われること
が必要であると、解決のために言ってまいりました。今回の宋日昊氏の発言が、
そうした私の発言に対してある種の前向きなメッセージを発したものと思料い
たしております。

  それについてなんですけれども、日本政府として日朝交渉をどのように考え
ていらっしゃるのか大臣の所見をお聞かせください。

答  (大臣)この問題は、野田総理を長とする拉致対策本部を含め、拉致問題に
ついては、これからの進め方を当然検討するものというふうに考えております。

  長官にお尋ねいたします。この17日に福岡県の中間市で、建設会社の社長
が何者かに銃撃されるという事件がありました。福岡県警は、工藤会の犯行と
いう見立てをしていて、家宅捜索をやるかというところであります。昨年から
福岡を中心に暴力団排除に取り組む人達への襲撃が相次いでおりまして、警察
庁も昨年の暮れには、こういう保護対策の徹底を全国に指示したところであり
ますが、そういう中で、またこういう事件が起きたこと、それから犯人検挙が
昨年の27件のうち1件しかされていないこと、射殺事件の検挙については、
まだでありますが、こういった現状について、長官のお考えをお聞かせくださ
い。

答  (長官)御指摘のように、1月17日に福岡県の中間市内で、建設会社の役
員の男性の方が何者かに拳銃で撃たれて重傷を負ったという事件が発生をして
ます。本件は、まだ暴力団によるものと断定をしたわけではありませんが、当
然その可能性を視野に入れて、福岡県警では被疑者の早期検挙と全容解明に向
けて、全力で捜査に当たっているという状況でございます。

   いずれにしましても、特に福岡県において、こうした事案が相次いでいるこ
とは極めて由々しき事態と認識しておりまして、これまでに発生した事案も含
めて捜査に全力を挙げるとともに関係者の安全確保にも万全を期してまいりた
いと考えております。

   なお、一般論として申し上げますと、事業者の方々の中には、警察に対して、
暴力団との関係について、事情を説明することを躊躇するという方もおられま
して、そうした場合には、捜査及び保護対策の両面で支障が生じることになり
ます。したがって、是非警察を信頼して、御協力をいただきたいと我々は考え
ております。本件についても、被害者の方の回復を待って、詳しい事情をうか
がって、捜査と保護の両面で万全を期してまいりたいと考えております。

   また、この種事案では、現行の法令の範囲内では、証拠の収集について一定
の限界があることも、これまた事実でございます。現在、国家公安委員会委員
長主催の勉強会において捜査手法の高度化について議論がなされております。
また、法制審議会に特別部会が設けられておりますけれど、是非この中でも、
こうした問題について検討が行われますように、我々としても積極的に、法制
審議会の特別部会で議論に参加をしてまいりたいと考えております。

   さらに、御承知のように、次期通常国会に暴力団対策法の改正案を提出する
ことにいたしておりますので、この成立についても全力を挙げてまいりたいと
考えております。

  長官にお尋ねします。千葉県警で15年前にあった殺人事件についてであり
ます。いわゆる真犯人が最近逮捕されたということは、喜ばしいことでありま
すが、発生直後には、事件とは結果的に無関係であった被害者の親族3人を逮
捕して、昨日千葉県警の捜査一課長が、これは誤認逮捕であったと認めた上で
謝罪をしました。この件についての長官の御所見をお願いします。

答  (長官)御指摘のように、誤認逮捕であるということが明らかになったわけ
でございます。誤って無実の方3名を逮捕いたしまして、そしてまたこうした
方々に対して、大変な御心労をおかけしたことについては、極めて遺憾であり
まして、お詫びを申し上げたいと思っております。

   この捜査は、様々な問題点があると私も考えておりますので、そういった問
題点を踏まえて、こうした誤認逮捕がないように、誤認逮捕の絶無を期すよう
に、今後とも各県を指導してまいりたいと考えております。