国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成25年5月23日(木)11:10~11:17

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。古屋委員長
は、国会用務のため欠席です。委員は、全員出席です。警察庁から報告事項
について、報告がございました。

      以上です。

  長官にお尋ねします。いわゆる偽装質屋の件ですが、警察も対策を強化し
ているようですが、それについて長官の所見をお願いします。

答  (長官)質屋営業法では、質屋には防犯上の義務等を履行するための特別
な経費負担といった特殊性がありますことから、利息の上限の特例を認めて
おります。それから、貸金業法上も貸金業法の規制が及ばないということと
されております。近年、この利息の特例、それから、貸金業法の適用除外に
目を付けた者が、質屋を仮装して、担保価値のない質物を使って、そして、
公的給付金の受給者の受給口座に自動引落しサービスを設定させて、高額な
金利等の引落しを行うという事案が発生しております。

   既に、昨年2月以降、愛知、大分、鹿児島、群馬各県警でこのような事件
を検挙してきております。

   警察庁における対応策でありますけれども、まず、一つは実態把握及び取
締りの強化であります。質物の金銭的価値が著しく乏しい場合等は、質屋営
業に該当しない。貸金業法、それから、出資の受入れ、預り金及び金利等の
取締りに関する法律の規制を受け得るという旨の解釈を一線に示しておりま
す。それから、質屋営業を仮装したヤミ金融業者の実態把握のための着眼点
を示して、現場における実態把握、それから、取締りの強化に資するように
いたしております。

   それから、二つ目は広報啓発活動であります。この被害者の多くは、公的
年金その他の公的給付金の受給者であるということを踏まえまして、広報用
の資料を各都道府県警察に配付し、警察施設への掲示、高齢者宅への巡回連
絡の際にこれを使う、それから、公的給付金に係る公的機関の窓口への掲示
等を進めるように指示をいたしております。

   それから、関係機関・団体等との連携であります。本年1月31日に全銀
協に対して、質屋名義口座を引落し先とする自動引落しサービスを設定しな
いこと等を内容とする要請を行ったところであります。現在、質屋を仮装し
たヤミ金融事犯の未然防止及び取締りの効果的な方策について、全銀協、そ
れから金融庁と協議を行っております。今後とも、ヤミ金融事犯の新たな手
口の早期把握、取締り強化を進め、高齢者等の安全・安心の確保に向け、引
き続き、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

  長官にお尋ねします。暴力団対策についてでありますが、名古屋市で3年
前にあったキャバクラ放火で従業員が亡くなるという事件がありまして、こ
れをめぐって、御遺族が山口組のトップを損害賠償提訴いたしました。これ
は、暴対法に基づくものでありますけれども、これについての長官のお考え
を伺いたいのが一点と、それからもう一つ、北九州対策で、捜査員を新たに
50人派遣して、現地で起きている襲撃事件の捜査に充てるということが決
まりましたけれども、以上二点について長官のお考えをお願いします。

答  (長官)まず、第一点の暴力団対策法第31条の2の規定による指定暴力
団の代表者等に対する訴訟でありますが、この種の訴訟は、暴力団犯罪の被
害回復に資するとともに、暴力団組織に資金的な打撃を与え、さらには、組
員による違法行為を抑止する効果も期待できるものであります。

   特に、今回の事案は、六代目山口組の組長及び若頭に対し、その中核組織
であり、この両名の出身母体でもある弘道会の傘下組織組員の違法行為を通
じて責任を追及するというものでありまして、暴力団対策上も大変意味があ
るものと考えております。

   警察としても、情報の提供、関係者の安全の確保の徹底などによりまして、
この原告側の訴訟活動を的確に支援してまいりたいと考えております。

   第二点目であります。昨日、警視庁、大阪府警、神奈川県警、千葉県警か
ら福岡県警へ捜査員50名が派遣されました。このように、暴力団対策のた
めに長期にわたってこういう規模で捜査員を派遣するということは、過去に
例を見ないものでありまして、今回の派遣により、福岡県警察における暴力
団犯罪捜査の体制は相当程度強化されると考えております。

   今後、改正暴力団対策法も効果的に活用しながら、福岡県警察と全国から
派遣された捜査員及び機動隊が一体となることによって、北部九州における
暴力団の壊滅に向けた取組を更に強力に推進してまいりたいと考えておりま
す。