国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年3月3日(木)12:00~12:07

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。河野委員長は、国会対応のため欠席です。議題事項については、「『国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令案』に対する意見の募集」についてであります。この問題などについて説明があって、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。昨年一年間のインターネットバンキング不正送金事件がまとまりました。件数は減少しましたけれども、被害額が過去最高を更新する事態となっています。現状の認識と今後の対策についてお願いします。

答  (長官)平成27年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況につきましては、御指摘のとおり発生件数は減少いたしましたが、被害額が30億円を超しまして過去最悪となったところであります。信用金庫、信用組合、農業協同組合、労働金庫に被害が拡大するとともに、法人口座に係る被害が増加したことが被害額の増加につながったものと見ております。
 警察におきましては、引き続き、事件を徹底検挙するとともに、中継サーバ事業者の一斉取締りや、ウイルスに感染したパソコンのネットワークを崩壊させる、いわゆるボットネットのテイクダウンなどの不正送金事犯に係る犯罪インフラ対策を推進してまいる方針であります。また、被害者の多くがセキュリティ対策を実施していないということが判明しておりますので、金融機関に対する、より高度なセキュリティ対策の導入と利用者に対する最新のセキュリティ対策の利用促進を働き掛けてまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。山口組の分裂を巡って、六代目側と神戸側の間で小競り合いが続いていますが、先月25日以降、ほぼ毎日のように車両で組事務所に突っ込んだり、拳銃弾が発射されるなどの事案が全国的に発生しています。今朝も栃木や北海道で同種の事案が起きたところでありますけれども、双方による、こうした行為の応酬の頻度がここ最近で高まっているように思います。組織を挙げた対立抗争に今後発展していく前兆と見ていらっしゃるのか、長官の御所見と今後の対策についてお願いします。

答  (長官)御指摘のように、最近、両団体の傘下組織関係者が絡む事件が頻発しているところであります。
 これらの事件につきましては、動機、原因等が、例えば非常に局地的、あるいは偶発的なものであったり、組織的な背景が必ずしも明らかではないものも多く、いまだ組織対組織の対立抗争と認定するには至っていないと見ているところでございます。これらの事件については、現在、関係都道府県警察において、それぞれの事件の関連性も含めて鋭意捜査中でありますが、引き続き、六代目山口組、神戸山口組双方の動きを最大限の注意をもって把握し、両団体に対する取締りを徹底して、その弱体化につなげるとともに、抗争の防遏による市民生活の安全確保に全力を尽くしたいと考えております。

問  長官にお尋ねいたします。昨年の交通死亡事故の特徴がまとまったところです。少し各年齢を細かく見てみたり、形態別、あるいは原因別の分析を加えたことで、従来と違った形になっていますけれども、こうした新しい形になっていくことの狙い、今回の特徴についての所感をお願いします。

答  (長官)昨年の交通事故死亡者数は4,117人でございまして、わずかではありますが15年ぶりに増加となりました。また、政府が第9次交通安全基本計画に掲げた死者数3,000人の目標を大きく上回る結果となったところであります。こうした情勢を踏まえまして、交通死亡事故の現状を的確に捉えた対策を講じるため、警察庁において改めて分析の在り方について検討を加え、今般発表したような結果を得たところであります。具体的には、高齢者の人口当たり交通事故死者数は減少しているものの、高齢者人口そのものの増加によって、結果的に高齢者の交通事故死者数が増加しており、これが交通事故死者数全体の増加の主な要因であると認められるところでありますが、こういった傾向を踏まえ、関係機関・団体との連携を強化し、子供の安全対策と合わせまして、高齢者の交通事故抑止対策を一層充実する必要があると考えております。また、今回の分析によって、死亡事故に占める割合が大きい正面衝突等、これは事故原因が類似する正面衝突、路外逸脱、工作物衝突を含んだものでありますが、この正面衝突等、それと横断中事故及び出会い頭衝突といった事故類型に着目する必要が認められたところでありまして、中でも、死亡事故の4分の1以上を占める横断中死亡事故につきましては、他の類型に比べ余り減少していないということから、これに係る法令違反の特徴を踏まえた交通安全教育等の諸対策を強力に推進する必要があると判断されるところであります。今後も的確な分析に基づく交通死亡事故抑止対策を積極的に推進してまいる所存であります。