国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年1月28日(木)12:00~12:07

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況につきまして申し上げます。河野委員長は、国会対応のため欠席でした。議題事項については、「人事案件」について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁からいくつか報告事項について報告がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。昨年一年間の観光客の訪日外国人は2,000万人に迫る勢いでした。訪日外国人が急増する中、警察としては、事件・事故の対応は当然、地理案内、困りごと相談、その他について新たな対策をすることになりました。長官の所見についてお願いします。

答  (長官)観光立国の実現に向けた政府による各種取組等を受けまして、近年、我が国を訪れる外国人は急速に増加しております。昨年の訪日外国人数は、1,974万人となって、3年間で1,000万人以上の増加となったところであります。また、日本再興戦略に基づく外国人活用方針を受けて、我が国に滞在する外国人も増加が見込まれております。このような状況の中で、我が国の言語や制度に不慣れな外国人が何らかのトラブルに巻き込まれたり、事件・事故等の被害に遭うケースの増加が懸念されるところであります。
 警察としては、2020年東京オリンピック・パラリンピックも控えまして、日本語を解さない外国人からの急訴、あるいは相談等にも迅速、的確に対応し、我が国の良好な治安を等しく体感できるようにする必要があり、この度、そのために取り組むべき施策をまとめて、全国警察に指示したところであります。主な施策といたしましては、交番、警察署における外国語でのコミュニケーション力の向上のための体制確保、資機材の整備、あるいは外国語による110番への対応体制の強化。また、昼夜を問わず通訳人を迅速に手配、運用するための体制、制度の整備。さらに、各種届出、運転免許試験等の外国語対応や防犯、防災情報の外国語による提供。あるいは各種警察施設、車両の外国語表示や外国人に分かりやすい交通安全施設の整備。これらの施策を実現するための人材確保、言語・文化・宗教等に係る教養、あるいは外国人コミュニティとの連携の強化等であります。
 今後、全国警察において、これらの具体化、実現に向けて努力をしていくことになりますけれども、警察庁としても必要な指導、支援に努めていきたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。昨日、警察庁のホームページが一時閲覧できなくなり、外部からのサイバー攻撃とみられていますが、直後に「アノニマス」を名乗る人物が、インターネット上で攻撃を行ったことを示唆する書き込みを行いました。同様の書き込みは去年9月以降相次いでいて、実際に頻繁に閲覧障害が起きているようですが、これについて警察はどう把握され、対応されているのでしょうか、お聞かせください。

答  (長官)お尋ねの件につきましては、昨日午後7時頃から午後9時頃までの間、警察庁のウェブサイトが閲覧困難な状態となったものであり、ハッカー集団「アノニマス」を名乗る者が、ツイッター上に犯行声明とみられる投稿をしている状況を把握したところであります。
 本件につきましては、警察庁において原因究明を早急に進めるとともに、昨年来発生しております我が国の複数のウェブサイトに対するサイバー攻撃との関連性も含めまして、警視庁とも連携して、事案の解明を図っているところであります。
 本年5月には伊勢志摩サミットが開催されるわけでありまして、警察では、伊勢志摩サミット関連施設の管理者や関係機関と協力し、サイバー攻撃に関する情報の共有、あるいはサイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練の実施等のサイバー攻撃対策を着実に推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。昨年の特殊詐欺の状況がまとまったところです。認知件数は増えていますが、被害額は6年ぶりに減少に転じています。検挙の方も伸びているということで、一定の改善がみられますけれども、依然として厳しい状況には変わりないと思います。現状への御認識、対応、対策、検挙をどう進めていくかお聞かせください。

答  (長官)昨年の特殊詐欺情勢につきましては、被害額は過去最悪となった一昨年から約89億円減と大きく減少したものの、未だ高齢者を中心に大きな被害が発生しておりまして、3年連続で400億円を超える厳しい情勢にあるという状況でございます。
 警察としては、このような情勢の中で、検挙の力で犯行を止めるということを目指して、特に犯行拠点の摘発等による犯行グループ中枢の検挙、あるいは現金送付型や現金手交型に対する現場検挙の徹底等に努めておりまして、27年中は、60箇所の犯行拠点を摘発し、また、現金送付先のマンション空き室、あるいは私設私書箱等227箇所において244人を検挙しております。特殊詐欺の検挙は、件数・人員とも前年を20パーセント以上上回って、特に人員は過去最多となったところであります。また、予防の面につきましては、金融機関、あるいは郵便・宅配事業者等との協働による水際阻止等に努めているところでありまして、27年中の阻止率は49.1パーセントとなりまして、20年以降で最高となったところであります。被害件数にほぼ匹敵する数の事案を水際で止めているという状況になっております。今後とも関係事業者の御協力を得て、更にこれを引き上げたいと考えております。27年中はこのような取組の結果、6年ぶりに被害額を減少させることができたわけでありますが、今後も徹底した抑止と検挙によって、特殊詐欺の被害を大幅に減少させる必要があると考えております。
 引き続き、警察組織を挙げて、犯行グループに対する摘発を強化するとともに、関係事業者等と連携した被害防止対策等に取り組んでまいる方針であります。