国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年1月25日(金)11:35~12:04

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  今日の閣議のことについて申し上げます。冒頭、全閣僚で今般の事件に対
して黙祷を捧げさせていただきました。

      その上で、私に関連することとして、まず一つは、新たな拉致対策本部の
設置を決定させていただきました。すべての国務大臣が参画するという中身
であります。後ほど第1回対策本部が行われております。それは改めて説明
申し上げたいと思います。

      その後、閣僚懇談会において、私の方から学校に対するいじめ問題の警察
の対応について発言させていただきました。

      警察では学校と連携した取組を今まで進めてきていますけれども、最近の
厳しい情勢もあり、犯罪として取り扱われるべき事案には適確に捜査を推進
していくということを始めとして、学校におけるいじめ問題への対応に関す
る基本的な考え方、これを全国警察に明確に通達として示すということもさ
せていただきました。

      文部科学大臣からもこのいじめ問題について、警察と学校関係者がより一
層の綿密な連携と取っていくということの趣旨の発言がありました。要する
に、いじめは、第一義的には学校関係者が対応する問題でございますけれど
も、いじめを超えている、要するに犯罪というときには、しっかり警察が対
応していくと、そして、そのためには前提としてしっかり学校関係者と警察
が連携を密にしなくてはいけないということでありますので、その確認のた
めの閣僚懇談会おいて両大臣が発言させていただいた、そういう形で警察、
あるいは学校関係者に通達が出たということであります。

      その後、拉致対策本部の第1回目の会合が開かれました。これは、全閣僚
が出席をさせていただいております。今日、皆さんに資料を配っていますね。
まず、拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策、これは既に①から書いて
あります。前段で私たち政府の決意というか、取組の趣旨が書いております。
それを御覧になっていただきたいと思いますけれども、①が北朝鮮措置の検
討であるとか、厳格な法的執行の推進、②が北朝鮮側による具体的な行動へ
の強い要求、③が情報収集・分析・管理の強化、④が捜査・調査の徹底、実
行犯に係る捜査の継続、⑤が内外世論の啓発の一層の強化、⑥が国際的な協
調の更なる強化、⑦が家族等々へのきめ細かな配慮、対応、そして、⑧とし
て、その他あらゆる対策、捜索の検討、こういうことで会合させていただき
ました。なお、皆さんにも資料をお配りしているように、拉致対策本部でい
わば与野党で協議機関を作るということで、正式名称は「政府・与野党拉致
問題対策機関連絡協議会」というものを作らせていただきまして、略称しま
したけれども、略称が「政府・与野党拉致連絡会」です。こういうものを作
って、イメージ図をお配りしていると思いますけれども、拉致対策本部の中
にこの連絡協議会を作りあげる。それから、右側には有識者会議も同時に設
立します。これは、拉致問題に詳しい方、そして、北朝鮮問題にも詳しい有
識者を集めて、適宜、弾力的にこういった会議が本部の下で行われるように
するということであります。いずれも、私がその事実上の座長を務めさせて
いただくというようなかたちで、いよいよ今日からスタートさせていただき
ました。

      拉致問題では、今日午後1時半から、神奈川で署名を行っておられます
「あさがおの会」が黒岩知事も御一緒に名簿提出のためお越しになられます
し、また、今日3時から特定失踪者の御家族とお目にかからせていただく予
定であります。それから、明後日、27日、川口で「拉致問題を考える川口
の集い」がございますので、私は担当大臣として出席させていただく予定で
あります。

      私からは以上であります。

  2点あります。1点目は、新しくなった拉致対策本部の意気込みをお願い
します。それと、2点目が、連絡協議会と有識者会議は大体どれぐらいの時
期に開催を予定されているのでしょうか。

答  まず、1回目の立ち上げた印象というんですか、これはもうオールジャパ
ンで我々がこの拉致問題を取り組んでいく、この決意と覚悟を示すと、これ
がこの対策本部をこれだけバージョンアップをして、パワーアップをした理
由であります。そして、その目的は、何が何でも安倍総理在任中に拉致問題
を解決をするという決意を示していると、私もそういう考え方に立って、あ
らゆる手段を講じながら、今後拉致問題の解決に向けて、拉致担当大臣とし
て精一杯頑張っていきたいと思っています。それから、第1回目の与野党連
絡協議会は、来週に開会をいたします。おそらく29日になると思います。

  有識者会議はいつなんでしょうか。

答  有識者会議は、まだ日程は確定いたしておりませんが、近々に開かせてい
ただきたいと思っています。

  アルジェリアの事件で亡くなった9人の方々が帰国されて、検視等の手続
が行われると思いますが、警察の対応の現状と今後の捜査方針についてお聞
かせください。

答  まず、今日、私もテレビで専用機が羽田空港に着くシーンを朝見ておりま
した。改めて、犠牲者の皆様に心から御冥福、そして、御家族の皆様にお悔
やみを申し上げたいと思います。

   その上で、警察は既に、私が会見で申し上げましたように「TRT-2」
を派遣いたしておりまして、現地に一部は留まっておりますので、引き続き
犯人グループであるとか、事件の背景などに関する情報をしっかり収集をし
て、関係者から事情聴取をしてもらったりとか、そういう所要の捜査はしっ
かり進めていってもらおうということでございます。今回の事件の真相究明
というものに対してもしっかり取り組んでいってほしいと思っております。

   いろいろ今後の手続は、神奈川県警が多分中心になると思うんですけれど
も、死因の究明等々、必要な手続はとられていると思うんですが、とられる
と思いますが、これは捜査の内容にかかわることでございますので、具体的
な中身についてはお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いま
す。

  拉致問題についてなんですけれども、国連安保理の決議があったと思うん
ですけれども、制裁強化について今回の具体的方策の1番目のところに更な
る対応措置について検討とか盛り込まれているんですが、改めて具体的に制
裁強化というものとしてどのように考えているんでしょうか。

答  まず、我々は自民党の対策本部で既に昨年4月にミサイルを発射したとき
に、制裁強化のプログラムは作っています。それで、当時の官邸にも申し入
れはしているんです。あの考え方が基本になるということであります。しか
し、今後核実験を本当にするのかどうかということもまだはっきり確定した
わけではありません。しかし、どういう状況になってもいいように、我々は
しっかり、もしそういう状況になったときに速やかな対応ができるように、
総合的に判断をして準備を進めたいと思っております。具体的にどの制裁を
するということは、今の時点でお答えすることは差し控えさせていただきた
いと思います。そういうありとあらゆる可能性を想定しながら対応している
ということだけは御報告申し上げます。

  基本的な3方針と具体的な8つの対応方針が出ましたけれども、古屋大臣
からして、民主党政権時代と一番ここが違うんだという点があればお願いし
ます。

答  それは、民主党時代の対応方針と我々の対応方針を、一番最初に民主党政
権ができたときの対応方針は、多分1枚紙の5、6行でしたよね。そして、
その後は平成22年だったか、23年だったか、菅直人氏のとき、11月末
に8つの方針が示されて、少しは前進しましたけれども、我々の今度書いて
いる中身の方が具体的です。それから、何と言ってもすべての閣僚を全部本
部員にしているというところと、やっぱり前政権では4人だけでしたから、
メンバーはね。我々は、総理が本部長、副本部長が私とか、外務大臣とか官
房長官とかが入っていて、そして、全閣僚が本部員として入っています。例
えば、これは既に内閣が代わった後すぐに取り組んだ、国民の啓蒙活動、教
育の中へのこの拉致問題をしっかり認識してもらう必要があるので、文部科
学大臣とも連携して、かつて「めぐみ」というDVDがありました。各教育
関係者にも配っていますけれども、なかなかまだ十分に活用されていない。
だから、文部科学大臣からも改めて教育現場に副教材として活用するように、
こういうような指示を出しております。これは正しく本部員であるならば、
更にそれをフォローアップしていかなくてはいけないということであります
から、全閣僚がこうやって本部員になってもらったということは名実ともに
オールジャパンで拉致問題を取り組んでいるという具体的な証だと思います。
そして、それが北朝鮮や世界に対する強いメッセージだと思います。そうい
った意味では、大分違います。

  今の関連で、菅政権のときに出た対応方針では、最初に被害者家族への対
応というのが最初に出ていたと思うんですけれども、今回は更なる対応措置
という項目になっています。この順番を入れ替えているとか、その辺はどう
なんでしょうか。

答  それは、この順番、中身を作るに当たっては、かなり詳細に検討していま
す。その上で、こういう順番にしました。ということは、当然、家族の皆様
とも摺り合わせした上で決めているということです。

  拉致問題の連絡協議会についてなんですけれども、今日の拉致対策本部で
決定、設置したということでよろしいですか。

答  そうです。決定です。

  各党のメンバーなんですが、具体的な名前とかは。

答  これは各政党で既に拉致問題の機関、自民党ですと拉致対策本部、あるい
は他の政党も委員会があったりしますので、そういう既に組織があるところ
については、代表選手を出してくださいと、要請をしております。大体メン
バーは、決まっておるという状況ですが、よその政党の話ですから、私から
お話しするのもなんでしょうから、自民党は山谷えりこ氏と、塚田一郎氏で
す。

  各党に協議機関を持っていない場合は、入ってこないこともあり得るとい
うことですか。

答  今のところは、そういう機関のあるところにしか声をかけていません。事
務的に全部ありますか、どうですかということすべてチェックしていますか
ら、問い合わせをした上で、ありますよと答えたところに対して、代表選手
を出してくださいという要請をしているところです。

  今の関連で、その政党は具体的にどちらの政党に声をかけているんでしょ
うか。

答  あるところです。あるところに全部かけました。

  有識者会議の方なんですけれども、どういった有識者の方に声をかけてい
るんでしょうか。

答  今までの経験の中で、拉致問題に大変専門的な知識があり、また発言をさ
れて、社会的にもいろんな影響力を持たれている方、こういった方々にメン
バーに入っていただこうと思っています。ちょっとまだ決まっていないので、
具体的な名前を挙げることは、控えさせていただきます。

  もうすぐ安倍政権が発足して1ヶ月になります。その感想と加えて第一次
安倍内閣と変化した点、あと総理のリーダーシップについてお考えをお願い
します。

答  1ヶ月ですけれども、私、非常に危機管理、統制がしっかりとれている。
それは、全閣僚が同じ視点に立って、同じ目標に向けて取り組んでいるとい
う証ではないでしょうか。例えば、いろいろな問題でも、アルジェリアのこ
の対策問題一つとっても、ぴしっと統制ができていました。それから、例え
ば、本当の意味での政治主導ができていると思います。経済問題でも、昨日
は日銀との協定がされて、協定も具体的に経済財政諮問会議において、ちゃ
んとチェックをするとか、かなり踏み込んでぴちっとできています。今まで
の流れとは本当に違うと思います。例えば、私が、拉致対策本部を立ち上げ
ましたけれども、この立ち上げ方も全省庁に関係があるんですね。こういう
調整とかも粛々と、そして、確実に速やかにやっています。そのほかにも一
つ一つの課題について確実に取り組んでいる。要するに、今、本当に日本の
危機ですから、危機突破をする内閣にするんだということを総理御自身がお
っしゃいましたけれども、それを一つ一つ確実にこなしているなというのが
印象、実感として持っております。これからも、しっかりそういう認識で、
しっかり脇を締めて我々閣僚一人一人が取り組んでいかないといけないなと、
改めてそんな気持ちでいます。

  第一次のときとの変化としても、同じ点ということですか。

答  第一次安倍内閣、前のとき。申し訳ないんですけれども、第一次内閣のと
き、私、自民党を離党していて無所属だったので、ほとんどよく分からない
んです、状況は。だから、分かりませんけれども、ただ、外からいろいろ見
ていた状況とは、相当、ああいう厳しい試練を受けた後ですから、やっぱり
総理大臣の取り組み方というのは違うということを、私、身近で見ていても
それをひしひしと感じます。覚悟が違いますね、一言で言うと。

  拉致対策本部の体制強化なんですけれども、第一次安倍政権のときには、
副本部長に外務大臣は入っていなかったと思うんですけれども、今回外務大
臣は。

答  これは、やっぱり外交と非常に密接な関係がありますので、これは入れさ
せていただいております。当然のことだと思っています。

  本日、自民党の方で拉致対策本部の会合があると思いますが、国連の人権
理事会に北朝鮮の拉致被害者の調査委員会を作るという話も今日話されると
思うんですが、古屋大臣としては、国連に政府として要請される考えですか。

答  国連の中に北朝鮮の人権委員会を作っていただくというのは当然のことだ
と思っています。私たちも推進したいと思っていますし、外務大臣ともその
ことについては、相談をしてそういう方向で取り組んでいただきたいという
ことで、関係者にも働きかけようと思っています。そのときに大切なのは、
北朝鮮の人権という、この一般的なことではなくて、拉致問題という、これ
をしっかり具体的に入れることなんです。そういう方向で今お願いしようと
思っています。

  具体的なスケジュール等はまだですか。

答  ちょっとそれは分からないですけれども、速やかにということだと思いま
す。

  国旗が今、半旗になっていますが、やはりアルジェリアの犠牲者の方に弔
意を示しているということですか。

答  そのとおりでございます。今日、私らそれぞれの会議がございましたけれ
ども、すべての会議の前に私たちは黙祷を捧げております。こうやって、多
くの日本人の方々がお亡くなりになったという現実をみれば、我々政府とし
ても当然のことだと。そして、すべての国民がそういう気持ちに立っていた
だくということだと。その上でテロは絶対許さない、その姿勢を国民の皆様
も我々政府も強く持つということが大切だと思います。