国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年4月19日(木)11:54~12:07

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は髙木委
員以外出席であります。議題事項については、「人事案件について」説明があ
り、原案どおり決定いたしました。報告事項については、お手元の資料のとお
りの報告が警察庁からありました。

      このうち、「京都市内で発生した死傷者多数の交通事故について」に関連し、
今後、自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気の症状の的確な
把握等により、より実効性の高い制度や運用の在り方を検討するため、有識者
により構成される会議を設置する必要があると考えており、その旨を警察庁に
申し伝えたところであります。以上であります。

  長官にお伺いします。先ほど大臣が一定の病気についても、免許制度の運用
や在り方を検討する有識者会議を設置したほうがいいというふうな言葉があっ
たんですが、警察庁としては、有識者会議にどういった狙いとどういった方針
で議論してほしいのか所見をお伺いしたい。

答  (長官)先般、昨年4月に栃木県鹿沼市において発生した病気に起因する死
傷者多数の交通事故を踏まえて、17万人の署名を添えた道交法改正等を求め
る要望書が提出されたわけであります。それを頂戴いたしました。また、先日、
12日でありますけれども、京都市内において死傷者多数の交通事故が発生い
たしまして、それが病気に起因するものかどうか、現在、捜査中で現段階では
まだ明らかではございませんが、この被疑者は今年3月に運転に影響のある病
気があるということを隠して運転免許証の更新を行ったという事実が明らかに
なっているところでございます。こういった状況を踏まえて、警察庁としては、
自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気のある方に係る運転免
許制度の在り方について、制度・運用の両面から、そしてまた法改正も視野に
入れながら、具体策の検討を進めてまいりたいと考えております。ただ、こう
いった一定の病気にかかっている方に関する運転免許制度の在り方については、
一方では道路交通の安全を図るという問題がありますが、他方でそういった方
々の社会参加の確保、プライバシーの保護という問題がございます。その両立
をいかに図るかということは、極めて慎重な検討を要するところでございまし
て、専門的知見を有する方を始めとして、幅広い層の方々から御意見を頂戴す
ることが必要であると考えております。このため、警察庁において具体策の検
討を進めるとともに、大臣から今お話がありましたように、有識者により構成
される会議をできる限り早く設置いたしまして、様々な方々から御意見を頂戴
しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

  大臣にお伺いします。今朝、九州で発砲事件がありまして、元警察官の方が
重傷、かつ暴力団捜査にも関わっていたと、先日も県の方から暴対法の改正に
ついて早期成立の申出があったと思うんですけれども、その件を含めた所感を
お願いできますでしょうか。

答  (大臣)本日、福岡県内において福岡県警察で昨春まで北九州地区暴力団犯
罪捜査課で勤務をしていた元警察官が銃撃をされ、負傷した事案が発生いたし
ました。暴力団の関与の有無を含め、犯行の背景について現在捜査中でありま
すが、法秩序維持に対する重大な挑戦であって、法治国家としては断じて許さ
れることではないと考えております。かねてから、福岡県を始めとして、北九
州北部において対立抗争で市民が巻き添えになったり、事業者が殺傷されたり
する事件が続発しており、市民の方々に著しい不安を与えております。このよ
うな事態は、海外からも我が国の治安に対する懸念を惹起させる問題でありま
す。国家公安委員長として、全国警察が福岡県警察を支援し、必要な態勢を取
って市民の方々の安全の確保に万全を期するよう警察庁を指導したところであ
ります。

答  暴力団対策については、一昨日、福岡県知事、福岡市長及び北九州市長から
改正暴力団対策法の早期成立を強く要請され、また、地域住民が暴力団の脅威
にさらされている現状とともに、より強力な暴力団対策の必要性について直接
お話を伺い、自分としても、改めて今国会に提出されている暴力団対策法改正
案の早期成立に全力を尽くしてまいりたいと強く思っているところであります。
一日も早く改正法の成立・施行を実現し、強力な暴力団対策を進め、福岡県を
始め国民の皆様や事業者の方々が安心して生活することができるよう努力して
まいりたいと考えます。

答  明後日、21日に私は福岡県を訪問する予定でありまして、自分の目で現地
を視察し、住民の方々の声を聞くことは大切であると考えております。併せて、
暴力団対策に奮闘している福岡県警察を訪問し、督励してまいりたいと思いま
す。併せて、今朝の事件発生現場、また過日の対立抗争現場に足を運び、また
更に住民の方々の意見も聞いてまいりたいと思っております。

  長官にお伺いします。長崎ストーカー殺人事件についてですけれども、千葉
県警の慰安旅行の問題について、御遺族が第三者による再検証を求めていまし
て、県警による再検証の結果報告を拒否しているというような状況があるよう
ですが、これについて長官の御所見をお願いします。

答  (長官)御遺族の方から文書を頂戴しておりまして、私も拝見いたしました。
千葉県警察では、現在、今回の一連のストーカー事件に関する検証を先に行っ
たわけでありますけれども、その中でレクリエーション旅行について、全く触
れられていないといったことについて、その経緯であるとか、また、このレク
リエーション旅行が今回の捜査に与えた影響といったこと等々について、現在、
中立的立場にある監察部門を中心として検証を進めているところでございます。
また、これについては、外部の有識者で構成されております警察に対する第三
者的管理機関であります公安委員会が、徹底した点検を進めていると認識いた
しております。千葉県警では、この検証結果については、事前に御遺族の方に
御説明した上で、公表したいと考えておりまして、現在、御遺族に対して、そ
のための働きかけを行っているものと承知いたしております。引き続き、御遺
族の方々には御説明を聞いていただけるよう誠意を持ってお願いしてまいりた
いと考えております。

  長官にお尋ねします。4月12日に京都市の東山区祇園で暴走車による事故
がありまして、19人が死傷するという事件がありまして、その日の夜に京都
府警の本部長、捜査指揮者たる交通部長が署長を集めた懇親会に参加をし、そ
こで飲酒をしていた事実が判明いたしました。この本部長、交通部長の行為に
ついて長官のお考えをお尋ねします。

答  (長官)12日に京都市内において死傷者多数の交通事故が発生しました。
まずはじめに亡くなられた方々のご冥福を申し上げ、そして負傷された方々に
心からお見舞いを申し上げる次第でございます。この事故の当日の晩、今お話
がございましたように、警察本部長と交通部長は署長会議後の懇親会に出席を
し、酒を口にしたとの報道がなされております。これは事実であったと報告を
受けているところであります。この件に関しまして、本部長からは「捜査に支
障を生じることはなかったけれども、配慮が足りなかった。」という説明を受
けているところであります。まず、捜査の状況については京都府警から当庁に
対し、随時報告がなされておりますけれども粛々と進められておりまして、少
なくとも現段階において本部長等がこの懇親会に出席したことによって捜査に
支障が生じたという認識は私どもも持っていないところでございます。ただ、
多くの死傷者が出、社会的な反響も大きかった事故でございまして、被害者や
御家族の御心情や地域の方々の不安感を慮ると、やはり配慮に欠ける部分があ
ったと言わざるを得ない、また捜査の指揮官として誤解を生じかねない部分も
あったと私も認識をいたしているところでございます。なお、本日、本部長が
会見を開いてこの経緯等については説明をすると承知しております。

  大臣にお伺いします。今朝、総理大臣官邸で総理や官房長官とお話されてい
たんですけれども、それはどういった内容だったんでしょうか。

答  (大臣)今朝、官邸で総理及び官房長官と個別に拉致問題に関して、私の方
から現状についての報告をしたところであります。

  朝鮮学校の無償化について、意見交換は交わされましたか。

答  (大臣)あくまでも拉致問題に関しての報告をしたということであります。