国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年9月8日(木)11:30~11:37

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から平成28年上半期における薬物・銃器情勢等について報告がありました。以上でございます。

問 大臣にお尋ねします。上半期の薬物・銃器情勢がまとまりました。特に覚醒剤が上半期だけで780キロという大量の押収がありました。この問題についての所見をお願いします。

答 (大臣)薬物情勢につきまして、覚醒剤密輸入押収量が大幅に増加したほか、大麻事犯検挙人員が若年層を中心に増加するなど、依然として厳しい状況にあるものと認識をしております。
 また、銃器情勢につきましては、銃器発砲事件数が、山口組分裂による対立抗争の発生に伴い増加するなど、市民生活の安全に脅威を与えているものと認識をしております。
 このような情勢を踏まえまして、薬物対策については、末端乱用者の取締りや広報啓発活動、密輸事犯の摘発を推進するとともに、銃器対策につきましては、特に暴力団等からの拳銃の摘発を推進するよう、警察を指導してまいりたいと存じます。

問 大臣にお伺いします。上半期の少年非行情勢につきましての御所感をお伺いします。

答 (大臣)平成28年上半期の刑法犯少年の検挙人員は14年連続、同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員である人口比は12年連続で減少しており、戦後最少を記録更新いたしました昨年中を下回るペースで推移をしております。
 しかし、全体に占める割合は少ないものの大麻事犯の検挙人員の増加など、注意すべき状況もみられるほか、社会の耳目を集めるような少年による凶悪犯罪が発生していることから、引き続き少年非行防止活動に積極的に取り組んでいかなければならないと認識をしております。
 少年の健全な育成は、我が国の将来を明るいものとするために大変重要であることから、学校やボランティア等地域社会と連携をいたしました「非行少年を生まない社会づくり」を一層推進するよう、警察を指導してまいりたいと存じます。

問 長官にお伺いします。大分県別府警察署が、7月の参院選前に候補者の支援団体の敷地内にカメラを無断で設置した件で、警察は違法行為であって必要性・相当性がなく、不適正な捜査だったと言っていますが、警察庁として、そもそも捜査上、隠しカメラで撮影をするということは、どの程度もしくはどの範囲まで認められるとお考えでしょうか。

答 (長官)まず、今般の事案につきましては、建造物侵入に該当する違法行為である上に、撮影の必要性・相当性も認められない、大変不適正な捜査であったと、これは大分県警でも判断しておりまして、誠に遺憾だと考えております。
 お尋ねの捜査用カメラによります撮影の必要性、更には相当性につきましては、これは事件の重大性、更には嫌疑の程度など、個別具体的に判断すべきものと考えております。いずれにしましても、選挙違反取締りに当たりましては、申し上げるまでもなく選挙運動や政治活動の自由に十分配意した捜査を行うことが不可欠でありまして、この観点から適正な捜査を徹底するように、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

問 長官にお伺いします。インターネットバンキングの不正送金の被害、上半期中がまとまりました。全体では減っていまして、法人は大きく減っています。一方で個人の口座は増えているという状況にあります。対策が奏功している部分とまだ足りない部分があるかと思いますが、現在の状況、対策も含めて所感をお願いします。

答 (長官)平成28年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況は857件、被害額が約8億9,800万円であります。
 これは昨年の下半期と比較しまして、被害額につきましては信用金庫のウイルス対策の強化等によりまして大きく減少したものの、発生件数は増加しておりまして、依然として予断を許さない状況にあると認識しております
 警察におきましては、金融機関、ウイルス対策事業者、更には日本サイバー犯罪対策センター、いわゆるJC3等と連携しつつ、新たな不正送金ウイルスの発見と被害防止措置の実施、フィッシングサイトの早期把握と関係機関との情報共有等を実施しまして、一定の成果は上げたところだと思っております。
 引き続き、徹底的な取締りを推進しますとともに、JC3を含めた関係機関ですとか、更には外国捜査機関との連携強化を進めながら被害防止に取り組んでまいりたいと考えております。