国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年3月29日(木)13:05~13:12

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。私は国会用務
のため国会終了後、途中からの出席でありました。委員は全員出席です。議題
内容については、「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関する基本
計画案等について」、「地域自主戦略交付金及び沖縄振興公共投資交付金につ
いて」説明があり、原案どおり決定いたしました。報告事項については、お手
元の資料のとおりの報告が警察庁からありました。

      このうち、習志野警察署員によるレクリエーション旅行等に関する調査につ
きましては、国家公安委員会としても事態を重く受け止め、千葉県公安委員会
の管理の下、千葉県警察において厳正な調査・対処等が行われるべきという考
えを伝えることとし、先ほど千葉県公安委員会委員長に対して、千葉県公安委
員会として同県警察を管理・監督する立場から、県警察の調査に対する点検を
徹底することにより、事案の真相解明、厳正な対処、同種事案の再発防止に万
全を期すよう県警察を指導されたい旨の連絡をしたところであります。千葉県
公安委員会の管理の下、千葉県警察が厳正な調査・対処を行うよう期待するも
のであります。

  長官にお伺いします。総合セキュリティ対策会議の提言がありまして、サイ
バー犯罪に対する事後追跡といったようなテーマで提言が出ております。ネッ
トカフェに対する本人確認というのも法制化が持ち出されましたけれども、長
官の御所見をお聞かせください。

答  (長官)言うまでもなく、サイバー犯罪を抑止し、また取締りを徹底してい
くためには、事後追跡可能性を確保することが極めて重要でございます。今年
度の総合セキュリティ対策会議におきましては、そのための貴重な御提言をい
ただいたわけでありますけれども、このうちデータ通信カード、無線LANに
ついては、関係事業者、利用者の努力によって相当程度の効果が上がるという
御指摘でございますので、御趣旨に沿って関係者の理解と協力を得ながら対策
が浸透するように、関係省庁とも連携しながら努力をしてまいりたいと思って
います。それから、インターネットカフェの問題でありますけれども、この本
人確認等の措置につきましては、平成18年度の総合セキュリティ対策会議で
も提言が出ておりまして、以後、事業者団体の自主対策によって、実施率が相
当程度上がっております。捜査への障害となるような事例も減少しているとい
う実態がございます。ただ、他方で自主的対策を行っている事業者団体の加入
率が最近下がってきているという状況が見られます。それから自主的対策を講
じていない店を殊更に選んで、そこでサイバー犯罪が行われているといった傾
向も見られますので、今回の提言では「これまで行政指導によって行われてき
た取組みについて、法制化を検討することが望ましい」と御指摘をいただいた
ところであります。

   警察庁としまして、まだ確定的なことを言える段階ではないので、その法規
制の可否を含めてという前提条件を付けざるを得ませんが、御指摘を踏まえて
法規制の在り方について検討してまいりたいと考えております。

  長官にお尋ねします。捜査手法・取調べの高度化プログラムというものがま
とまって、取調べの録音・録画の対象を一部広げ、それからDNAデータベー
スの拡充ということが改めて決まったわけですけれども、この取調べと捜査手
法の今後の在り方について改めて長官の御所見を伺いたいと思います。

答  (長官)先般ご説明しました「捜査手法・取調べの高度化を図るための研究
会」による最終報告において、取調べの録音・録画の試行を拡充すべきだとい
う提言がなされたところでございます。その御趣旨は、この録音・録画の効果
とか、問題点を実証的に検討する上で、これまでの試行の内容では不十分であ
って、様々なパターンの試行を積み重ねる必要があるという認識によるものと
考えております。この点を踏まえまして、今回、プログラムにおいては、裁判
員裁判対象事件に係る試行を拡大するとともに、知的障害を有する被疑者に係
る事件における試行を開始するなど捜査等に支障が生じないよう配意しながら
積極的な試行を実施することとしたものでございます。

   それから、捜査手法についてでございますけれども、これについても、様々
な御提言をいただいているところでございますが、そのうちデータベースの拡
充、DNA型データベースの拡充については運用上できるものから順次進めて
まいりたいと考えております。

   このほか、通信傍受法の対象範囲の拡大等、警察だけでは実現できない課題
が多いことから、現在開催中の法制審の特別部会で今回の研究会の提言の趣旨
が反映されるように努めていくとともに、関係省庁とも連携をしながら個々の
捜査手法について、検討を進めてまいりたいと考えております。