国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成27年9月17日(木)11:47~11:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は全員出席です。議題事項のほか、警察庁から埼玉県熊谷市における被害者多数の殺人事件の発生などについて報告がございました。熊谷市の事件につきましては、現在、埼玉県警において鋭意捜査中でありますが、まずもって被害者の方々に対しましては衷心より御冥福をお祈りいたします。以上です。

問  大臣にお伺いします。今年上半期のサイバー空間をめぐる脅威の情勢についての集計がまとまりましたが、その中では手口が一層巧妙化して、標的型メールによる深刻な情報流出などもあります。大臣の現状の認識と今後の課題についてどうお考えかお聞かせください。

答  (大臣)平成27年上半期は、我が国の政府機関、民間企業等に対するサイバー攻撃が後を絶たないほか、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が拡大するなど、サイバー空間の脅威は深刻化しているものと認識しております。
 警察庁では、新たな政府戦略の策定に合わせまして、「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」を制定したところでありまして、これらの新たな戦略を踏まえまして、サイバー空間の安全の確保に向けた施策が着実に推進されるように警察を指導してまいる所存であります。

問  長官にお尋ねします。先ほど大臣からもお話がありましたが、埼玉県熊谷市内でわずか数日の間に6人の方が殺害されるという事件が発生しています。事件に関与したとみられるペルー人の男の身柄を確保していますが、この過程でいくつか事実関係を確認し、検証すべきことを検証するというようなことが必要だと思います。長官の現状の認識と今後の対応についてお願いします。

答  (長官)お尋ねの件につきましては、9月14日及び16日に熊谷市において、3件の居宅で合計6名の方が亡くなられるという殺人事件が発生いたしまして、3件目の被害者宅で刃物を所持していたペルー国籍の男が、2階から落下した後、捜査員に取り押さえられ、病院に搬送されたという報告を受けております。亡くなられた方の御冥福を心よりお祈りするとともに、御遺族にお悔やみ申し上げます。一連の事件は、近接した地域で小さなお子さんを含む多数の方が殺害されるという極めて残忍かつ凶悪な事件であり、埼玉県警察において病院に搬送された男の関与はもとより、事案の全容解明に向けて捜査を尽くすものと承知しております。また、警察の対応につきましても、こういった大変重い事態を防ぐことができなかったのかという観点から、その対応についてもよく見ていく必要があるものと考えております。

問  長官にお尋ねいたします。細かいお話になります。検証すべき点ということであれば、既に話が出ている点でございますが、15日に住居侵入でこの男の逮捕状を取った際に、前日の14日の殺人事件とこの男の関連が疑われていたのでしょうか。疑われていたのであれば、殺人事件に関与した疑いのある男が逃走しているという情報を住民に県警の情報メールマガジンなどを通じて公開していたのでしょうか。

答  (長官)14日に認知いたしました殺人事件との関連につきましては、15日に逮捕状の発付を受けた時点では、必ずしも明らかではなかったと承知しております。ただ、関与している可能性も考慮しつつ、機動隊員等を動員して、地域の警戒、検索活動を行っていたと承知しています。

問  細かい点なんですけれども、15日の逮捕状につきましては、発生が13日と承知しております。なぜ15日まで逮捕状の発付が遅れたのでしょうか。

答  (長官)これは被疑者の特定に所要の時間がかかったものと認識しております。

問  今の話と絡むのですけれども、いわゆる15日の段階で逮捕状を取ったときに、地域への注意喚起という点については十分であったと思われますでしょうか。その点についてお伺いします。

答  (長官)周辺地域において、機動隊員及び捜査本部員、約80人による集中的な警戒、検索活動を行っていたほか、地域警察官等によるパトロール活動あるいは教育委員会等に注意喚起を行っていたという報告を受けております。ただ、こうした中で今回の事案が発生したということでありますので、更に教訓とすべきことがあったのかどうかということはよく見ていきたいと思います。

問  長官にお尋ねいたします。同じ熊谷の件ですが、13日に熊谷署に一度被疑者に来てもらって、通訳手配中にいなくなったという事実があったかと思います。そして、昨日16日に認知した2件について、200メートル程度と近接しているところです。その2点について警察として捜査に落ち度、不手際がなかったのだろうかということについてお願いいたします。

答  (長官)お尋ねの件につきましては、9月13日に地元の消防から外国人が片言の日本語で「ポリスに電話してください」と言っているということで、交番に通報がありまして、警察署においてペルー国籍の男性から事情聴取していたわけであります。1時間ちょっと聴取が行われたようでありますけれども、その時点で自らの意志により警察署外に立ち去ったと承知しております。この時点では、この男が何らかの犯罪に関与した事実は認められず、その意志に反して警察署に身柄をとどめる根拠はなかったものと報告を受けております。

問  長官にお尋ねします。JRの敷地内で不審火が相次いだ事件についてですが、男が逮捕されて、大量の電力を消費するJRが許せなかったなどと供述しています。この事件についての所感をお願いします。

答  (長官)お尋ねの事件につきましては、本年8月23日に品川区内の変電所付近において発生したケーブル火災に関し、9月15日、警視庁において、被疑者を威力業務妨害罪で通常逮捕したものでございます。
 本年8月中旬以降に発生を認知した一部の事案では、列車の運行が一時停止されるなど、公共交通機関の運行に多大な影響を及ぼしており、引き続き、警視庁において、本件犯行の動機や他のケーブル火災等との関連性の有無等、事案の全容解明に向けて捜査を徹底するものと承知しております。

問  長官にお尋ねします。埼玉県警の巡査部長が男性を殺した疑いで逮捕されました。その前は大阪府警の巡査部長が元警察官と共謀して集団強姦で逮捕されています。およそ警察官にあるまじき犯罪で、警察官が逮捕されるということが続いて深刻な事態だと思いますが、こうした相次いだ状況についてどのように受け止めていらっしゃるか、対応を含めてお尋ねします。

答  (長官)大阪で集団強姦事件があり、また先日埼玉で警察官による殺人事件が発生いたしました。これ以外にも、本年に入りまして、警察官による凶悪な事件が発生しております。
 そもそも警察は、高い士気と厳正な規律があって初めて国民の信頼と協力を得られるのでありまして、それが日本の良好な治安の基盤を成しているものと認識しております。その信頼を著しく損なうような事案が発生したことは、極めて遺憾であり、重く受け止めております。
 まずは背景、原因も含めて事案を徹底解明し、そこから得られる教訓を全国で共有して、真に国民の信頼を得ることのできる職員の育成に向けて、更に努力を尽くしたいと考えております。

問  繰り返しで申し訳ありませんが、熊谷の事件について、改めて結果としてではありますが、警察が最初に接触した男が結果的に立ち去ってしまい、6名を殺害した疑いがあるということですが、警察としての対応について先ほどもお話がありましたけれども、今後、この対応について検証とか、あるいはどういう点を問題点としていくのかということを改めてお伺いします。

答  (長官)御指摘のとおり、非常に重い結果が生じておりますので、警察といたしましても、埼玉県警が懸命に対応してきたと承知しておりますが、更にこれを教訓として活かして、この種の事案を防ぐことができないかという観点からよく事案を見てみたいと思います。