国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年5月19日(木)11:41~11:50

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につきましては、人事案件等がございまして、原案どおり決定をいたしました。その他、警察庁からG7伊勢志摩サミットに係る警護警備等について報告がございました。

問 熊本の地震から1か月余り経ちました。現地では空き巣とか、不審な電話ですとか、それから悪質な行為が横行していると聞いています。その他、警察として困りごと相談など、いろんな対応されていると思います。この1か月間の活動について、大臣の所見をお願いします。

答 (大臣)熊本地震から1か月が経ちました。被災地域におきまして、空き巣等の被害として49件を認知しております。このうち、5件、5人を検挙しております。その他、少年保護育成条例違反を1件認知し、検挙してございます。また、これは熊本だけではなくて全国的に、この熊本地震に便乗した詐欺を3件認知しておりまして、1件、1人を検挙しております。また、詐欺等に係る不審電話18件を把握しております。
 熊本の刑法犯の認知件数は、震災前あるいは前年と比べて少なくなっていると承知をしておりますが、こうした空き巣等が先ほど申し上げました49件出ているというのも事実でございます。熊本県警、それから他の都道府県警察から派遣された応援部隊による警戒パトロールを強化したり、チラシの配布や、ツイッター、その他を利用した犯罪被害防止のための積極的な注意喚起、また被疑者の早期検挙に向けた取組の強化などをやっていただいております。
 また、特に申し上げたいのは、警視庁、神奈川県警を始め様々な応援部隊による女性警察官を中心とした部隊に避難所を回っていただいておりまして、防犯指導ですとか相談等をやっていただいておりますが、私も現地視察したときに、ちょうどそうした女性警察官が避難所を回っているところへ御一緒しましたけれども、女性警察官が親身に話を聞いてくれる、相談に乗ってくれるだけでなくて、いろいろ不安に思っていることを耳を傾けて聞いてくれるというだけで何となくほっとするという、避難されている方から非常に高い評価を頂いております。また、現地入りした女性警察官、志願して行ってくれている人も大勢いらっしゃいまして、そういう意味では非常に取組として良かったのではないかと思っております。こうしたことは、いずれまた災害が起きたときにしっかりできるように、こうした経験は積み重ねていきたいと思っております。
 また、被災地の空き巣みたいなものは、東日本でも、あるいは近くは常総の水害時にもございましたが、こういう空き巣のようなものを恐れて避難が遅れる、あるいはなかなか避難所に行かないというようなことは、それが高じるとやはり体調面あるいは命に関わるようなことにもなりかねないわけで、被災地でこうした行為があるということは極めて卑劣で許し難いと思っております。今、与党を中心にこうした場合の刑罰、災害時の窃盗の重罰化という議論も出始めておりますが、様々な観点からこの問題については、ぜひ与党内と言わず国会内で活発な御議論をしていただきたいと思っております。

問 長官にお伺いいたします。伊勢志摩サミットまで残すところちょうど1週間となりました。国テロ情勢をめぐる変化などもあって、過去にないような厳しい情勢下での警備になろうかと思います。また、オバマ大統領の広島訪問も決まりまして、大警備が連続する形になります。先日長官も現地を視察されていますけれども、残り1週間、現時点での警備の取組、課題、どうやって取り組むか、意気込みも含めましてお願いします。

答 (長官)伊勢志摩サミットまで今日でちょうど1週間ということになりました。今回のサミットは、パリ同時多発テロ、ブリュッセルの連続テロ以降、初めて行われるサミットでもあり、国際テロ情勢等が非常に厳しい中で行われることになります。また、これに加えまして、米国大統領がサミットに引き続いて初めて広島を訪問されるということになりまして、厳重かつ大規模な警備を、伊勢志摩と広島で重複・連続して実施することになったわけであります。現在のところ、伊勢志摩サミットには、全国から特別派遣部隊約15,000人を含む、最大時約23,000人体制で臨むこととしており、広島では特別派遣部隊約1,900人を含む、最大時約4,600人体制で警備に当たることとしております。この中には伊勢志摩での任務を終えて直ちに広島に転進し、大統領の御訪問の警備につくという部隊も含まれるところであります。さらに昨年から今年にかけてヨーロッパあるいはアジアで発生いたしましたテロ事件の状況に鑑み、行事開催地のみならず、東京、大阪を始めとする全国の大都市の主要駅、あるいは大規模集客施設等のソフトターゲットに対しましても警戒警備を徹底して、国民の安全を守る必要がございます。正に今回の警備は伊勢志摩、広島、そして全国のソフトターゲットと、いわば三正面の警備を同時に実施するという、今までの我が国でのサミットにはない厳しい警備となるわけでありますが、全国警察の力を結集してこれら全てを完遂する決意であります。
 先日、愛知、三重を回りまして、サミットの関連施設と警戒警備の状況を確認し、警備についている部隊員を激励してまいりました。それぞれの部隊員が士気高く任務についており、また、全国から結集した多くの部隊が三重県警察と一体となって警備に当たっているという状況を確認してまいりました。本番に向けて万全の体制が構築できるものという思いを強くしたところであります。
 残された日数はわずかではありますが、これからの数日間で、あるいはサミット期間中にも何が起こるか分からないのが警備であります。どのような事態が生じようとも、警察といたしましては、これに的確に対処し、各国首脳を始めとする関係者の安全、全ての行事の安全、そして全ての国民の安全を守り抜くべく、全力を尽くす所存であります。