国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年8月9日(木)12:51~13:00

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は、全員
出席です。議題事項については、「人事案件について」、「平成25年度警察
庁予算概算要求重点項目(案)について」、「暴力団員による不当な行為の防
止等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関す
る政令案(仮称)等に対する意見の募集について」の説明があり、原案どおり
決定いたしました。その他警察庁から報告事項について、報告がございました。

      このうち「『警察改革の精神』の徹底のために実現すべき施策について」は、
これまで国家公安委員会として警察庁より検討状況について報告を受け、指導
してきたところですが、この度、検討の結果を取りまとめられたとの報告を受
けたものであります。国家公安委員会としても、全国警察において各施策が着
実に実施されるとともに、引き続き実効ある施策の構築に向け、検討がなされ
るよう警察庁を指導してまいりたいと考えております。

      以上です。

  大臣にお伺いします。いじめに関する社会の関心が高まっていまして、実際、
今年上半期のいじめに起因する事件数が対前年比で増加していますが、このこ
とと、「非行少年を生まない社会づくり」の推進に向けて、大臣の御所見をお
願いします。

答  (大臣)いじめに起因する事件については、平成24年上半期の事件数は6
5件であり、前年同期に比べて増加しましたが、全体としては平成19年以降
減少傾向にあり、今回の統計が6か月間のものであることも踏まえると、前年
同期より増加した理由を一概に述べることは困難と考えます。

   いずれにしても、いじめ問題に的確に対応していくため、学校と警察との連
携を強化していくことが重要であると認識しており、先般、文部科学省が設置
した「子ども安全対策支援室」のメンバーとして警察庁職員2名を参画させた
ところであり、今後、同省とも綿密に連携・協力してまいりたいと考えます。

   また、いじめ問題を含めて、次代を担う存在である少年の非行防止は社会全
体に関わる重要な課題であることから、関係機関・団体やボランティア等と連
携して、非行少年の居場所づくり活動を始め、立ち直り支援の強化など、「非
行少年を生まない社会づくり」を一層推進するよう警察庁を督励してまいる所
存であります。

  大臣にお伺いします。今日、北京で日朝の赤十字の方が会談するんですけれ
ども大臣の御所見についてお伺いします。

答  (大臣)この問題でありますが、北朝鮮に残された邦人遺骨の問題は、戦後
未解決の問題と認識いたしております。他方で拉致問題は時間との戦いである
とこれまでも繰り返し申し上げてきたところであります。北朝鮮で救出を待ち
わびている拉致被害者を御家族が元気でいらっしゃる間になんとしても取り戻
すという一刻を争う我が国の最重要かつ最優先課題であります。北朝鮮は「拉
致問題は解決済み。」と繰り返し、極めて不誠実な態度をとり続けており、
「邦人遺骨問題を提起し、拉致問題の棚上げを図るのでは。」と懸念する意見
が多くあります。いずれにせよ、遺骨問題は拉致問題とは別問題として適切に
判断されるものであり、私としては今後とも、拉致問題の解決のために全力で
取り組んでいく決意であります。

  長官にお尋ねします。不祥事の防止策がこのほどまとまったところでありま
すけれども、この内容についての長官の評価と、それから効果は本当にあるの
かどうかについて、お尋ねを致します。

答  (長官)本日、「『警察改革の精神』の徹底のために実現すべき施策」を取
りまとめまして、警察庁長官名で全国の都道府県警察等に通達を致したところ
でございます。今回の施策は、最近の懲戒処分者数の増加ということのほかに、
「長崎県西海市における女性2名殺害事件」における一連の相談等の対応の問
題、そしてまた、警察署長等による非違事案の組織的な隠蔽事案、また証拠の
改ざんといったような事案を受けて打ち出すことに致したものでございますが、
その背景には、平成12年以降、全国警察を挙げて推進してまいりました「警
察改革の精神」というものが希薄化しつつあるのではないかという問題意識が
ございます。

   警察改革は、御承知のように、平成11年、12年にかけて全国警察で不祥
事が多発したことを受けて行われたものでございますけれども、その後、懲戒
処分者の数は、順調にかつ大幅に減少しました。しかしながら、これが約10
年を経た平成22年以降、懲戒処分者が増加を致しまして、今年の上半期の状
況も公表したところでございますけれども、依然、高止まりの状況が続いてい
るところでございます。

   すなわち、警察改革において採られた施策というのは、それぞれ有効に機能
したというふうに評価をしておりますけれども、その後職員が大幅に入れ替わ
ったということもあったかとは思いますが、最近はその精神が十分に浸透して
いない、特に幹部クラスに緩みがあるのではないかという危惧を私は持ってい
るところでございます。

   「警察改革の精神」というのは、「警察行政の透明性の確保と自浄機能の強
化」そして、本当の意味での「国民のための警察の確立」ということにあるわ
けですが、今般の施策の取りまとめに当たっては、これら「警察改革の精神」
を更に徹底させるためのより踏み込んだ具体的な施策を提起し、特に、「国民
のための警察の確立」ということについては、更に具体的に、「被害の不安に
困り苦しむ人に応える警察の確立」と明確化いたしまして、柱の一つといたし
たものでございます。これは、いわば「警察のあるべき原点に立ち返る」とい
うことの趣旨を明らかにしたものでございます。

   また、最近の非違事案をみますと、警察職員としての誇りと使命感とか、プ
ライドのかけらも感じられないような破廉恥な不祥事も多いわけでございます。
そこで、採用から教育、昇任管理、勤務の評価方式など、警察の「人的基盤」
を強化するため、様々な角度からの施策を提起したところでございます。

   これらは正に、警察としての自浄機能を発揮すべく行うものでございまして、
今後、できるものから順次早急に実施に移すとともに、時間をかけて検討を要
する課題についても、必要に応じて部外の専門家の意見も聴きながら、なるべ
く早い時期に成案を得て実施に移してまいりたいと考えております。

   全国のほとんどの警察職員が、日々、国民の安全を守り、また、安心して暮
らせる社会を作るために懸命に努力している中、一部の者による非違事案、不
適切事案が発生していることは極めて残念でございますけれども、こうした施
策を着実に推進することによって警察に対する国民の信頼を確保すべく努力し
てまいりたいと考えております。