国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年12月27日(木)2:36~3:09

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要  この度、国家公安委員長、拉致問題担当並びに国土強靱化担当、そして、
防災担当大臣を拝命しました古屋圭司でございます。

      今日は、総理からいくつか具体的な指示がございました。まず、1点「世
界一安全な国、日本」の復活に向けて、犯罪に強いまちづくりの推進、振り
込め詐欺撲滅、凶悪犯罪への対処、インターネット利用を含めたサイバー空
間の安全確保、組織犯罪対策等の強化を一層推進するように。2番目、テロ
やサイバー攻撃を始めとした国際化の進む組織犯罪に対処するため、関係大
臣と連携を密にしながら、必要な体制の強化に取り組む。3つ目、拉致問題
の完全解決に向けて、対話と圧力、特にその圧力に重点を置いて対話を引き
出すという視点に立って、外務大臣を始めとする関係省庁とも緊密な連携を
とりながら、政府一体となって、総合的に取り組んでほしい。それから、国
土強靱化、これは事前防災という視点に立った国土強靱化を主導して、公共
施設であるとか、公共インフラ、あるいはエネルギーインフラ等々について
の対策をしてほしいと。また、この国土強靱化の取組は、一方では、地域経
済の中長期的発展の呼び水にもなりますので、と同時に雇用創出にもつなが
るように配慮してほしいということがございました。また、3.11東日本
大震災の教訓に立って、首都直下型地震であるとか、南海トラフ巨大地震へ
の事前防災・減災対策を関係省庁としっかり連携をして集中的に推進してほ
しい。こういうことがございました。

      改めて、私は国家公安委員会委員長として、いくつかの私としての取組を
御報告させていただきたいと思います。まず、かなり課題があると思うんで
すけれども、敢えて指摘したいことが何点かございまして、まず1点が改正
暴力団対策法に基づいて取締りと警戒活動の徹底をしてほしいと、それから、
関係機関であるとか、関係業界等と連携した暴力団排除の取組がなお一層推
進し、そして、それが定着するように取り組んでいきたいということであり
ます。そして、2点目がサイバー空間の脅威への対策も大切でございますの
で、このためには官民の連携の強化というのが必要であると、また、警察自
身の技術等々に対する対処能力の向上、これも非常に重要な課題でございま
すので、しっかりこのことについてもキャッチアップしていけるように不断
の取組を是非していただきたいということです。

      次に交通事故についてですけれども、23年は4,600人程度に減少し
つつありますが、その内容を見ますと高齢者の方が約5割犠牲になっておら
れまして、そのまた半分が歩行中に犠牲になっていると、こういうことでご
ざいますので、この高齢者の事故防止というのは極めて重要でございますの
で、今までの取組にも増して、是非この高齢者の事故防止に努めていきたい
と思っております。その他にも、子ども達を事故から守るための通学路にお
ける安全対策の徹底、こういった取組も是非していきたいと考えております。

      以上が総理からの指示も踏まえて、私としては、国家公安委員長としてこ
んな取組を推進していきたいということをまず冒頭にお話をさせていただき
ました。とりあえず私からは以上です。

  警察庁記者クラブ幹事社としてお伺いします。改めてなんですが、国家公
安委員長に就任されての抱負と課題についてお聞かせください。

答  治安対策の責任者ということでもございますので、まず国民の安全の確保、
治安の確保に全力で取り組んでまいりたいということを冒頭で申し上げたい
と思います。

   今もお話申し上げましたが、やはりサイバー空間の脅威への対策であると
か、特に、私は高齢者の事故対策、これはやはりある意味で高齢者は社会的
弱者でもありますので、この対策の徹底はしていきたいと思っております。
それから、北九州を中心に暴力団の問題が出ておりますので、この暴力団対
策、それからもう一方で、ストーカー事案が出てきておりますので、このス
トーカー対策への取組もしていきたいと思っております。それから、災害か
らの復興と危機管理体制の強靱化、これもやっていきたい、それから、テロ
の未然防止と緊急事態への対処態勢の強化、こういったものが課題として挙
げられるのではないかと思っております。以上です。

  取調べの可視化についての見解をお願いします。

答  この可視化については、メリット、デメリットというものがあろうかと思
います。こういったことをしっかり総合的に判断しながら、現在では、法制
審議会の特別部会で議論がなされていると承知いたしております。

   平成25年2月頃には、その中間報告が報告をされると、また、その中間
報告をベースに最終報告に向けて、更なる検討が進められると承知いたして
おりますので、その推移をしっかり見守りながら、私どもとしては、この可
視化問題について検討を進めていきたいと思っています。

  先程、お話も出ておりますが、改めて暴力団対策についての取組をお願い
します。

答  これは北九州では、ちょっと市民の安全が脅かされるような凶悪な事件が、
特に、銃器であるとか、手りゅう弾を使った、ちょっと市民にとっては信じ
られないような事件、特に事業者の襲撃事件とか、対立抗争というのが出て
いるというのは、これは極めて由々しき問題だと認識いたしております。福
岡県警としても、全国からの応援を得ながら対策を講じておりますが、今後
とも警戒活動の徹底はしていきたいと考えております。

   また、やはり暴力団対策で先程申し上げた改正暴対法、27日から危険団
体、あるいは抗争団体の指定ということが、近々にできるようになるわけで
すけれども、27日というふうに伺っておりますが、この辺については、近
々ということの方がより正確かもしれません。

   一方では、通信傍受、これは例えば北九州の近隣の首長さんが、是非そう
いった通信傍受についても取り組んでほしいというようなことを要望が出て
いるということも承知いたしておりますので、この通信傍受の拡大について
の検討についても、是非これは法制審議会の特別部会で大いに議論して検討
を進めていただきたいと思っております。

  拉致問題に警察としてどう取り組んでいくのか、今までもやってこられて
いると思いますが、改めてお聞かせください。

答  拉致問題については、私は党の拉致問題の特別委員長、あるいは拉致議連
の幹事長として、安倍総理とともに長年この問題に取り組んできました。や
っぱり国家の意思で国民が拉致をされると、要するに事実上の国家によるテ
ロに等しいくらいの、私はそういう認識でいます。絶対に許されることでは
ありません。このために、この拉致問題の完全解決無くして絶対に北朝鮮と
の国交正常化はあり得ない話でありますので、まず私が早急に取り組みたい
と思っていますことは、これ平成18年9月に、第1次安倍内閣の時に拉致
対策本部は設立をされました。その後、政権が変わった後に対策本部もいろ
いろルールが変わりました。構成メンバーも含めて変わってきました。しか
し、私どもは前閣僚メンバーとして取り組んできたという実績もありますし、
また、基本方針についても、私たちは3つの基本方針を掲げていました。そ
れは、拉致の被害者全員の帰国、原因の究明、実行犯の引渡し、この3つで
す。しかし、新しい政権が変わった後は、実行犯の引渡し部分がなくなって
しまったりしておりますので、そういったことも含めて、この拉致対策本部
の強化、それから、やっぱり関係省庁との連携の強化、要は政府がまなじり
を決してこの問題については取り組むぞという強いメッセージを北朝鮮に対
して発する必要があると思います。特に、金正日が死去して、新しい金正恩
体制になったわけですから、解決する非常にチャンスでもあると私たちは捉
えています。そういったまず体制を強化して、我が国の政府としての強い意
志をしっかりと示す必要があると思います。

  ストーカーとか、いじめ問題とか、従来、警察の関与が限定的だった部分
について、警察の関与を求める声が増えてきています。そういった分野につ
いて、警察がどこまで関与すべきか、どこからは関与すべきでないのかとい
った点について御見解をお聞かせください。

答  このストーカー問題については、被害者の安全確保に万全を期する必要が
あると、これが大前提であると思います。そのためには、ストーカー規制法、
あるいはドメスティックバイオレンス防止法に基づく行政措置、あるいは刑
事手続による行為者の検挙等々に努めるということが、まず、第一でござい
まして、これとともに、自治体であるとか、婦人相談所、検察・保護観察所・
裁判所等の関係機関や弁護士、あるいは民間団体とも緊密な連携をとってい
く必要があると、そして、その上で総合的な対策を推進すべきだろうと考え
ております。

   次に拉致と国土強靱化のことについてもお話しします。拉致問題は今大分
質問もありましたので、敢えて申し上げる必要はないと思うのですが、ある
意味で対策本部の生みの親が安倍総理ですね。この下で、絶対にこの安倍総
理の時にこの問題を解決するという強い意志を持って取り組んでいきたい、
このことが一番多くの国民、そして北朝鮮に対して発したいメッセージであ
ります。そのためのあらゆる方策は、選択肢の中に入れながら、私たちは取
り組んでいきたいと思っております。

  民主党政権時代も拉致議連でお知り合いの議員さんとか、様々大臣を担当
されたと思うんですが、3年数ヶ月御覧になっていて、何が足りなかった、
あるいはどのように、今の古屋大臣としては御覧になっていたか、むしろ自
民党政権として、これをやらなくてはいけないことはどんな点と認識してお
られますか。

答  まず、1点は、やっぱり政府が一体になって、この拉致問題に取り組もう
という決意というのですかね、覚悟、こういったものは、私も特別委員会等
々で度々質問をさせていただきましたが、残念ながらそういう、熱意という
んですかね、覚悟はあまり感じなかったです。やはりこういうものはメッセ
ージがすごく大切ですので、もちろん、私も冒頭申し上げましたように対策
本部の組織の見直し、強化はもちろんですが、常にですね、例えば首脳会談
であるとか、そういう取組があったときに拉致問題について、しっかり訴え
ていくということも絶対に必要なんです。私も大分そういう委員会で指摘し
たあとは、徐々にそういう対応になってきたと思いますけれども、やはりそ
の辺のところをしっかり、我々としても見た上で、何が何でもこの安倍政権
の間に、完全解決を目指すという覚悟で臨みたいと思います。

  それは担当大臣というよりも、総理も含めた政権としてのメッセージが足
りないと。

答  そうなんです。これはおっしゃるとおりで、私担当大臣一人が頑張っても
できる話ではありません。それは総理大臣であり、官邸であり、あるいは外
務大臣であり、そういった関係者が一丸となって同じ方向に向いていくとい
うことが北に対する強力なメッセージになるんです。

  大臣に就任されて改めて被害者家族の皆さんにお会いするということは。

答  近々お目に掛かりたいと思っておりますし、日程にももう入っております。

  年内ですか。

答  はい。年内です。もちろんです。私は、まだ昨日は就任しておりませんけ
れども、事実上、担当大臣は内定しておりましたので、家族会の代表の方と
も昼にお目に掛かっております。

  大臣、自民党の特別委員長の時から制裁に関して、テロ国家指定とかを米
国に求めたりとか、いろいろと御意見があったかと思うんですけれども、今、
12日に北朝鮮がミサイルを発射して、国連の方でもちょっと動きが鈍いと
いうか、そういった状況の中で日本として独自の、単独の制裁についてを含
めてのお考えをちょっとお聞かせください。

答  私たちは、対話を引き出すための圧力、この考え方は、かつて政権を取っ
ていたときから全く変わっていません。したがって、この例えば日本独自の
制裁でやれる余地のあるところっていうのは何点かございます。こういった
ものも選択肢の一つとして、私としては考えております。それを実行するか
どうかは総合的に判断させていただきたいと思いますが、そういう意識でお
ります。