国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年2月23日(木)12:07~12:14

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員出
席でした。議題事項については、「人事案件について」、「犯罪被害者等給付
金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について」、「道路標識、
区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令案について」説明があ
り、原案どおり決定いたしました。報告事項については、お手元の資料のとお
りの報告が警察庁からございました。

      このうち、「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会最終報告」に関
しましては、本日、前田座長から研究会の最終報告を御提出いただきました。

      研究会では、約2年間、23回にわたって会議を開催し、治安水準を落とす
ことなく可視化を実現するため、捜査手法、取調べの高度化について大変熱心
な御議論を賜りました。

      最終報告では、制度としての取調べの可視化について様々な意見や考え方が
あることが明らかにされるとともに、警察における取調べの録音・録画の試行
の拡充、取調べ及び捜査手法の高度化等について、一定の方向性が示されたも
のと認識をいたしております。

      警察においては、適正手続を全うしつつ事案の真相を解明し、犯人の的確な
検挙・処罰を通じて治安水準の維持・向上を図るべく、報告に盛り込まれた提
言を受け、できるだけ速やかに必要な取組を講じていく所存であります。

  委員長が仰った高度化研究会について、委員長と長官にそれぞれお尋ねしま
す。委員長、この研究会について言及がありましたけれども、この内容そのも
のについての御評価につき、仰ったこと以外で何かあればお伺いしたいという
のが1点と、それから長官に、この報告を受けて、警察庁として今後、可視化、
捜査手法の高度化についてどのような取組をなさるのかについてお伺いします。

答  (大臣)この最終報告は、いわゆる治安水準を落とすことなく取調べの可視
化を実現するための検討を行ってきた結果を取りまとめたものであると承知を
いたしております。

   先ほども申し上げましたが、最終報告では、制度としての取調べの可視化に
ついては様々な意見や考え方が示されたところでありまして、その様々な意見
や考え方についての認識を私も強く持ちました。他方、警察における取調べの
録音・録画の試行の拡充、取調べ及び捜査手法の高度化等に関しては、一定の
大きな方向性が出たものという認識を持っております。

   取調べの可視化や捜査手法の在り方等については、現在、法制審議会、具体
的には「新時代の刑事司法制度特別部会」においても調査審議が行われている
と承知しておりまして、捜査の多くを担う警察としては、今回の最終報告を踏
まえ、議論が行われることを期待いたしております。

   国家公安委員会としては、警察庁に対し、最終報告の提言を踏まえ、法務省
と連携しつつ、速やかに必要な取組を進めていくよう指導してまいりたいと思
っております。

   (長官)今回の最終報告では、一つには警察における取調べの録音・録画の
試行の範囲を拡大することというお話がございました。二つには、取調べの高
度化を図るために、取調べ技術の研究を進めること、取調べに関する研修、訓
練の在り方を見直すこともございました。また、DNA型データベースの拡充
とか、通信傍受の拡大を始めとする捜査手法の高度化に向けて具体的な検討を
進めることといった提言がなされたものと承知をいたしております。

   まず、取調べの録音・録画の御質問でございますけど、この試行を拡大せよ
という御指摘でございますが、これを受けまして、私どもとしましては、従来
から行っている裁判員裁判対象事件の試行について、新年度を目途として、自
白事件に限らず、必要に応じて否認事件もその対象にいたしたいと考えており
ます。また、取調べの最終段階だけではなくて様々な場面についても録音・録
画を行うといったようなかたちで、その範囲を拡大いたしたいと考えておりま
す。それから、知的障害を有する被疑者については、裁判員裁判対象事件に限
らず、すなわち罪種を問わず試行を開始することにいたしたいと考えておりま
す。

   また、捜査手法でございますけれども、このうちDNA型データベースの拡
充のような運用上で可能なものについては、速やかに実現に向けて取組を進め
てまいりたいと考えております。

   他方、通信傍受の拡大であるとか、量刑の減免制度等、刑事司法制度の根幹
に関わるような改正については、今回の最終報告を踏まえて、法務省とも連携
をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。

   特に、法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」において、今後、捜
査手法の問題についても審議の対象となると考えられますので、今回の最終報
告を十分に踏まえて議論を行っていただきたいと考えております。

   警察庁としましては、今回の報告を踏まえて、以上述べたことを含めて、行
動計画的なものを本年度中を目途に定め、それに基づいて必要な取組を進めて
まいりたいと考えております。