国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成26年7月10日(火)11:41~11:50

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   今日の国家公安委員会定例会議について御報告申し上げます。委員は、全員出席でございます。議題事項については、「犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決」について説明があり、原案どおり決定いたしました。また、その他、警察庁から報告事項について報告がございました。会議の状況は以上でございますが、私の方からこの度法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会における調査審議結果について報告が出ましたので、一言申し上げたいと思います。
 この度の法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会においては、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、様々な課題について調査審議がなされ、昨日意見の取りまとめが行われたものと承知いたしております。今後は、法制審議会の総会において更に審議が行われると承知いたしておりますけれども、録音・録画制度については、裁判員事件を対象に原則全過程の録音・録画が義務付けられるということでございますので、警察にとって重い課題となるものと認識いたしております。同時に通信傍受の見直しや協議・合意制度が、録音・録画と一体のものとして刑事司法制度に取り入れられるべきものとされました。安易な期待は慎む必要がもちろんございますが、これら新たな捜査手法は、振り込め詐欺、暴力団犯罪など組織犯罪等の脅威から国民の安全・安心な生活を守るために役立つものと考えております。録音・録画には、メリット、デメリット双方があり、そのことをしっかりと認識した上で捜査を徹底していく必要がございますが、「世界一安全な国日本」を目指して警察庁をしっかり指導督励してまいりたいと思います。以上です。

問  大臣に拉致問題について質問させていただきます。今朝、一部の報道で生存者リストに政府が認定している複数の拉致被害者が含まれている、また生存者リストは約30人という報道がありました。これについての事実関係について教えてください。

答  (大臣)御指摘の報道は承知いたしておりますが、そのような事実は全くなく、いわば誤報でございます。我が国としてはすべての拉致被害者の安全確保、即時帰国、拉致に関する原因究明、実行犯引き渡しを求めていくということに全く変わりはございません。なお、外務省と拉致対策本部連名で今般の誤報に対して抗議をさせていただくということで、程なくその文書が相手側に渡っていくものと承知いたしております。

問  大臣にお尋ねします。ダンス規制の見直しに関する外部の有識者会議を立ち上げることになりました。この件について大臣のお考えをお願いします。

答  (大臣)政府の規制改革実施計画にダンスに係る風営法の規制の見直しが盛り込まれました。7名の委員からなる「風俗行政研究会」において幅広く検討をお願いすることとしたところでございます。研究会におきましては、規制改革会議やダンス文化推進議員連盟におけるこれまでの議論を御説明申し上げるとともに、ダンス関係団体や繁華街の住民などから広くヒアリングを行っていただくこととしており、これらを通じまして研究会における議論が深まっていくことを期待いたしております。スピード感を持って対応していきたいと思っておりますが、8月下旬には、研究会の議論の結果を取りまとめていただくというふうにしておりまして、その結果を踏まえて、この秋の臨時国会で風俗営業法の改正案を国会に提出することができるように、警察庁を指示督励してまいりたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。昨日法制審の特別部会で答申案を決定しました。録音・録画は、裁判員裁判対象事件に限るという一方で、通信傍受の対象の拡大、それから司法取引の導入といったことが盛り込まれておりますが、捜査側の意向に沿った内容であるという指摘もあるかと思います。今回の答申案についての御見解、これを受けて警察としてどう取り組むかをお願いします。

答  (長官)昨日、新時代の刑事司法制度特別部会において、意見の取りまとめが行われました。
 このうち、録音・録画制度については、事件の立証に有効な面がある一方で、被疑者から十分な供述を得られなくなる等の問題があり、重大で国民の関心が高い裁判員裁判対象事件を対象に原則全過程の録音・録画が義務付けられることは、犯人の検挙、事件の解決を責務とする警察としては、重い課題となるものと認識しております。
 他方、通信傍受の見直し、協議・合意制度については、要件が厳格であること、全く新しい制度であることから、その効果等については運用を見てみる必要がありますが、悪質・凶悪化する組織犯罪等の捜査において新たな武器になり得るものと評価しております。
 答申案、特に録音・録画の制度化への対応は必ずしも容易ではありませんけれども、裁判員制度の導入等により国民に分かりやすい迅速な刑事裁判の実現が時代の要請であること、供述調書等への過度の依存を改め、証拠収集手段を多様化することも重要であることなどを踏まえ、最終的な判断としては、盛り込まれた各制度すべてを一体の制度として賛同することとしたものであります。
 今後、法制審総会において更に調査審議が行われることとなると承知しておりますが、安全・安心を求める国民の期待に応え得る、しっかりとした制度を作り上げるため、法務省と一層の連携を図るとともに、政府の一員として検討に参画してまいりたいと考えております。

問  大臣にお伺いします。抗議をされるということですけれども、これは連名というのは、外務大臣と拉致担当大臣の連名ですか。

答  (大臣)外務省と拉致対策本部であります。今、文章を含め、事務方で調整いたしております。

問  抗議の対象となるのは、組織のトップということになるのですか、それとも編集局長とかになるのでしょうか。

答  (大臣)そこを含めて、今事務局で調整させています。近々にそれは決定して、今日中にはその内容は、通知をされると承知しております。

問  抗議の理由というのは、誤報であるからということですか。

答  (大臣)何度かこういった、実は事実無根の誤報がございまして、いつもその度に私どもは、全く事実誤認であって誤報でありますということを、私も、あるいは外務大臣も、そして事務方もそういうことを申し上げてきました。
 今般もこういう形でございましたので、文書で通知をさせていただくということに決定をさせていただきました。今、その詳細については、事務局で詰めているところでございます。