国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成26年2月18日(火)8:54~9:13

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  私の方から、まず豪雨災害関係につきまして、今日の閣僚懇談会におきま
しても報告させていただきました。昨日、政務官を山梨県に派遣して、関係
省庁災害対策会議を2回開会いたしました。現地のニーズと、そして各省庁
との連携を密にさせる、そして速やかな対応をする、こういう視点からの調
整を行っております。また、山梨県からは中央道とか国道とかJRの除雪体
制の早急な確立、広域的な災害体制の確立、大学・高校入試への配慮、災害
対策に対する財政措置等について要請がございました。また、燃料、水、食
料、医薬品等の物資の輸送、被災地における医療の確保など関係省庁一体と
なって対応すべきことでございますので、対策班を内閣府に設置してそれぞ
れの調整を行っております。また、関係閣僚に対しても一層の協力をお願い
させていただきました。引き続き道路の除排雪、それから孤立集落への支援、
それから車両の立ち往生などの早期解消を行うとともに、被災者の方々が一
日も早く安心した生活に戻れるよう、政府としても全力を挙げていきたいと
思っております。この趣旨で私も報告させていただきました。関係閣僚から
は、それぞれ防衛省、あるいは農水省、総務大臣、あるいは文部科学大臣等
々からもそういった要請に対する現状における対応というものの報告があり
ました。おそらくそれぞれの会見でそのことは言及されるのではないかと思
います。それと昨日、官房長官も会見で言及していただきましたが、今回除
雪が遅れた要因の一つに放置車の問題があります。車が放棄されたまま、そ
のままドライバーがいなくなる。これも昨年の災害対策基本法の改正のとき
にも議論になりましたし、また首都直下地震対策検討ワーキンググループの
最終報告でも、この放置車対策というのは極めて重要だという指摘がなされ
ております。私どもも検討をしてまいりましたけれども、これは雪だけでは
なくて、豪雨、あるいは地震等々のときに極めて深刻な問題になります。官
房長官の会見でもございましたとおり、早急に法律改正を含めてこの対応を
我々していきたいと思っております。もし法律改正が必要だということにな
れば、できればこの国会で取り組むんだと、これぐらいのスピード感を持っ
て対応したいと思っております。まずこれが1点。

      それから2点目は、もう御承知のように、昨日、日本時間の昨夜でござい
ますけれども、人権に関する国連調査委員会、COIの報告書が公表されま
した。注目すべき点としては、拉致問題を含む人権侵害を「人道に対する罪」
に該当すると断定をして、そして、北朝鮮を名指しで批判をして、あるいは
金正恩第一書記をも具体的に指名して厳しい内容になっている。ここまで国
連が特定の国に対して踏み込んだ報告書を出したというのは、過去の人権理
事会の報告書と比べても極めて希な報告書でございました。この背景には、
日本も相当各国、国連関係者に精力的な働きかけをさせていただいたという
要因もございます。各国が連携をして、北朝鮮に対して厳しい対応をする必
要性というものをみんな認識していただいた、その結果、こういう最終報告
書が出たということで私たちは歓迎したいと思っております。これからは、
この報告書をしっかりベースにフォローアップしていく必要がございます。
昨日、米下院のロイス委員長が来日しました。私も昼に会談をしましたし、
また夕方には総理とも会談をしてもらいました。私同席もいたしましたが、
いずれもロイス委員長がCOIの報告書に対しては非常に高い評価がござい
まして、私どももロイス委員長も一致したことは、この報告書のフォローア
ップが大切だということで意見の一致をみました。したがって、日本もこの
拉致問題の解決というのが政府の重要課題の一つでございますので、しっか
り主体的にこのフォローアップをしていくということを取り組んでいきたい
と思っております。私からは以上です。

  防災の関係で放置車両の法改正のお話なのですけれども、これは具体的に
何か検討会を立ち上げたり、検討のスケジュールというのは。

答  これは、災対法の関連にもなりますので、内閣府が中心となりまして関係
省庁、まず国交省や警察庁があろうかと思いますけれども、そういったとこ
ろでしっかり調整していくということからまずスタートしたい、早急に始め
たいと思います。内々ではその議論をしていたんですよね。だから去年の災
対法の改正のときも、あるいは年末の首都直下地震対策の報告書の中でも、
その問題点は出ていたわけではございますけれども、これはある意味で政治
主導で取り組んでいかないとなかなか難しい論点がありますので、しっかり
これは速やかな対応と。また、いざ災害が起きたときに、これは一番大きな
障害になることは今回の例でもはっきりしておりますので、速やかな対応を
したいと思います。

  大臣の御認識だと、やはりこの問題を解決するには法改正をしないとなか
なか難しいと。

答  それは、法改正も含めてということです。ですから、この辺はしっかり早
急に検討したいと思います。

  災害時に問題となるのは非常によく分かるのですが、法改正を含めて改善、
何らかの対応をしようと思うときに、どの辺が非常に問題になるというか、
難しいのでしょうか。

答  だから、現状はこうやって放置をされると、まず駐車違反になるかどうか
ということですけれども、これは交通局、警察の見解では、これはやむを得
ない事情というのがあるので、これは駐車違反、道交法の違反には当たらな
いと、これは石破幹事長もその趣旨のことを発言されていますね。ただし、
今の現状では、鍵をつけないで行った場合には、本人を探して、本人の了解
をとって、今回の山梨で1件1件やっているんですよね、1台1台。これ、
とんでもない時間がかかるんですよ。実際に除雪車が来ても動けないという
現状があるときに、これを早く移動するなり撤去するなりすれば、速やかに
例えば除雪は進むわけですから、そのためにどういうものが障害になってい
るか、その障害を除去するためにはどうしたらいいかという論点で対策をし
ていくということですね。その中の過程において、法律改正というものが出
てくるということです。

  あと、仮に法改正が必要となった場合には、災対法での対応ということで
すか。

答  多分そうなんだろうとは思いますけれども、ただこれは私の口からそうだ
とまだ言い切らない方がいいと思います。そこら辺は法律との整合性も含め
て早急な議論をしていただきたいと思っています。

  先ほど大臣がおっしゃられたCOIの報告書についてなんですが、大臣、
再三しっかりフォローアップと、フォローアップという言葉を使われている
のですが、具体的にどういうことを考えられているのかお尋ねします。

答  アジアの地区にフォローアップの拠点を作るということは大切ですね。そ
ういった取組をして、そして関係各国がそれに対して連携をしていく。要す
るに、北朝鮮に対して厳しい圧力というか、国連が協力してやっていくとい
うイメージですね。リエゾンオフィスをどこかアジア地区に作るということ
も含めて、そういうイメージで考えています。

  どこに作るとかというのは。

答  それはこれからの議論です。

  大雪の話に戻るんですけど、今回、一般道であるんですけれども、長野の
18号や長野・山梨の20号で多数の車が動けなくなってしまったというか、
立ち往生してしまったということで、その辺の初動の対応がもう少し何とか
ならなかったものかなと思ってしまうのですが、その辺、大臣はどのような
受け止めなのかということと、国として検証するのかお伺いします。

答  まず、これは雪が降り始める14日から、私たちは会議を開いて関係省庁
を集めて対策を指示しておりました。今回は、考えられる降雪のシミュレー
ションの最悪のパターンだったということはあると思います。したがって、
もし通行止めにすれば、スタックじゃないけれども、物流が麻痺するという
マイナス点もあります。だから、その辺がどういう状況であったのか、そし
てどういうタイミングでそういう通行止めを含め出したらいいのかというこ
とを詳細に検証していく必要があると思います。これは、こういった120
年に1回ですよね。観測史上最悪ということですから、こういったことが現
実に起きたということは、また次もある可能性があるということですから、
あらゆるシミュレーションを想定して危機管理をするということは極めて大
切だと思います。そういった視点に立って、防災担当大臣としても検証した
上で、対策を、今後の在り方というものをしっかり検討してまいりたいと思
います。

  先ほどのCOIの関係ですけど、リエゾンオフィスもそうですけれども、
北朝鮮の人権を、この報告書を終わった後にでも引き続きウォッチするよう
な、そういったことも含まれているのでしょうか。

答  そうです。まさしくそうです。だから私が何度も言っているように、この
報告書を出すことからまた新たなスタートが始まるということなんですね。
ここまでいい報告書を出していただきましたカービー委員長を始め3人の委
員には、その取組に私は心から敬意を表したいと思います。日本にも見えた
ときに総理とも相当長い時間会談していただきましたし、私も昼ご飯を一緒
にとりながら1時間半近くにわたってこの拉致問題について説明かたがた言
及させていただきました。また、この拉致対策本部の事務局の幹部が頻繁に
ジュネーブあるいはニューヨークに行って、関係者に私たちの考え方をしっ
かり訴えてきたと。こういうことがありましたので、これだけのいい報告書
が出たのだと思います。だからこそ、いかにこの報告書をフォローアップし
ていくかということが大切なので、また新たなスタートと、そういう考えで
すね。

  ちょっと重なってしまうのですが、新たなスタートというのは、アジアに
また北朝鮮の人権をウォッチするようなものを作ると。

答  そうですね。いろいろ今アジアにはそういったフォローアップするシステ
ムがありますので、例えばこの前の会議のときも皆さんに資料を配っていま
すけれども、アジア地域、例えばタイなんかはそういう一つの例としてあり
ますよね。国連のフォローアップの拠点を設置するというのも一つの考え方
なんでしょう。そういったことも含めて、国連の関係者と前向きに議論をし
ていきたいと、そして政府とも調整をして進めていきたいと思います。

  あと、今回報告書が公表されましたけれども、来月にはスイスで人権理事
会の方に改めて提出されると思いますが、これについても政府として。

答  はい、もちろん。その人権理事会における採決も含め、またその前には家
族会の皆さんも、3月17日、参考人のヒアリングもございますので、そう
いったフォローもさせていただきたいと思っています。

  もう一点ですが、この報告書が出たことによって、拉致問題、北との対話
というのはまだ、2年前の11月からストップしていますけれども、今後そ
れもつないでいくようなことでよろしいですか。

答  これはもう、拉致問題解決のための交渉。これはもう総理も言っていると
おりです。交渉のための交渉という段階ではもうないと思います。これはし
っかり、そのチャンスをとらえて実現に向けて頑張っていきたいと思います。
これは総理も過日、4者の、総理、官房長官、外務大臣、そして私担当大臣
のコア会議をしたときに、冒頭でそういった趣旨の発言がございまして、メ
ディアにもオープンになっております。まさしくそれは我々としての基本的
な考え方だと思っています。

  こういった国連での報告書を追い風にするような形ですか。

答  そうです。すべてを、我々の政府の方針は、8番目にバスケットクローズ
があるんですね。「その他、あらゆる手段を講じる」という、その中にも入
っていますから。

  雪関係なんですけれども、今、山梨とか長野を中心に一番深刻なのは、孤
立集落の問題です。中央道が今日の未明に通ったので物流は次第に解消され
るかなと考えているんですが、孤立集落の現場の方では支援がいつ来るのか、
来るのか来ないのかということを非常に深刻に思っているところもあります。
政府が内閣府に対策室を設けたということですが、具体的に特に孤立の解消
ですが、支援をこれから強化すると大臣おっしゃっていますけれども、どの
ように。

答  これはもう昨日に会議を開いて、孤立集落対策はいくつかシミュレーショ
ンありますよね。例えば、そこを通る除雪をする、あるいは除雪できなけれ
ばヘリコプターで物資を運ぶ、あるいは人を救助する、実際にお寺に10人
孤立していたところはヘリコプターが入れましたので、そこで救助しました
ね。10人のうち8人ですね。残り2人については、住職さんと関係者だっ
たので、自分は寺を守るために避難はしませんという御判断です。食料、物
資等々を供給して留まっていただいているというのもありますので、そうい
うきめ細かな対応をしていく必要があると思います。現実にヘリコプターも
小型でもかなり重みがありますので、そこは除雪をしなければ着陸ができな
い。だったら、それよりも除雪をして車を通すようにした方が早いのか、そ
ういった細かな対応をしていく必要があるんです。だから、省庁の連携が必
要なんです。自衛隊だけではなくて、国交省、消防庁、警察がそういう対応
をしていくと。それから、山梨は雪がこれだけ降ったことがありませんので、
専門的なノウハウを持ったスタッフが少ないんですね。だから、それは北陸
地整とか新潟とか豪雪を頻繁に経験している専門家に来ていただいて、その
対応を今考えて、そして手段をとっています。かなりきめ細かくやっていま
す。

  お寺の話というのはかなりミクロな、小さい話ですけれども、多分孤立は
この8人に止まらず、相当な数いると思うんですけれども、きめ細かい対応
というのは。

答  そのちょっと今正確な孤立者の数字は手元にございませんが、当然それは
内閣府、あるいは関係省庁で把握していると思いますので、しっかりそれに
対する対応をしていくということであります。それに尽きると思います。い
ずれにしても、また今日も対策会議を昼に開きますので、そういった報告は
必ず受ける、そして更なるフォローアップをしていきたいと思います。