国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年7月21日(木)11:35~11:40

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁からは、人事案件等について説明がありまして、原案どおりに決定をいたしました。その他、警察庁からの報告事項について、報告がいくつかございました。

問 長官にお尋ねします。上半期の懲戒処分の数の取りまとめが出たと思うのですけれども、長官の所感をお聞かせください。

答 (長官)本年上半期の全国の懲戒処分者数は、前年同期から11人減少いたしまして、121人となりました。平成25年以降減少傾向にあった業務上の事案が若干増加した一方、私行上の事案が減少し、全体として4年連続の減少となっております。
 これらの中には、重大な法律違反を含むものも多いところでありますが、この法令の遵守というのは、我々警察官にとって言わば魂と言ってもいいもので、どんな場合でも失ってはならないということは当然であると思います。
 今後とも、非違事案には厳正に対処するとともに、職員の規律と士気を高め、厳正かつ積極的な警察活動を展開することによって、国民の期待と信頼に応えてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。上半期の刑法犯認知・検挙状況がまとまったところですけれども、認知については、年間で戦後最少を記録した昨年より更に9パーセントくらい減っています。防犯等の活動の効果が出ているかなと思いますけれども、ただ、包括で見ると、例えば知能犯は増えております。それから検挙率は3割くらいでほぼ横ばいかなと思っていますし、まだまだかなと思っていますが、上半期の状況についての御所感をお願いします。

答 (長官)上半期の刑法犯認知件数は約48万9千件でありまして、昭和48年を抜いて戦後最少であった昨年を更に9.3パーセント下回っております。罪種別に見ましても、殺人、窃盗等が戦後最少となっておりまして、重要犯罪、重要窃盗犯といった悪性の強い犯罪が昨年をそれぞれ10パーセント以上下回るペースで推移をしております。一部に被害が増加している犯罪もありますが、全体としては官民一体となった幅広い犯罪抑止対策や、あるいは相談の段階で早期に被害の未然防止を図る警察の活動等が効果を上げているものと思われます。引き続き各種犯罪の抑止対策に努めてまいりたいと考えております。
 一方で、検挙の面でありますが、各県で捜査の科学化、捜査支援分析の強化、取調べ技術の向上等による検挙力の強化に努めているところであり、昨年、重要犯罪の検挙率が16年ぶりに7割を超したところでありますが、今年上半期は更に昨年を5.7ポイント上回りました。中でも、各年の上半期の検挙率をみると、強盗の検挙率が平成10年以降初めて80パーセントを超し、また強制わいせつの検挙率が平成12年以降最高となるなど、重要犯罪については徐々にその成果が表れつつあるのではないかと見ています。重要窃盗犯につきましては、すりの検挙率が平成12年以降最高となってはおりますけれども、全体としては1.0ポイント上昇の52.5パーセントというところでとどまっており、まだ決して十分なものとは言えないと考えております。
 今年の上半期については、サミット警備あるいは熊本地震対応の中心と なった各県警察では体制面の制約も若干あったところではありますけれども、重要犯罪、重要窃盗犯等の悪性の高い犯罪の検挙は国民の警察に対する信頼の基本をなすものでありますし、また、組織犯罪やプロの犯罪者の犯罪を止め、市民の安全を守るために不可欠なものであります。更に重要凶悪犯罪の未検挙があればそれは良好な治安に言わば風穴が空いたような状態となって、国民に大きな不安を与えることになります。更には凶悪犯罪の連続犯も発生しかねないということでありますので、引き続き全国で検挙力の強化に努めるとともに、先般の国会で成立いたしました刑事訴訟法等改正法により新たに導入されます捜査手法の活用に向けた準備にも遺漏なきを期して、検挙水準の一層の向上に取り組んでまいりたいと考えております。