国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年12月20日(木)11:51~11:59

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について報告いたします。委員は、
全員出席であります。議題事項については、「行政文書不開示決定に係る異
議申立てに関する決定について」、「国家公安委員会関係刑事収容施設及び
被収容者等の処遇に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令案に対す
る意見の募集」について説明がございまして、原案どおり決定いたしました。
その他警察庁から報告事項について報告がございました。

      以上であります。

  大臣にお伺いします。大臣は先月、東日本大震災の被災地を視察されまし
て、また最近、震災活動に従事した警察官の手記も出版されたと聞いている
のですが、被災地での警察活動について所感をお聞かせください。

答  (大臣)ちょうど選挙の最中でありましたので、残念ながら私はその「ふ
くしまに生きる」は、全部は読んでいないのですが、そういう本が出版され
ると聞きまして、概略は御報告いただきました。手記は、懸命に警察活動に
従事した警察職員、その家族の想いが込められたものだと承知いたしており
ます。

   私自身、今お話があったように、先月、福島県警察を視察いたしました。
福島第一原子力発電所事故の被災地を守るために福島県警察、更に全国警察
から派遣された警察官が一体となって、パトロールや検問に懸命に取り組ん
でいる姿や緊張感を持って原子力発電所の警戒警備に当たる銃器対策部隊の
姿に接し、大変頼もしく感じました。自衛隊は、よく愛する自衛隊というよ
うな表現がありますけれども、いろいろな事件・事故が起きますと救助活動
に従事されて、非常に目立つ存在です。警察は、こういう行為は当たり前と
いうか、一般だ、普通だというような認識があるものですから、地味な存在
なんです。しかし、私も福島に現地に視察へ行きまして、特に自衛隊がもう
引き上げた後、警察官が中心になって、更に各県から応援をいただいて、し
っかり警戒態勢をとられていると、非常に地味な活動、存在ですけれども、
大事な存在です。それがあったが故にまたボランティアといいますか、地域
の皆さんもそれに呼応して、一生懸命に、警察と民間が一体感を持って取り
組んで、非常に頼もしく感じました。そんなところが私の受けた印象であり
ます。

   特に、今後警察には、引き続き、各種活動を推進し、全力で被災地や被災
者の安全・安心の確保を図っていただきたいと、このように考えております。

  長官にお尋ねします。遠隔操作されたパソコンによる犯行予告事件で警視
庁など4つの警察本部が4人を誤認逮捕するという失態がありました。それ
を受けて先日、それぞれの警察本部が検証をし、その結果を公表し、警察庁
も再発防止に向けた通達を出しましたが、この検証結果についての長官のお
考えと今後の再発防止についてのお考えを改めてお尋ねいたします。

答  (長官)今回、4都府県警察において、御指摘の事件の中で誤認逮捕事案
を発生させてしまいまして、関係者の方には大変御迷惑と御負担をお掛けし
ましたことを大変遺憾に思い、また申し訳なく思っている次第でございます。
先般、この件で関係都府県警察、4都府県警察において、それぞれ捜査上の
問題点等について検証を行いまして、それを公表いたしました。総じて言え
ることは、もちろんサイバー犯罪に関する知識というものがやはり不足して
いたという面があったことは、これは当然の事実だと思います。ただ、同時
に、一旦形成された心証に、どうもこだわった一本調子の捜査が行われたと
いう面があったのではないかと思います。これは何故なのか、そういった心
証形成に何が影響を与えたのか、ということなんでございますけれども、4
つの事件がありますから、ある場合には、IPアドレスを始めとした、いわ
ゆる解析の結果という、これは客観証拠なわけですが、これが大きな影響を
与えた。また、ある場合には、誤認逮捕された方の自供というものが大きな
影響を与えたという面があると思いますけれども、ただやはり、いずれにし
てもやはり、IPアドレスを始めとする解析の結果、結果的にこれは不十分
だったんですけれども、これが心証形成に大きな影響を与えた。それはどう
いうことかというと、これまでやってきた手法で、これまで問題なかったと
いった意識もあったかと思います。ただ、サイバー犯罪というのは正に日進
月歩であるわけでありまして、他方でこの解析の結果とか、誤認逮捕された
方の供述の中に、捜査官が作った心証とは逆のサインが実はあったわけであ
りまして、これをきちんと解明しようとしていなかった、その解明が不十分
だったということがあったのではないのかと思います。そういった面では捜
査の指揮官が、もっときちんと事案を見極めて指揮をすべきであったのでは
ないのかなという感想を私は持っております。

   警察庁では、こういった反省教訓事項等を踏まえて、今後のサイバー犯罪
捜査の在り方についての通達を発出したわけでございますけれども、要は、
まずやはり、今申し上げたようにサイバー犯罪に関する知識とか能力という
ものが組織全体としてまだまだ不足をしている。したがって、全体の底上げ
を図っていかなくてはならないと考えております。他方で、警察の各部門の
中には相当高度な知識、技能を持った職員がおりますので、やはりそういっ
た各部門の連携、相互の連携を深めて、その高い技能を持った職員達のその
技能と能力、知識というものをより活用するというか、発揮させることが必
要ではないかということが一つあると思います。もう一つは捜査の問題でご
ざいますけれども、やはり複眼的な視点を持って証拠を吟味し、そして、真
相解明に迫るという、正に捜査の基本、こういったものを徹底させることが
必要ではないかと考えております。今回は今後の我々の捜査の大きな戒めに
なったと考えております。