国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年12月22日(木)11:32~11:41

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案に対する意見の募集などについて説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上です。

問 大臣にお尋ねします。今年は、全国の警察で覚醒剤の大量押収が相次ぎました。取締りの成果が上がっているという見方もありますが、他方、大量の覚醒剤がまん延していると懸念されます。現状の認識と今後の対策について所見をお伺いします。

答 (大臣)覚醒剤につきましては、本年に入り、船舶利用の大量密輸入事犯の摘発により、押収量が大幅に増加しております。密輸活動の活発化が見られるところであると思います。引き続き、国内流通の更なる拡大が懸念されることから、水際対策が最重要であると認識しております。
 この9月、成田国際空港の水際対策に懸命に取り組んでいる皆さんの様子を拝見し、視察をしてきたところでございますが、今後とも、税関、海上保安庁等の国内機関及び外国捜査機関と連携して密輸入事犯に対する情報収集と取締りを強力に推進するよう、警察を指導していきたいと思います。

問 長官にお尋ねします。小金井市で女子大生が男に刺される事件がありました。事前の相談で、女子大生が殺されるかもしれないという切迫した相談をしていたと本人は話しています。一方で、担当した警察官の方は記憶にないということです。かなり乖離がありまして、この溝が埋められないままの検証結果となりました。この件について長官の所見をお伺いします。

答 (長官)本年5月、小金井市のライブハウスにおいて、タレント活動をしている女性が男性に刃物で刺される等して重傷を負った事案に関しまして、今月16日、警視庁において、相談対応の確認結果等を公表したものと承知しております。
 警視庁においては、本件について確認した結果、相談受理時に、被害者の思いを汲み取るに至らず、直ちに危険性があるとの認識には至らなかったものの、その内容から人身安全関連事案と判断すべき事案であったとしているところであります。
 また、本件を踏まえまして、事態対処チームへの情報の集約、事案の危険性・切迫性の的確な判断と組織的対応の強化等に取り組んでいるところと承知しております。
 この種事案の対応に当たっては、被害者からの相談等を踏まえ、その安全確保を最優先に対処することが重要と認識しております。
 警察庁におきましても、本年6月中に、人身安全関連事案への的確な対処に係る留意事項を示しているところであります。引き続き、この種事案に係る被害者の安全確保を最優先とした対処の基本を第一線に浸透させ、事案の認知の段階から迅速かつ的確な組織的対応がなされるよう、徹底してまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。島根県立大学の学生であった女性が御遺体で見つかった事件について、合同捜査本部が死亡の男を書類送検したところです。極めて残忍で社会に衝撃を与えた事件です。何年も経て被疑者と特定するに至った非常に大きな節目だと思います。一方で、もう少し早く特定できなかったのかというのもありますが、今回の事件の捜査について、所感をお願いします。

答 (長官)お尋ねの件につきましては、平成21年11月6日、所在不明となっていた当時19歳の島根県居住の女子大学生が、広島県内の山中で切断された死体となって発見された事件でありまして、島根県警察と広島県警察が合同捜査本部を設置し、捜査を進めていたところであります。
 捜査の結果、死体発見2日後に交通事故で死亡した当時33歳の男が被疑者であるとして、本年12月20日、殺人・死体損壊・死体遺棄罪で送致したものと承知しております。
 将来ある若者の命が奪われた残忍な事件であり、また、地域社会に与えた不安も大きい事件でありました。
 認知から約7年が経過したところでありますが、被疑者につながる直接的な証拠がなかなか得られない中、合同捜査本部においては、多くの市民の皆様に御協力を頂きつつ、様々な観点からの捜査を推進し、今般、被疑者の特定に至ったものと承知しております。
 あらためて、被害者の御冥福をお祈りしたいと思っております。

問 大臣にお伺いします。8月の御就任から4か月が経ちました。今年も残りわずかになりましたけれども、国家公安委員会委員長としてこれまでの御感想をお聞かせください。

答 (大臣)8月3日に拝命して以来、4か月半余りが経過したところでございますが、国家公安委員会委員長は、兼務する防災担当大臣とともに、国民の安全・安心、危機管理を担当するということから、常に緊張感を持って職務に取り組んできた、そんな4か月半余りでございました。
 就任まもなく、相模原の障害者施設における事件現場を視察しました。
 また、11月には、山口県の車座ふるさとトークで高齢者の特殊詐欺被害防止に地域一体となって取り組んでいる様子を拝見することができました。
 他方、高齢運転者や携帯電話使用等の運転による交通死亡事故も続くなどしてきたところでございまして、こうした被害を受けた御家族などの声を聞くと、犯罪・交通事故死ゼロを目指していきたいということを強く感じているところでございます。
 年末・年始を迎えますが、これは、時季にかかわらず同じことであり、引き続き緊張感を持って職務に当たっていきたいと思っております。
 また、年末は、様々な事件・事故も懸念されるところでございまして、全国の警察職員の皆さんは、年末・年始も関係なく奮闘されることと思いますが、国民の皆さまにおかれましては、防犯・交通事故防止に十分気をつけていただきたいと心から思うところでございます。