国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年2月25日(木)11:30~11:42

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議について申し上げます。警察庁から「平成27年中の少年非行情勢」などについて報告がございました。以上です。

問  大臣にお伺いします。少年非行情勢の統計が発表になりまして、刑法犯で検挙された少年は12年連続で減少、初めて3万人台を記録しました。一方で、振り込め詐欺の検挙は増加しておりますし、昨年は川崎の中1の殺害など凶悪な事件も発生しました。大臣の所感をお願いします。

答  (大臣)刑法犯少年の検挙人数は、今ありましたように、戦後最少になりましたし、子供の数が減っていることもありますが、少年人口1,000人当たりの数を見ても6年連続で、こちらも戦後最少になりました。少年の非行情勢というのは、かつてないほど改善されて良くなってきていると思います。ただ、振り込め詐欺の出し子であったり、それから大麻であったり、それから一番気になるのは再犯者率が高くなってきているという、個別に見ると、それぞれ問題としてクローズアップされるべきものがあるだろうと思います。ここで気を緩めることなく、引き続き、少年の非行防止というのをしっかりやっていかなければならないと思いますし、「非行少年を生まない社会づくり」という合い言葉の下に、様々な地域のボランティアの皆さんを始め、やはり地域社会と一体になって、非行防止というのはやっていかなければいけないだろうと思っております。私の地元でも学校やら、町内会やら様々な地域の団体が一堂に集まって、やや危ない子供の個人情報をその場限りということで開示しながら、地域のみんなでその子達が真っ直ぐいくように努力をするという試みをもうかなり続けてきておりますし、それが相当成果を挙げているのだと思います。地域社会と一緒になって、「非行少年を生まない社会づくり」というのをこれからもしっかりやってもらいたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。平成27年の暴力団情勢がまとまりました。昭和33年に統計を開始以来、初めて5万人を切って4万人台となって、減少させる成果を挙げていると思います。警察が手を緩めればいつまた増長してくるか分からない危惧もあります。現状の認識と今後の対策。それと山口組が分裂して間もなく半年が経ちます。こちらも現状の認識と対策。あと節目で毎回聞いていますが、この半年間で山口組分裂後の双方の検挙者数、家宅捜索の箇所数についてお願いします。

答  (長官)暴力団構成員等の数は平成27年末時点で4万6,900人となりまして、御指摘のとおり統計が残る昭和33年以降最少となっております。また、構成員数も同様であります。
 警察では、これまで暴力団犯罪の取締り、暴力団対策法の効果的運用、暴力団排除活動を推進するなどして、暴力団の壊滅に向けた取組を進めてきたところでありますが、その結果、構成員が組織を離脱する傾向が続いているものと考えております。
 引き続き、暴力団の弱体化・壊滅に向けた取組を強力に進めてまいる方針であります。
 また、山口組でありますけれども、昨年8月末の分裂を受けまして、対立抗争の防遏と組織の弱体化を目指して、六代目山口組及び神戸山口組に対する取締り等の強化を図ってきたところであります。昨年9月以降、昨日までに、全国29都道府県警察において、六代目山口組総本部や双方の二次組織の事務所延べ158か所を捜索し、これらの関連事件で二次組織の組長延べ12名を含む延べ210名の幹部等を検挙しているところであります。
 なお、平成27年9月から12月までの間の両団体の暴力団構成員等の検挙人員については、六代目山口組が3,130人、神戸山口組が732人となっております。
 こうした中、両団体を合わせた勢力は、1年前と比較して約3,200人、13.7パーセントの大幅な減少となっているところであります。
 また、神戸山口組の指定につきましては、先般、主たる事務所を決定し、これは兵庫県淡路市内でありますけれども、2月18日に全国の公安委員会に通知したところでありまして、指定に向けた手続を鋭意進めているところであります。
 引き続き、両団体の動きを細心の注意を払って警戒するとともに、強力な取締りを推進して、両団体の弱体化と対立抗争の防遏を図り、市民生活の安全確保に万全を期していく方針であります。

問  長官にお尋ねします。都内の女性が相模原市で御遺体で見つかった事件が昨年ありましたけれども、死体遺棄罪で有罪を受けている男、元交際相手を殺人でこのほど逮捕しました。その交際相手の女も同幇助で逮捕されたところです。長期をかけて殺人罪での立件に至ったということだと思いますけれども、物証が少ないようにも見えますし、非常に難しい捜査だと思いますが、この事件についての所感をお願いします。

答  (長官)本件は、平成26年11月に新宿区から被害者とその子供が行方不明になっているとの通報を受けたことが捜査の端緒となったものでありまして、去る2月20日、平成25年6月に新宿区内のアパート内で被害女性を殺害した容疑で警視庁が被疑者2名を逮捕したものであります。
 本件の被疑者らにつきましては、女性の死体を相模原市内に遺棄したとして、昨年6月に死体遺棄罪で逮捕し、男については有罪判決が確定しておりましたが、その動機・背景等が明らかではなく、また、被害女性の死因に不審点が認められたことから、引き続き事案の解明に向けて粘り強く捜査を進め、殺人罪での逮捕に至ったものと承知しております。
 引き続き、警視庁において、行方不明の被害者の長男の所在も含めまして、事件の全容解明に向けて、捜査を徹底するものと承知しております。

問  大臣にお伺いします。先ほど少年非行が減ってきたけれどもと話がありましたけれども、大臣は、新しい犯罪があれば、これまでもどういうところに人員や、組織の力を注入するかという話をときどきされていると思うのですけれども、少年非行がここまで減ってくると、例えば、少年非行にあてていた人数を減らすとか、あるいは見直すとか、そういうことも考えられたりするのでしょうか。

答  (大臣)刑法犯全体の数は減ってきております。ですから、相当、そういう意味では安心な社会になりつつあるのだと思いますが、一方で、ストーカー事案とか、DV事案というのは、顕著に増えているわけです。少年非行の問題というのは、やっぱり背景を見ると、家族の問題と密接にリンクしているところがあって、というのはやはり、DVとかストーカーとかと繋がりがあるのだろうと思うのです。ですから、そういう流れの中で、人員をどう見ていくかというのは大きな課題だと思っています。
 今、国家公務員制度も担当しておりますが、警察庁の定員をどうするかというのは、実は外務省の定員と並んで来年度の大きな課題でありました。外務省は外務大臣と折衝いたしましたが、警察は大臣兼務ですから、大臣折衝というわけにもいかないので、ちょっとたぶんこういうのは初めてのケースではないかと思うのですが、テロ対策、サイバー対策をやらなければいけない中で、なかなか人員を増やすというわけにもいかないとなると、警察の中で定員の割り振りをどうするかというのは、警察庁もそうですし、都道府県警察でも、様々これから考えていかなければいけない課題だと思っております。かなり改善されて戦後最少になってきている部分もあれば、増えているところもありますので、それは各都道府県の公安委員会にもしっかり考えていただいて、国家公務員制度担当大臣としても、やはりそうしたことにはこれから目配りしてまいりたいと思っております。