国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年9月15日(木)11:11~11:19

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。私が会見を代理いたします。警察庁から人事案件について説明があり、原案どおりに決定いたしました。その他、報告事項について警察庁から報告がございました。以上です。

問 長官にお尋ねします。今年上半期の交通死亡事故の状況がまとまりました。事故の特徴についての所見と、今後の対策についてお考えをお願いします。

答 (長官)平成28年上半期の交通事故の死者数は1,827人であります。平成18年上半期と比較しますと、全年齢層では約4割、高齢者では約2割減少したものの、高齢者の人口当たりの死者数は全年齢層と比べて依然として高い水準で推移しております。また、状態別に見てみますと、平成21年上半期以来7年ぶりに自動車乗車中の死者が歩行中の死者を上回ったというところが特徴であります。
 併せまして、この機会に平成27年中の交通死亡事故の詳細分析を行いましたが、その結果、歩行者の横断中の死亡事故は車両直進中に多く発生し、夜間はその割合が高くなるということ、横断中の歩行者が左からの進行車両と衝突する事故が大変多く、特に、夜間は高齢者が事故に遭う場合が多いということが分かったところであります。
 このような特徴や分析結果を踏まえまして、今後、全席シートベルト着用等の法令遵守の徹底、前照灯の早めの点灯ですとか上向き点灯の励行、更には反射材用品等の活用推進、高齢歩行者の特性等を踏まえた安全教育等の普及促進といった対策を進めていくことが必要であると認識しております。
 9月21日から「秋の全国交通安全運動」が始まりますので、これらの対策を運動の取組重点として盛り込むとともに、関係機関・団体等と連携を強化し、総合的な交通事故防止対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 国民の皆様方にも、どうか交通ルールを守っていただくとともに、シートベルトの着用、前照灯の早めの点灯ですとか、ハイビームの活用、更には反射材用品の活用といったことをお願いしたいと思います。

問 長官に伺います。本日、児童虐待と児童ポルノに関する上半期情勢の報告がありました。どちらもですね、多くの項目で過去最多・過去最悪を更新する結果となりました。所感をお願いします。

答 (長官)まず児童虐待の関係でありますが、平成28年上半期におけます児童虐待につきましては、通告児童数が24,511人、児童虐待の事件の検挙件数は512件、検挙人員は528人、検挙事件に係る被害児童数は523人と、いずれも統計を取り始めて以降最多となっております。
 このように増加している要因としては、国民意識の高まりなどによりまして、児童虐待に関する通報が積極的になされることとなったことに加えまして、警察としましても児童虐待の早期発見に向けた取組を強化しているといったことなどが考えられると思います。
 今後とも、全国の児童相談所への現職の警察官やOBの配置、情報共有の一層の緊密化など、関係機関との十分な連携を図りまして、児童虐待の未然防止活動に努めるとともに、事案の早期発見と児童の安全確保を最優先とした対応を進めてまいりたいと思っております。
 次に児童ポルノ関係でありますが、この児童ポルノ事犯につきましても、送致件数が1,023件、送致人員が742人、被害児童数が781人と、これも統計を取り始めて以降最多となっております。
 このように増加している要因としましては、中高生を中心にいわゆる自画撮り被害、これが増加していることですとか、警察が取締りを積極的に推進していることが考えられると思います。
 警察では、悪質な事犯に対する取締りを強化するとともに、インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進、更には先ほども言いましたとおり、自画撮り被害等を防止するための広報啓発に取り組んでおりますが、特に国家公安委員会に、この児童の性的搾取等に係る対策の総合調整権が付与されたということも踏まえまして、今後とも、関係機関等と連携しながら、こういった取組を進めてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。取調べの録音・録画ですけれども、新しい試行の指針が本日定められまして通達が出されたと聞いておりますけれども、法律で制度の運用が3年後をめどに原則義務化というところに向けて、課題も機器の整備を始め対応があるかと思いますが、指針について、あと実施・取組についてお聞かせください。

答 (長官)御案内のように取調べの録音・録画制度を導入する刑事訴訟法等改正法が、今後3年以内に施行されることを踏まえまして、取調べの録音・録画の試行に係る新しい指針を策定いたしました。
 これまでの指針では、捜査上、更に立証上相当と認められる場面を選択し、必要と認める都度、録音・録画することとし、捜査に支障が生じるおそれがあると認められる場合等を除外するなどの内容になっておりました。今回の刑事訴訟法の改正を契機としまして、現段階から、なるべく法律に沿った形での録音・録画を実施して、制度の施行に備えていくために、制度の対象となります裁判員裁判対象事件の取調べにつきましては、原則その全場面の録音・録画を実施することとしまして、例外事由につきましても法律の規定に合わせた新たな指針を定めることとしたわけであります。
 警察におきましては、この新しい指針に基づきまして、取調べの録音・録画の試行に更に積極的に取り組むことにより、制度を適切に施行できるように準備を進めてまいりたいと考えております。