国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年11月14日(木)11:51~11:59

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  今日の国家公安委員会定例会議の状況について御報告申し上げます。委員
は、全員出席です。議題事項については、「犯罪被害者等給付金の裁定に対
する審査請求事案の審理状況および裁決」等々について説明がありまして、
原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について、報告
がございました。

      私からは、以上であります。

  大臣に伺います。薬事法の改正案が閣議決定され、脱法ドラッグ対策の強
化も盛り込まれていますが、その意義について大臣のお考えをお願いします。

答  (大臣)いわゆる脱法ドラッグによる事件・事案が相次いで発生しており
まして、深刻な問題である、という認識をいたしております。脱法ドラッグ
に対する規制の強化の必要に迫られているわけですが、今年の春先に、私は
閣僚懇談会で関係閣僚に対して、まず脱法ドラッグの包括指定について要請
をして、2月に決定を頂いて、3月からその運用が開始されたわけでありま
す。一歩前進したということで、今回、法律改正を閣議決定して、いわゆる
脱法ドラッグの単純所持に対する規制が法案に盛り込まれるわけでございま
して、これによって更なる脱法ドラッグ対策の強化が図られると考えており
ます。是非、今国会で成立されることを私としても期待しております。この
内閣はこういう形で、速やかな決定をしていくということで対応させていた
だいておりまして、これは国民の安全・安心に立った視点からの取組でござ
います。

  長官にお尋ねします。特殊詐欺なのですが、今年の上半期は過去最悪の被
害額を記録した昨年一年間を上回るようなペースで被害が拡大していました。
7月から9月の3ヶ月も更にそれを上回るハイペースの被害が確認されてい
ます。特殊詐欺に関する長官の現状の認識と今後の対策についてお願いしま
す。それと、関連してもう一点ですが、法制審で振り込め詐欺、特殊詐欺に
関する捜査の手法として電話の通信傍受とかアジトの会話傍受などが議論さ
れています。この捜査手法についての必要性とか有効性について長官の御見
解をお聞かせください。

答  (長官)特殊詐欺の被害につきましては、今の御質問にありましたように、
大変深刻な状況にあると考えております。これまでの対策としては、組織の
中枢を狙った取締り、金融機関窓口における水際作戦、出し子・受け子の摘
発や犯行ツール対策といったインフラ対策、そして、現在の主な手口と被害
予防策の積極的な広報等の対策をとっておりまして、これらにつきましては、
更に強力に推進していく必要があると考えております。被害の抑止のために
は、関係機関の御協力や国民の皆様からの情報提供が不可欠でありますので、
更なる御協力をお願いしたいと思っております。

   我が国の通信傍受制度では、詐欺はその対象とされておりません。もし、
これら振り込め詐欺等に通信傍受が可能ということになれば、メンバー間の
上下関係、首魁による指示の内容等が判明いたします。会話傍受が導入され
れば、電話が使用されていないアジト内でのメンバー間でのやり取りを把握
するということもあろうかと思います。中枢を含めたグループ全体の早期検
挙につながるという点では、有効であろうと考えております。一方、これに
関してはいろいろな御議論がございまして、現在、法制審議会の特別部会に
おいて、議論されております。警察といたしましては、この通信傍受等の拡
大も含めた捜査手法の高度化について、今後とも積極的に取り組んでまいり
たいと考えております。

  長官にお尋ねします。11月の上旬に東京の田園調布で発生した誘拐事件
についてでありますが、2点伺います。1つは、発生から40分後ぐらいに
被疑者の一部を検挙し、かつ被害者の女子中学生も無事保護いたしました。
この初動対応について長官の御見解。2つ目は、被疑者3人が知り合った経
緯が、いわゆるインターネット上の闇サイトといわれるようなもので知り合
ったと。ネットでこういう被疑者が結びつくケースは、過去にも殺人事件で
もありましたが、このサイトへの警察の対処をどうするのかという2点につ
いてお願いします。

答  (長官)この事件につきましては、盗難ナンバープレートを装着した車両
が走行中であるという通信指令を受けた地域警察官等が直ちに監視検問を実
施して、手配車両を発見いたしました。この通信指令の数分後には、誘拐事
件の被害者を発見保護し、被疑者を逮捕したところであります。

   地域警察官の初動対応能力の強化については、平成21年度以降、初動警
察刷新強化の一環として通信指令機能の強化を進めてきたところでありまし
て、このような取組の成果であろうと認識しております。初動は、事態対処
の要でありまして、今後とも取組を積極的に継続してまいりたいと思ってお
ります。

   それから、いわゆる闇サイト、犯行加担者募集サイトにつきましては、犯
罪抑止の観点からこれを監視、そして、それを通じた犯行の抑止というのは
非常に重要であると思っております。この誘拐事件に関しましては、現在捜
査中でありますので、あくまで一般論ということで申し上げたいと思います。

   警察としては、インターネット・ホットラインセンターと協力することな
どによって、インターネット上の掲示板をパトロールして、違法情報あるい
は犯罪に加担する者を募集している疑いのある書き込みの発見に努めるとと
もに、このような書き込みを発見したときは、事件化できるものは事件化を
図り、犯罪に至らない場合でも、書き込みをした者に警告あるいは削除依頼
を行うなど、実際の犯行に至る前に抑止するように取組を進めているところ
であります。今後とも、ネット上のパトロールを強化するなどして、犯罪の
抑止に努めてまいりたいと考えております。