国家公安委員会委員長記者会見要旨(警察関連部分のみ)

1 日時 平成27年10月7日(水)12:31~12:50

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要   平成26年9月3日に、安倍内閣の一員として、国家公安委員会委員長、拉致問題担当、海洋政策・領土問題担当、国土強靱化担当及び内閣府特命担当大臣(防災)に就任し、国民の安全と安心を守る幅広い業務に全力で当たってまいりました。
 本日をもって退任いたしますが、皆様には本当にお世話になりました。ありがとうございます。
 国家公安委員会委員長といたしましては、私は昨年の就任の際に、「世界一安全な国、日本」を創るため、国民の安全・安心に関わりが深い事件等への対応、サイバー空間への脅威への対処、暴力団対策、交通事故対策、災害・テロ対策の強化などを課題として掲げ、これまで取り組んでまいりましたが、印象に残るものとしては、昨年の臨時国会及び先の通常国会で5つの法案の成立をみたこと、福岡の工藤會総裁らを検挙するなど、暴力団対策が更に進展したことなどが挙げられます。
 また、在任中、様々な場面で、国民の安全と安心を守るという崇高な目的のために日夜努力されている警察職員の姿に接する多くの機会があり、改めて、警察職員の日頃の御労苦に感銘を受けたところであります。
 広島市で発生した土砂災害の現場、御嶽山の噴火災害の現場、そして茨城県の河川決壊浸水被害の現場等で、厳しい状況の中で懸命の救助活動や捜索活動をする警察官の姿を見て、市民に寄り添う温かい警察があることを感じました。柔剣道、逮捕術の全国大会では、日頃の訓練や実務の成果を披露する警察官の姿を見て、悪と対峙し、それを制圧するために気力・体力を錬成していること、また、青年警察官の主張では、同僚や先輩の指導を受けながら成長していく姿に、それぞれ頼もしさを感じました。
 国民が警察に寄せる期待には大きなものがあります。治安の維持は国家・社会の最も基本的な要請であり、良好な治安は我が国が世界に誇るべきものであります。引き続き、「世界一安全な国、日本」を創るため、治安の維持・向上に向けて、全国警察の皆さんには、一層の奮闘努力をお願いしたいと思います。
 拉致問題担当大臣といたしまして、拉致問題について、深い寂しさと激しい怒りをずっと感じており、一日も早く拉致被害者全員の救出ができるよう全力を挙げて取り組んでまいりました。
 就任後、ジュネーブにおいて、また、本年5月にはニューヨークにおいて、「北朝鮮による拉致を含む人権侵害に関する国際シンポジウム」を開催し、拉致問題の悲惨さ重大さを国際社会に訴えさせていただきました。
 昨年のCOI報告書の公表と一連の国連決議の採択以降、拉致問題の解決を始めとする北朝鮮の人権状況の改善を求める国際社会の機運が高まっている状況です。こうした流れの中で、引き続き、拉致問題の解決に向け、国際社会との連携を強化していただきたいと思います。
 さらには、昨年の「拉致被害者等支援法」の改正を受け、「拉致被害者・家族に対する総合的な支援策について」を改訂し、帰国した被害者が日本で安心して暮らせるための環境整備を進めました。
 被害者や御家族が高齢化する中、在任期間中に救出できなかったことは慚愧に堪えませんが、一日も早い救出に向けて引き続き全力を尽くしてまいります。
 死因究明等についてでありますが、我が国において死因究明及び身元確認の実施に係る体制の充実強化が重要な課題となっているところ、今後とも死因究明等推進計画に基づき、新大臣の下、関係府省庁と連携して、その施策の実施を進めていただくとともに、地方自治体における取組が着実に推進されるよう、地方との連携も十分に図っていただきたいと思います。
 終わりに、在任中の御厚誼に改めて感謝申し上げます。退任の挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

問  一年余りの在任お疲れ様でした。この間、改めて振り返って、今大臣もおっしゃられましたが、やり残したこと、あるいは、こうすればよかったなということも含めて、改めて今のお気持ちをお聞かせください。

答  大臣として400日、通常国会は戦後最長国会でございました。安倍内閣として、様々な改革断行がなされたと思っております。国民の安全安心、豊かな暮らしのために、今後とも努めていきたいと思います。
 犯罪においては、国境を越える犯罪、グローバリゼーションの波の中で、複雑性を増しておりますが、対処能力が高まっていると考えておりますし、また、防災被害の最小化、復旧復興のスピードアップ化のために、警察、自衛隊、消防、また国土交通省のTEC-FORCE等々、一丸となって事に当たれる体制の強化というのもできたと思います。
 拉致問題の解決が未だなされていないということは、本当に悔しく慚愧の思いでいっぱいでありまして、引き続き、どのような場にあっても、この解決のために力を尽くしていきたいと思います。
 また、海洋政策や国土強靱化は、開かれたチャレンジ精神溢れる、また科学技術立国日本としての将来も見据えながら、これ大きな一歩になった一年ではなかったかと考えております。

問  国家公安委員長のお立場で、一年少し警察を管理する立場でこられたわけですけれども、警察、多様な業務に接する中で、最近例えば深刻な不祥事なども続いている状況がありました。管理するお立場でこられて、警察組織がどう見えるか、あるいは見えたものがあるのか、さっき少しお話もありましたけれども、警察を管理する立場、国家公安委員長をおやめになるに当たって、警察庁あるいは警察に対して、改めて残しておきたい言葉でもあればお願いします。

答  高い使命感と能力、そして、チーム力で「世界一安全な日本」という目標の下に、みな努力し続けておられるという姿に感銘、感謝しているところであります。ただ、不祥事等々の御質問でございますが、法を執行する立場の警察官でありますから、逮捕等は極めて遺憾でございます。高い士気と厳正な規律があって、初めて国民の理解と協力を得られるわけでございまして、それが日本の良好な治安基盤というものをなしていると考えております。今年の小学1年生、ある科学メーカーのアンケートでは、なりたい職業、男の子ではスポーツ選手に次いで警察官が2位、そして女の子では初のベストテン入りというふうに、やはり警察の皆さんへの信頼とその職務に対する尊敬の念というのは強いものがあると思っております。だからこそ、真に益々国民の信頼を得られる職員の育成に更に努めていただきたいと思っております。

問  一年間、事件や事故、災害いろいろな出来事がありました。警察として、それに対処する施策もなされてきました。大臣にとって一番思い出に残る施策についてお願いします。

答  先ほども申し上げましたけれども、暴力団対策、サイバー空間への脅威への対処、交通事故対策、災害、テロ対策の強化など、課題に取り組んだ一年だったと思っております。ISILの対応も含めまして、テロ対策の強化というのは、来年のサミット、そしてまた2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、その力を強めていかなければならないところでありまして、その体制作りというものの緒についた大きな前進を図る、その基盤ができた一年ではなかったかなと思っております。引き続き、警察の持てる使命感と能力を最大限に発揮しながら、安全安心な日本、その状況を作っていくために努力していただきたいと思っております。

問  拉致問題についてお伺いします。大臣が就任されて一年、昨年9月は初回報告がいつ来るかというような状況だったと思いますが、今に至るまで進展が見られません。振り返られて問題があったとすれば、どのような点に日朝交渉に問題があったのか。また、今後具体的にこの膠着状態を打開するためにどのようにしていくべきだとお考えでしょうか。

答  拉致問題対策本部、そして警察、外務省、官邸、与野党も含めて、オールジャパンの体制で救出、帰国に向けて声を上げ続ける、そして解決に向けて進んでいくということをこの一年間心がけてまいりました。しかし、今にいたっても特別調査委員会が立ち上がって一年を過ぎても北朝鮮から帰国に向けての誠実な報告がないということは誠に遺憾であります。国際社会の中でも、先ほど申しましたように、国連の場、そしてまた先週はASEAN+日中韓の場でも拉致問題を強く訴えてまいりました。オールジャパンの体制と、そしてまた、国際社会かつてないほど拉致問題の解決を求める機運が高まっている、そうしたモメンタムを最大限に使いながら「対話と圧力」、「行動対行動」という基本原則の下に、一日も早く結果を出すということを努めていかなければならないと考えております。

問  関連になりますが、拉致問題担当大臣の後任には、加藤勝信氏のお名前が取りざたされております。正に官房副長官として、総理の近くでお仕事をされてきたわけですけれども、どのようなことを期待されますでしょうか。

答  次の大臣がどなたかということは、まだ決まっていませんので、ちょっとコメントをするのは難しいのですが、ただ、官邸と一体となってこれまでやってまいりましたので、そういう面ではしっかりと対応ができると思っておりますが、就任はまだでございますし、どのような体制であれ、安倍内閣の最重要、最優先課題でありますから、総理、そしてまた官邸が一丸となって救出に向けて努めるのは当然のことだと思っております。