国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年8月4日(木)11:25~11:34

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日、国家公安委員会委員長に就任して初めての定例会議を開催いたしました。国家公安委員会は、警察行政の政治的中立と民主的運営を確保するため、国民の良識を代表する方々が警察の管理を行う重要なものであると認識をしております。私といたしましても、委員の皆様方とともに我が国の治安の維持に取組んでまいりたいと思っております。
 本日の国家公安委員会定例会議の状況についてでございますが、警察庁から人事案件につきまして説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。本日の議事は以上でございまして、また、委員は全員が出席をしていただいたところでございます。

問 大臣にお尋ねします。「ポケモンGO」の配信サービスが始まって、全国で交通違反の取締りが急増しています。その他、事件にまで至らないまでも警察官が出動するような事態が発生しています。この問題について、大臣の所感をお願いします。

答 (大臣)ゲームそのものについては、私から申し上げることはありませんで、国民の皆さんが楽しんでいただくということが大切なのだろうと思います。しかし、「ポケモンGO」に限らず、車両を運転中に携帯電話を使用したり注視したりということは大変危険なことは言うまでもありませんで、携帯電話を注視して前を見ずに歩くなどということについても、交通事故のほか様々な危険やトラブルにつながってしまうということもありますので、十分注意をしていただくことが大事なのだろうと思います。このスマートフォンの使用というものにつきましては、危険な場所には立ち入らない、あるいは歩きスマホはしないなどの内閣サイバーセキュリティセンターから出された注意喚起がございますが、これを順守していただくというようなことを私からもお願いをしたいと思います。

問 長官にお伺いします。被害が深刻な特殊詐欺についてお伺いします。今年上半期の被害等のとりまとめが出ましたが、半期ベースでは2年連続で減少しておりますけれども、引き続き被害額が198億円余りと深刻な状況が続いています。現状の御認識と対策についてお考えを聞かせてください。

答 (長官)本年上半期の特殊詐欺の被害件数は6,443件、被害額は約198億円で、それぞれ対前年比で8.1パーセント、17.4パーセントの減少となっております。これは官民を挙げての抑止対策とともに、いわゆる犯行拠点急襲型捜査によって、正に稼働中の被疑者グループを多数摘発していること、また、現金の送付や手交の現場で被疑者を徹底検挙していることなどによるものと見ております。しかしながら、特殊詐欺の被害額は今や窃盗の現金被害額をはるかに上回っており、かつ、被害者の8割が65歳以上の高齢者の方々であります。高齢者の資産が標的になっている現状に変わりはございません。いまだ1日平均1億円以上の被害が続いている厳しい情勢であると認識しております。世界で最も高齢化が進んでいる我が国において、この犯罪の撲滅は警察にとって極めて重大な課題であると思っております。上半期においては、金融機関、宅配事業者、コンビニ等との連携による阻止件数が初めて既遂件数を上回りまして、阻止率が統計を取り始めた平成20年には12.4パーセントであったものが、上半期は50.9パーセントまで上昇してきております。被害件数の半分以上を水際で阻止しているということになるわけでございます。今後もこういった官民一体となった様々な抑止対策を一層強化するとともに、犯行グループを検挙の力をもって摘発・解体していく方針であります。特に検挙の面におきましては、先般の通常国会で成立いたしました改正通信傍受法によりまして、通信傍受の対象が拡大されて詐欺もその対象とされたところでありますので、これを十分に活用して犯行グループや犯罪組織の中枢の摘発を徹底することができるよう、12月頃に予定されております施行に向けて鋭意準備を進めたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。神奈川県相模原市の障害者施設で入所者19人の方が亡くなるという極めて残忍な事件が起きたところです。犯人の男を逮捕して捜査中ですけれども、警察は徹底した捜査を行うことは当たり前でしょうし、被害者の方々の支援ということも警察の仕事だと思います。再発防止への課題という部分も警察としてあろうかと思いますが、この事件についてのお考えをお願いします。

答 (長官)7月26日未明、相模原市の障害者支援施設におきまして、19人が亡くなり、26人の方が負傷するという重大な事件が発生いたしました。
 何の罪もない多くの方々が犠牲となった大変痛ましく残忍な事件であり、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族にはお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々には、心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 同日、神奈川県警察において、警察署に出頭してまいりました元職員の26歳の男を殺人未遂等の容疑で緊急逮捕するとともに、捜査本部を設置し、翌日、容疑を殺人に切り替えて検察庁に身柄送致をしているところであります。
 現在、被疑者の取調べと並行いたしまして、発生現場となりました施設の検証等の捜査に当たっており、事件の背景や犯行動機を含め、この凄惨な事件の全容解明に向け、鋭意捜査を推進しているところであります。
 同時に、100人規模の体制で被害者の方々の支援に当たっているという状況でございます。今後、捜査結果も踏まえつつ、厚生労働省等を中心とした福祉施設の安全確保等の今後の取組に対しましても、必要な協力をしてまいりたいと考えております。

問 大臣にお伺いします。今日初めての国家公安委員会だったと思いますが、どういった感想を一言二言、お願いします。

答 (大臣)昨日、国家公安委員会委員長を拝命いたしまして、この重責に身の引き締まる思いをしているところでございますが、初めての委員会に出させていただきまして、多岐にわたる御意見をそれぞれの委員の皆様から頂戴をいたしまして、また、報告を受ける中でこれらの事案についてしっかり受け止めて取り組んでいきたいという思いを強くしたところでございます。