国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成29年9月14日(木)11:46~11:51

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から、平成29年上半期における交通死亡事故の特徴などについて報告がございました。以上です。

問 大臣にお尋ねします。上半期の交通死亡事故の特徴がまとまりました。この特徴に関する受け止めと、警察の取組について教えてください。

答 (大臣)平成29年上半期の交通事故死者数は1,675人で、昨年上半期と比較して1割近く減少しており、発生件数や負傷者も減少いたしました。
 人口当たりの死者数は、高齢者を含めて減少傾向にあるものの、死者数全体のうちの高齢者の占める割合は54.4%で高い水準にあります。
 さらに、近年の死亡事故を分析したところ、若者や高齢の方が運転する車に同乗した同世代の方が、シートベルト非着用により亡くなる場合が多いこと、チャイルドシートを使用せずに、抱っこや大人用シートベルト着用で乗車していても、重大事故につながる場合が多いこと、死亡事故は午後5時台から7時台に最も多く発生し、年末に向けて大幅に増加すること、夜間の自動車と歩行者による死亡事故は、ハイビームを使用していれば防止できた可能性が高いものが一定数あることなどが新たに分かりました。
 今回の分析結果を踏まえ、運転者と親しい間柄同士で乗車する場合であっても、シートベルト着用の徹底、安全基準を満たしたチャイルドシートの適正な使用、ライトの早めの点灯やハイビームの適切な活用、反射材用品等の着用などの指導や広報啓発活動を着実に推進するよう、警察を指導してまいります。

問 長官にお尋ねします。3月に改正道交法が施行されまして、高齢運転者対策が柱になっていますけれども、施行から半年が経ったところです。高齢運転者対策は社会の大きな関心事でありますが、今後、警察としての高齢運転対策に対する取組についてお願いします。

答 (長官)本年7月末現在で、75歳以上の運転者による交通死亡事故の件数は219件となっておりまして、昨年同時期と比較して38件下回るなど、過去10年間で最少となっております。
 また、本年7月末時点の暫定値でありますけれども、75歳以上の免許証の自主返納件数は、14万3,261件となっており、昨年一年間の16万2,341件を上回る勢いとなっております。
 改正道路交通法の施行からまだ間がなく、その直接の効果が現れてくるのはこれからだと考えられますが、その副次的効果として、社会全体で交通事故防止に向けた気運が高まったことが、高齢運転者による死亡事故件数が減少した要因になっているものと考えられます。
 改正道路交通法は、これまでのところ、適切に運用されていると承知しておりますが、今後、高齢の運転免許保有者の一層の増加が見込まれますことから、高齢運転者の交通事故防止対策は依然として喫緊の課題であると認識しております。
 警察としましては、引き続き、改正法の円滑な施行に努めるとともに、高齢運転者による交通事故防止対策の更なる充実に向け、総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。9月12日に神戸市内で、この春に神戸山口組から分裂して新たな組織を立ち上げた、任侠山口組の関係者が射殺される事件がありまして、警察庁はこの日のうちに全国の警察本部に対して、取締りや情報収集の強化などを求める通達を出されていますけれども、この事件に対する所見と、今後の警察の取組について教えてください。

答 (長官)お尋ねの事件につきましては、兵庫県警察において、被疑者の早期検挙及び全容解明に向けて鋭意捜査を推進しているところであります。現時点で被疑者は不明でありますが、本件の発生によりまして、神戸山口組の内部対立の激化等が懸念されるところであります。
 このような情勢を受けまして、警察庁としましては、発生当日であります9月12日に、全国警察に対しまして、市民の安全確保のための警戒の強化、組員の大量検挙、長期隔離による組織の弱体化等の指示を行ったところであります。
 今後とも、内部対立の激化等につながらないよう、全国警察を挙げた取締り等によりまして万全を期する方針であります。