国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成25年12月19日(木)11:47~11:53

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は、全
員出席です。議題事項については、「配偶者暴力防止法の一部を改正する法
律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案」などについ
て説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項
について報告がございました。

      以上です。

  長官にお尋ねします。先月下旬に神奈川県横須賀市で大量のコカインが発
見されました。120キロという大きな量でした。今年の上半期には、覚醒
剤が550キロ押収され13年振りに500キロ、上半期だけで既に超えて
います。覚醒剤の末端価格も下落しているというような傾向もありまして、
かなり大量に国内に流通しているということが危惧されます。この点につい
ての警察としての認識と今後の対策についてお願いします。それともう一つ、
薬物事件についてコントロールド・デリバリー捜査における会話傍受という
ような手法も法制審で議論されています。もし、この捜査手法が実現できた
場合の効果について御見解をお願いします。

答  (長官)まず御質問にありましたように、本年4月に警視庁が機械部品の
内部に覚醒剤約240キログラムを隠匿した手口の密輸入事件を検挙してお
ります。それから、6月に兵庫県警が模造石の中に覚醒剤約193キログラ
ムを隠匿した手口の密輸入事件を検挙しております。さらに、11月、神奈
川県内の海岸に漂着したコカイン合計約118キログラムを押収しておりま
す。

   このように本年は大量の覚醒剤その他の薬物が押収されております。また、
近年密輸された覚醒剤の押収量が4年連続で増加しているという状況があり
ます。しかし一方、末端価格は低下していること等から、引き続き国内外の
薬物犯罪組織の活発な動きが懸念されるところであります。

   警察といたしましては、税関等の国内の関係機関との連携を強化するとと
もに、外国の取締機関等との情報交換を緊密に行って、薬物犯罪組織の実態
解明と徹底検挙、薬物の供給源の遮断に強力に取り組んでまいりたいと考え
ております。

   組織的な薬物事犯の被疑者を確実に立件し、組織の全容を解明するために
は、被疑者間の通信を傍受したり、あるいは今御質問にありましたようなコ
ントロールド・デリバリーの実施対象となる配送物の周囲で行われる被疑者
間の会話を傍受し、その共謀関係を明らかにすることは有効な手法であると
認識しております。

   警察といたしましては、薬物犯罪など組織犯罪を効果的に検挙し、組織の
解明・壊滅に資するべく、通信傍受の合理化あるいは会話傍受の導入等につ
いて、引き続き法制審議会の特別部会において十分に議論を行うなど、捜査
手法の高度化について、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

  長官にお尋ねします。人気漫画の「黒子のバスケ」という作者をめぐって、
1年余りにわたっていろいろと脅迫などがありました。先頃、警視庁がその
被疑者を検挙し、1年間にわたって不特定多数の人を不安にさらすこの事件
が解決、容疑者を逮捕したわけですが、この検挙の意義とそれから捜査に1
年かかったということについての長官の所見を伺います。

答  (長官)御指摘の事案につきまして、昨年10月以降、大学構内において
硫化水素入りの容器等が放置された事件に始まりまして、その後約1年間に
わたって、数百通の脅迫文書等が全国各地の関連施設や報道機関等に郵送さ
れ、また、毒物を混入した菓子が店頭に置かれたりするなど、一般の国民を
も巻き込み、社会に大きな不安を与えた悪質な事件と認識しております。

   被疑者の動機、あるいはその背景といったものが分からないまま困難な捜
査を強いられたわけでありますが、警視庁において関係道府県警察と緊密に
連携しつつ、捜査を推進し、サイバー関連の捜査、防犯カメラ映像からの捜
査、見当たり捜査を組み合わせたオペレーションを展開して、12月15日、
大学に対する威力業務妨害事件で、被疑者を逮捕したものであります。

   被疑者は、逮捕時、多数の脅迫文書を所持するなど、引き続き犯行を敢行
しようとしていたものとみられ、今回の検挙によって更なる犯罪を抑止する
ことはできたのではないかと考えております。

   今後、警視庁等において、法と証拠に基づき、厳正適正に捜査を進め、一
連の事案の全容解明を図るものと承知しております。