国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成26年9月11日(木)11:20~11:28

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。山谷委員長は、海外出張のため欠席です。委員は、全員出席です。警察庁から「平成26年上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢」などについて報告がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。平成10年に発生しました拳銃使用の殺人事件について、福岡県警が今朝、指定暴力団工藤會総裁を名のる男を逮捕しました。この事件についての所見と、公安委員会に報告されたと思いますが、上半期の暴力団情勢について、2点についてお伺いします。

答  (長官)お尋ねの事件は、平成10年2月18日、北九州市内の路上で発生した拳銃使用殺人事件であります。この事件に関しまして、指定暴力団五代目工藤會総裁を逮捕し、同會会長の逮捕状を得て追跡中であります。
 一昨年来、質・量ともに体制を大幅に強化して、北部九州における暴力団壊滅作戦を進めてまいりました。警察庁としては、今回の検挙に伴い、警戒活動及び関係者の身辺保護等を徹底するため、現在も福岡県に全国から特別派遣として機動隊員を約300名派遣しておりますが、これを大幅に増強し、500名体制とすることを決定いたしました。
 福岡県警察におきましては、法と証拠に基づき、厳正適正に捜査を進め、事案の全容解明を図るとともに、他の未解決事件の捜査を徹底し、暴力団対策法の特定危険指定暴力団の規制等の制度を運用しながら、工藤會を始めとする暴力団の壊滅に向けた取組を更に徹底してほしいと考えております。
 次に上半期の暴力団情勢であります。暴力団構成員等の検挙人員は前年同期に比較して若干増加し、検挙件数は減少しております。一方、暴力団等によるとみられる事業者襲撃事件や銃器等を用いた対立抗争事件の発生件数は、前年同期に比べて大幅に減少しております。ただし、この種事案の発生は数が少なくても地域社会、企業社会に対する大きな脅威となっておりまして、依然として暴力団情勢は厳しいと認識しております。
 こういう情勢も踏まえ、今後とも引き続き、暴力団の取締りと警戒活動の徹底はもちろん、改正暴力団対策法の効果的な活用や、暴力団排除の取組の更なる推進など、暴力団の弱体化・壊滅に向けた取組を更に進めていきたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。サイバー犯罪、サイバー攻撃をめぐる上半期の情勢がまとまりました。新たな手口も確認されており、センサーへのアクセス件数なども増加しているところであります。サイバー空間をめぐる情勢の現状の認識と対応についてお願いします。

答  (長官)本年4月1日付で、警察庁では専任のサイバー審議官、そして、サイバー参事官を設置いたしました。これに伴いまして、従来、サイバー犯罪、サイバー攻撃、更には情報通信局が行っているインターネット接続点におけるセンサーへの不審アクセスの状況、これら別個に発表していたものを統合して、今回まとめて発表することといたしたものであります。
 本年上半期中の状況でありますが、サイバー犯罪の検挙件数は前年同期に比べて減少しておりますが、相談件数あるいは標的型メール攻撃の件数、そして、警察庁が観測したインターネット上の不審アクセスの件数はそれぞれ増加しております。また、統計上には表れない近年の情勢として、手口の悪質・巧妙化、サイバー空間と深くつながりを持つ新たな技術・サービスに起因する事案の発生、そして、国民生活へのインターネットの普及・定着に伴う、インターネット利用に係るリスクの顕在化といった傾向がみられます。
 こういう情勢も踏まえ、日々変化するサイバー空間の脅威に的確に対処するため、今後注力して取り組むべき施策を見直し、新たに「サイバーセキュリティ重点施策2014-2015」を策定したところであります。この施策は、サイバー空間の脅威への対処能力の強化、サイバー空間の脅威に対する体制的基盤の強化、サイバー空間の脅威を低減するための措置の3本柱で構成されているものであります。
 今後、警察は一丸となり、また、民間事業者等と連携しながら、本施策を着実に実施するとともに、最新の情勢を踏まえた有効な対策を的確に講ずることにより、サイバー空間の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。工藤會の事件について、発生から16年が経ちまして、その間、暴力団トップ、工藤會のトップを逮捕するに当たり、証拠の収集や関係者の供述を取るに当たっては、相当苦労があったのではないかと思います。今回の逮捕劇が暴力団対策全般に与える影響や意義について、もう少しお言葉をいただければと思いますが、いかがでしょうか

答  (長官)今回、検挙に至りましたのは、正に法と証拠に基づき、捜査を推進した結果であります。今後の捜査の進展によって、暴力団トップの社会不在が長期化するということになれば、暴力団に与える打撃というものもそれなりに大きいものになるであろうと思います。
 福岡県警察としては、捜査を厳正適正に進めるとともに、警戒警備を徹底して、暴力団の弱体化、壊滅に向けた取組を更に推進してほしいと考えております。