国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年5月12日(木)11:21~11:32

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   今日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につきましては、「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集などについて説明がありまして、原案どおりに決定をいたしました。その他、警察庁から今週末から開催されます、G7閣僚会議の警備等の報告事項について報告がございました。

問 大臣にお伺いします。今、お話もありましたが、高齢者対策等を盛り込んだ道交法の施行令改正がまとまりました。この対策について大臣の所見をお願いします。

答 (大臣)75歳以上の御高齢の方につきましては、運転免許の保有者当たりの交通死亡事故件数が他の年齢層と比べて大変多くなっております。昨年、4,000人を超えた交通事故による死亡者を、今度の計画では2,500人以下まで減らさなければいけないという状況になっております。そのような中で、御高齢の方の交通事故を防止するということは、非常に重要な課題だと思っております。
 昨年の道交法の改正で、75歳以上の運転者が、認知機能が低下をしたときに行われやすい一定の違反行為をされた場合に、臨時に認知機能の検査を行う、あるいは、そのときに認知症のおそれがあるとされた場合には、医師の診断を受けていただくというようなことになりました。
 今般、この制度を施行するに当たりまして、臨時認知機能検査の要件となる違反行為を、信号無視、あるいは一時不停止等、18の行為を規定いたしました。また、運転免許証の更新のときの高齢者講習を少し合理化させていただこうということで、そこについても規定をいたしましたので、パブリックコメントに付すことにいたしました。やはり、認知機能の低下をタイムリーに把握をして、お医者さんの診断を受けていただく、ということが可能になって、道路交通の安全につながるのではないか、御高齢の方の交通事故を減らすことに役立つのではないかと思っております。
 平成29年3月12日に施行予定でございますので、国民の皆様の御意見を踏まえつつ、交通事故の防止に向けた取組をしっかりとやってまいりたいと思っております。
 究極的には、自動運転を早く取り入れるということに、やはり尽きるのではないかなと、個人的には思っております。今度、政府の計画の中で自動運転というものが取り入れられているものもありますので、それについてはかなり前倒しをしていただいて、早くそういった技術が現実になるようにしてまいりたいと思っております。

問 長官にお伺いいたします。プロ野球の巨人の元選手らによる野球賭博事件で、警視庁が笠原元選手らを逮捕しました。この事件では他の選手らの関与等も取り沙汰されていますが、こちらの事件の所感をお願いいたします。

答 (長官)ご指摘の事件につきましては、4月29日、警視庁において、平成26年から27年にかけて開催されたプロ野球等の試合を対象に賭客に野球賭博をさせて利益を図っていた男性1名を、賭博場開張等図利で逮捕したほか、賭博の申込みを仲介するなどしておりました元プロ野球投手を同幇助の容疑で逮捕したものであります。警視庁において、引き続き全容解明に向けて捜査を徹底していくものと承知しております。

問 長官にお伺いします。オバマ米国大統領が広島を訪問することになりました。こちらの警備体制と、また長官自らが事前に広島を視察されるお考えなどがあるのかどうか、あわせてお伺いいたします。

答 (長官)先日、オバマ米国大統領の伊勢志摩サミット終了後の広島訪問が決定されましたので、警察といたしましては、サミットに引き続いて極めて重要な警備を担うこととなります。関係警察の力を結集して、万全を尽くす所存であります。
 お尋ねの私が事前に広島等を実査するかということについては、事情の許す限りやりたいと考えております。

問 長官にお伺いします。山口組、神戸山口組の抗争の関係ですが、神戸山口組を指定暴力団に指定して15日で1か月となります。この間、刑事事件は少しありましたけれど、ここまでの両団体による抗争事件の発生状況、検挙状況、数字を含めまして、それから、指定前後の状況をどう見ていらっしゃるか、今後どう取り組んでいくか、お願いします。

答 (長官)六代目山口組と神戸山口組が対立抗争の状態にあると判断いたしました3月7日以降、昨日までに、両団体の対立抗争の可能性がある事件は12都道府県で26事件発生をしておりまして、銃器発砲事件は3件、火炎瓶様のものが使用された事件は3件、車両が突入した事件は5件となっております。これらのうち、被疑者を検挙した事件は5事件でありまして、両団体の構成員等を25人、これで検挙しているところであります。
 また、3月7日以降の両団体に対する集中取締りによりまして、5月8日までに、全国で双方の構成員を300人検挙しているところであります。
 対立抗争の可能性がある事件は、神戸山口組を指定した4月15日以降は、北海道において発生しました、コンクリート片の投てきによる建造物損壊事件1件のみにとどまっておりますが、引き続き、全国で警戒を徹底するとともに、強力な取締りによって、両団体を弱体化し、対立抗争の力を奪うことが必要であると考えております。
 また、両団体間の暴力行為の発生状況が、暴力団対策法に定めます要件に該当する場合には、事務所使用制限命令や、特定抗争指定暴力団等としての指定等の必要な措置を講じ、対立抗争の早期防遏を図っていく所存であります。

問 大臣に追加でお伺いします。神戸山口組側の指定を急ぐように盛んに発言してこられました。4月15日の指定効力の発効以降は、1件しか発生をしていません。抑止効果がかなりあったと思いますけど、大臣のこれについての御見解をお願いします。

答 だいぶ急いで暴対法の指定をやっていただきました。一定程度の抑止効果はあったと思っておりますが、依然として一般市民に大きな不安を与えているというのは現実としてあるのだろうと思っておりますので、抑止効果があったよねと喜んでいるだけではなくて、引き続き徹底的な取締りをやって両団体の弱体化を図っていかなければならないと思っております。今後も事務所の使用制限命令ですとか、特定抗争指定暴力団の指定なども可能になるわけですから、あらゆる手段を使ってこの両団体を弱体化し、対立抗争は起こさせない、早期に防遏をするということを徹底するように指導してまいりたいと思っております。