国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年11月8日(木)12:22~12:34

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議は、全員出席であります。議題事項につい
ては、「犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁
決」等について説明がございました。そして、原案どおり決定いたしており
ます。その他警察庁から報告事項について報告がありました。

      また、私、去る11月3日から6日までの間、国際刑事警察機構閣僚会議
に出席のため、イタリア・ローマへ訪問いたしました。同会議では、都市部
における暴力犯罪への取組について、我が国における官民が連携した取組を
紹介するとともに、深刻さを増すサイバー犯罪に関して、捜査協力の強化を
言ってまいりました。その後のイタリア共和国、フランス共和国の内務大臣
及びアメリカ合衆国の司法副長官等とも会談いたしまして、幅広く意見交換
いたしまして、今後の当局間の協力関係の強化について、いろいろと認識を
共有してまいりました。

      以上、私からの報告であります。

  大臣にお伺いします。より合理的な交通規制のための点検の推進状況につ
いて報告があったと思いますが、御所見をお聞かせください。

答  (大臣)担当局長から報告がございました、この「より合理的な交通規制
の推進」は、道路交通環境の変化を踏まえて、現場の交通実態に適合しない
交通規制がないかを点検して、必要があれば交通規制の見直しを含む道路交
通環境の改善を図る、そういう趣旨でいくつかの改善項目の報告がありまし
た。

   このようなことについては、今後とも継続的に推進していく必要があると
考えておりまして、引き続き道路交通環境の改善を、地域の状況を踏まえて、
一層推進するため、警察庁を督励してまいりたいと思っております。

  長官にお聞きします。ストーカー規制法についてですけれども、神奈川県
逗子市で女性が元交際相手の男に殺された事件で、事件前に男から1,00
0通のメールが届いていた、そして、女性が警察に相談したということなん
ですけれども、この件に関して、今回のようなメールの大量送信がストーカ
ー規制法違反に当たらないということについて、何かストーカー規制法の問
題点だと以前から言われていますけれども、これについてコメントをお願い
します。

答  (長官)御指摘の事件でありますけれども、平成22年12月以降、相談
が寄せられておりまして、その都度神奈川県警では、その場で可能な、そし
て、でき得る対策、考えられる対策をとってきたと考えております。しかし、
結果として、こういった最悪の事態を招いたということは、大変残念であっ
たと言わざるを得ません。そうした中で、今、お話があったいわゆる連続メ
ールでございますけれども、これがストーカー規制法上の規制対象になって
いないということは、正に御指摘のとおりでございまして、これを今後、法
律にどう位置付けるかということが、非常に大きな検討課題だと思っていま
す。警察としては、当面、今ある法律の範囲内で最大限できることはやって
いくということに対策としては尽きるのではないかと考えています。

  今回のようなメールの大量送信というストーカー行為に対して、何か対応
されるということですか。

答  (長官)今言ったように、我々としては、まだ現行法の範囲内でしかでき
ませんから、その中で最大限の対応をとる。ただ、今後の問題として、この
ままでいいのかということは御指摘のとおり大変大きな問題であります。た
だ、他方で、議員立法で成立したという経緯もございますから、今後、関係
の議員とも十分連携をとりながら、必要な対応をとるようにして努力してま
いりたいと考えております。

  庁内を取材して、ストーカー規制法が議員立法なので、改正は難しいとい
うふうに聞いているんですが、難しいのでしょうか。そこら辺の議員立法で
あるから改正は難しいというのかということについてどうでしょう。

答  (長官)元々、議員立法でできた法律ですから、やはり議員の方のイニシ
アチブでやっていただくということが、本来の姿だとは思うのですけれども、
ただ、別にそれで難しいとか、何とかということではなくて、きちんと議員
の方で受け止めていただいて、作業を進めていただくのであれば、別にそん
な難しい話ではないのではないかと。ただ、それがどうまとまっていくか何
とも言えませんから、この段階でいつできるとか、また、できるかできない
かも含めて、ちょっとまだこの段階では言うことはできないということでご
ざいます。

  大臣にお伺いいたします。先ほどの大臣のお話にありましたけども、イン
ターポールの会議でスピーチをされたということですが、また、二国間の閣
僚会談の中での反応というか成果はいかがだったでしょうか。

答  (大臣)まずスピーチは、いわゆる都市部における暴力犯罪への取組とい
うことをメインテーマにスピーチをしまして、特に、我が国の北九州を中心
に今ああいった善良な市民を巻き込んだ事件が起きてますので、そういった
状況の中で、我が国で必要な措置を講じてますね。これについて各国へPR
というか、状況を説明いたしました。そのうえで今後の対策について各国か
らの協力も訴えました。同時にサイバー犯罪。これはもう、各国共通の課題
でありまして、これについても各国間と連携をとりながら、この対策、防止
について努力をしたいと訴えてまいりました。あわせて、いわゆる麻薬犯罪
ですね。これも非常に関心が高くなってますので、これについても必要性を
訴えたわけであります。

   そのあと、イタリアの内務大臣と会談をいたしました。続いてフランスの
内務大臣、そのあとアメリカの司法副長官と会談をいたしました。私からは
我が国の今の置かれている状況、暴力団の、スピーチでも話しましたけれど
も、こんな状況なんだということで説明をし、お国はどうですかとお尋ねし
ました。イタリアでは、マフィアがイタリアを中心にヨーロッパでは蔓延し
ているものですから、日本ほどびっくりはしていないんですね。こういった
ことが顕在化していますので。したがって日本の状況はわかりますと。フラ
ンスでは市民に対する報復ですね。これがあるということも訴えながら、そ
ういう厳しい状況も向こうは話されました。あと、サイバー犯罪等について。
それから、捜査手法。国によって法体系が違いますので、同じように実施で
きないけれども、例えば通信傍受をもう少し強化するような方向とか、可視
化の問題とか、刑事免責の問題とか、それは国によって違いますが、いろい
ろなことを含めていろいろな意見交換をいたしましたが、私の感ずるところ
では、確かにヨーロッパ、イタリア、フランスだけでしたけれども、日本よ
りは、もちろん日本とは法体系が違いますけども、それが根底にあるけれど
も、少し強力にあるんではないかという印象を持ちました。

   また、アメリカとは、いわゆる二国間犯罪人引渡しの条約もありますので、
アメリカとはいろいろな意味で連携もとりながら、特にサイバーについて、
これはいろいろと難しい問題もありますけれども、お互いに連携協力しなが
ら未然防止について努力すべきだと、これは相互理解でありましたので、今
後、大きな課題として取り組んでいきたいと思っております。まあそんなこ
とを中心にいろいろな意見を、その他雑談もありましたけども意見交換いた
しました。

  長官にお伺いいたします。昨日ゴビンダ・マイナリさんの無罪が確定をし
ました。警視庁マターのこととはいえ、これから仕切り直しというか、再捜
査ということになるわけですけれども長官の所感を伺えればと思います。

答  (長官)東京電力女性社員殺害事件で御指摘のように昨日、再審無罪判決
が言い渡されました。このことは厳粛に我々も受け止めております。それか
ら無罪が確定されたマイナリさんには、結果として大きな御負担をおかけし
たということでございまして、これについても警察として、重く受け止めな
ければならないと考えております。この判決を受けて、すでに警視庁では必
要な捜査を開始したところでございまして、その中でこれまでの捜査経過で
あるとか、収集された供述証拠、物的証拠、さらに再審請求段階において新
たに判明した鑑定結果等について十分に精査、検討がなされて今後の捜査に
いかされていくものと認識をしております。

  長官にお尋ねします。いまの東京電力の女性社員殺害事件に関連してであ
りますが、警視庁が97年の5月に殺人容疑でこのネパールの人を逮捕した
わけですが、いわゆるこの捜査の検証というようなことがなされるのかどう
か、それからこのネパールの男性に対しての、さっき長官、「大きな負担を
おかけした。重く受け止めている。」と仰いましたけれども、いわゆる謝罪
ということについては、どうお考えになるのかお聞かせ願えませんか。

答  (長官)まず、検証でございますけれども、この事件は、真相が未解明と
いう結論でございますので、捜査に入ったということでございます。いま申
し上げましたように捜査の中で、これまでの捜査の状況、証拠吟味も含めて、
ずっとそれを精査、検討することになると思いますけれども、おそらく公表
をどうするかというお話かもしれませんが、捜査の話になっておりますので、
それを公表するということは、当面考えていないということでございます。
マイナリさんへの対応ですけれども、これについても警視庁において事件の
全容を解明していく中で検討されるものと考えております。