国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成29年3月16日(木)12:06~12:13

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日は、松本国家公安委員会委員長が欠席のため、私が会見を代理いたします。国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から説明がありました、ストーカー規制法施行規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について決定するなどいたしました。この他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上です。

問 長官にお尋ねします。平成28年の暴力団、薬物・銃器の情勢がまとまりました。今回から、こういった各項目を横断的に組織犯罪情勢として取りまとめることになりました。その意義についてまず一つと、このうち暴力団の構成員が昭和33年の統計開始以降、初めて2万人を切るといった成果があったと思います。この2点についてお願いします。

答 (長官)御指摘のとおり、今回発表しました「平成28年における組織犯罪の情勢」は、これまで暴力団対策、薬物銃器対策、来日外国人犯罪対策それぞれの分野で個別に発表したものを統合したものでございます。
 その狙いは、組織犯罪対策部門全体における横断的な分析を行いまして、これに基づく対策の方向性を打ち出すことで、組織犯罪対策を戦略的に進めていこうというところにあるわけであります。
 御指摘の暴力団構成員が初めて2万人を下回ったことにつきましては、様々な要因が考えられますが、暴力団排除活動を始めとする暴力団対策や事件検挙が功を奏し、資金獲得活動が難しくなっていることも一つの大きな要因と考えております。
 他方で、今回の分析で明らかになったとおり、暴力団を離脱した者の犯罪性向は、一般国民よりもはるかに高く、また経済的側面での犯罪性向が高くなっていると認められます。
 そのため、今後は、従来から推進している暴力団の弱体化、壊滅に向けた取組に加えまして、暴力団を離脱した者に対する、就労支援等の社会復帰対策も一層重要であると認識しております。

問 長官にお尋ねします。国内で押収された覚醒剤が、1,400kgを超えました。国内でのまん延ですとか、暴力団の関与ということが懸念されますけれども、現状の受け止めと、今後の取組についてお聞かせください。

答 (長官)昨年中の覚醒剤の押収量は、近年では突出しておりまして、とりわけ密輸入押収量の増加は看過し難いレベルにあります。
 国内への覚醒剤の更なる流入や乱用の拡大のほか、暴力団による覚醒剤取引への回帰が懸念されるところでありまして、覚醒剤取引による暴力団の資金獲得を強力に阻止する必要があると認識しております。
 引き続き、国内外の関係機関と連携しながら、密輸密売組織の壊滅に向けた取締りや水際対策を強力に推進するとともに、末端乱用者の取締り、乱用防止に向けた広報啓発活動を鋭意進めてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。GPS装置を使った捜査の関係です。昨日、最高裁の判決・判断が出まして、違法であるという判断が出たところです。さらには、法整備、法制が望ましいという指摘もあるところでした。警察庁では車への取り付けを控える指示を出したということですけれども、今回の最高裁の判決への受止め、それを含めてどういうふうに対応されるか、加えてですね、実質使わないようにしたわけですけれども、それによって特に組織犯罪への対応、影響はどうあるのか、お考えも含めてお聞かせください。

答 (長官)お尋ねの件につきましては、御案内のように3月15日、昨日、最高裁判所大法廷において、車両に使用者らの承諾なく密かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する、いわゆるGPS捜査につきましては強制処分に該当し、立法的な措置が講じられることが望ましい旨の判決がなされたということであります。
 これを受けまして、警察庁におきましては、同日付で各都道府県警察に対しまして通達を発出しまして、検証として行うものも含め、移動追跡装置を用いて車両の位置情報を取得する捜査を控えるように指示したところであります。
 いずれにしましても今後の対応につきましては、本判決の内容を精査の上、関係省庁とも必要な連携を図りながら、適切に対応を検討してまいりたいと考えております。
 今回の判決では、このGPS捜査につきましては、強制処分に該当し、なおかつ立法措置が望ましいという判決がございましたので、当然、その捜査は実施しないということになります。私共としては、これまでも取り組んできたいろいろな手法を駆使しながら、そういった各種事案については、的確に対応していくことになろうかと思っております。