国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成29年2月2日(木)11:35~11:42

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、松本国家公安委員会委員長が欠席のため、私が会見を代理いたします。警察庁から、遺失物法施行規則の一部を改正する規則案等について説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がありました。以上です。

問 長官にお尋ねします。平成28年の特殊詐欺の認知・検挙状況がまとまりました。2年連続で被害総額は減少しましたが、被害額は406億円と、依然として高水準です。現状認識と、今後、実行犯の検挙や犯行ツールの摘発、それと未然の防止策等、今後の対策についてお聞かせください。

答 (長官)特殊詐欺の認知件数は平成22年以降増加傾向にありまして、平成28年も対前年比で2.4パーセント増加しまして、14,151件となりました。被害額につきましては15.7パーセント減少しまして、2年連続の減少となりましたが、先ほどありましたように406億円と高止まりでありまして、被害者の約8割が65歳以上の高齢者、しかも未だ1日平均1億円以上の被害が生じているという状況が続いておりまして、大変厳しい情勢であると認識しております。
 警察としましては、被害の防止と検挙の両面で取組を進めてまいりました。被害防止という面では、金融機関、宅配事業者、コンビニエンスストア等と協働しまして、声掛け等によりまして既遂件数とほぼ同数の事案を未然に防止するとともに、被害の増加が見られました還付金等詐欺につきましては、ATM振込限度額の設定ですとか、無人ATM対策等の取組を推進してまいりました。
 検挙面では、犯行拠点の摘発や、いわゆる「だまされた振り作戦」による現場検挙の徹底によりまして、多数の被疑者を検挙するとともに、犯行グループに拠点を提供する業者への取締りも推進してまいりました。また、関係機関と連携して、犯行使用電話の無力化も進めております。
 今後とも、犯行グループの壊滅に向けた取組、犯行使用電話の無力化に向けた取組、こういったものを推進するとともに、関係事業者等の御協力も得ながら、高齢者の被害防止のための施策を更に進めるなど、引き続き特殊詐欺の被害防止と検挙にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

問 長官にお尋ねします。GPS捜査について、捜査書類に記載しないことなどを警察庁が指示していたということが明らかになりましたが、これに関する所見をお願いします。

答 (長官)移動追跡装置を用いた捜査につきましては、平成18年に策定した運用要領におきまして、保秘の徹底に関する留意事項を規定しております。
 これは、犯罪を行おうとする者に移動追跡装置を用いた捜査の具体的手法を察知され、設置対象物の点検等といった対抗措置を講じられるおそれがあることから、そのような事項を規定しているものであります。
 なお、移動追跡装置を用いた捜査につきましては、これまで裁判所の各審級において様々な判断が示されておりまして、検証許可状を請求してこれを行うことも、立証の万全を期するための一つの方法であると考えております。
 いずれにしましても、運用要領の内容につきましては、今後、最高裁判所で審理されている事案の判決を踏まえるなどして、適切に検討してまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。長崎県で女性の方が殺される事件が起きたところです。元夫からのストーカーの被害相談を受けていたという経緯がありまして、今、ちょうどストーカー規制法の改正法が施行になっていることですし、この事件への警察の対応、それから改めましてストーカー事案への対応についてお願いします。

答 (長官)お尋ねの件につきましては、1月28日に長崎市において、28歳の女性が車両内で刃物で刺されて殺害されているのが発見された事案と承知しております。
 本件につきましては、長崎県諫早警察署におきまして、昨年11月、女性からストーカー被害に係る相談を受け、防犯指導を行うなど、継続的に対応していたという報告を受けているところでございます。
 今後、長崎県警察におきまして、現場付近で死亡していた女性の元夫との関連も含め、事案の全容解明を図るものと承知しております。
 お尋ねのとおり、昨年の12月にストーカー規制法が改正されまして、一部を除き、本年1月から施行されたところでありますが、警察においては、改正法を着実に施行するとともに、関係機関との連携を図りつつ、ストーカー事案への対応の更なる充実を図ってまいりたいと考えております。