定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成15年12月4日(木)
午前10時~午後12時10分
第2 出席者 小野委員長、渡邊、荻野、安崎、川口、大森各委員
長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長
第3 議事の概要
1 議題事項
(1)監察の取扱い事案について
警察庁から、「警視庁の警部が、平成12年4月ころから平成14年7月ころまでの間、会社役員から合計約998万円の供与を受け、収賄で逮捕された事案に関し、同庁は、国家公安委員会の了承が得られれば、平成15年12月5日、監督責任として、元上司である警視正の署長を警視総監訓戒の措置にする予定である。また、福島県警察の事務吏員が、平成14年9月、拾得届出された現金10万円を横領し、業務上横領で逮捕された事案に関し、同県警察は、平成15年12月5日、同事務吏員を懲戒免職の処分にするとともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として、警視正の署長を本部長訓戒の措置にする予定である。」旨の説明がなされ、原案どおり了承した。
委員より、「警視庁警部に係る事件の報道に接し、非常に残念であったとともに、これにより少し回復しかかった警察に対する国民の信頼がまた少し後退したという感想を持った。もう二度とこのような事案があって欲しくないと思う。」旨、発言があった。
委員より、警視庁警部に係る事件に関し、「一人の警部がこれだけ多岐にわたり関係職員多数の非違事件を起こしたことに驚くとともに、このような事件が、まさに警察不祥事の続発を受け警察刷新会議が設置され警察改革が唱えられて、全警察が一致して綱紀粛正に取り組んでいた時期に行われていたことに大変な衝撃を受けた。その処分については了承するが、ただ、その驚きと衝撃だけは是非申し上げておきたい。」旨、発言があった。
(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を原案どおり了承した。
2 報告事項
(1)青少年育成施策大綱(案)について
警察庁から、「内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする『青少年育成推進本部』において、12月9日、青少年育成に関する政府としての基本理念と中長期的な施策の方向性を示す『青少年育成施策大綱』が決定される見込みである。」旨の報告がなされた。
委員より、「書店やコンビニエンスストアでの万引き等の軽微な事案で、場合によっては警察に通報されないような少年の非行事件も多いと思われる。このような非行の初期段階で本人を厳しく反省させて非行が更に進まないようにすることが必要である。家庭や学校、地域社会、被害に遭った店等、社会全体で少年の非行を、この初期の段階で防止するような取組が広義の少年非行対策として望まれる。」旨、発言があり、警察庁より、「今回この大綱案が策定されるにあたり、御指摘のような被害金額の少ない軽微な少年事件の処理の在り方についても議論がなされたが、少年非行の問題については、大綱案にもあるように『少年の健全な育成に資する観点から』どのように処理するのが最もよいのかをよく考えるべきであり、この精神に基づき今後とも対応してまいりたい。」旨、説明した。
委員より、「この大綱案の『特定の状況にある青少年に関する施策の基本的方向』の中で、『非行少年の家族への働きかけ』として『保護者の再教育(相談、指導など)のための取組を強化する』とあるが、具体的にはどういうことが考えられるのか。また、警察独自にできることはあるのか。」旨、質問があり、警察庁より、「家庭裁判所の少年審判に付されることになった犯罪少年等の保護者に対しては、家庭裁判所調査官が面接を行い、その際に指導やアドバイスを行うことはなされている。これに対し、深夜徘徊等での補導にとどまる少年の保護者に対しては、現場の警察官が個別の事案ごとに地道に指導等を行っているのが現状である。しかし、少年の非行の原因が家庭あるいはその親にある場合が多いことを踏まえると、御指摘のような保護者に対する取組についても真剣に考えていかなければならないと思われる。」旨、説明した。
委員長より、「学校では校長がPTAを集めて話をする機会が持たれており、これは、保護者の教育に非常に有益なものと思われるが、従来、平日昼間に行われていることから父親が参加することは困難な状況である。そこで、諸外国のように平日夜間あるいは休日に開催し両親が共に参加できるようにすること等、身近なところから始めていくことも大切ではないかと思われる。」旨、発言があった。
(2)最近の覚せい剤密輸事犯について
警察庁から、最近の覚せい剤密輸事犯の特徴と今後の対策について報告がなされた。
委員より、「コントロールド・デリバリーについて日本国内で行われる場合には実効性があると思われるが、国際関係に依存する場合が気になる。例えば、中国の空港で、中国から日本に覚せい剤を持ち込もうとしていた日本人等が中国当局に逮捕された場合、その犯人は日本の法益を害しようとしていたわけであるから、日本に引き渡されることになるのか。」旨、質問があり、警察庁より、「そのような場合、犯人は中国国内の法律に違反しているという事実で逮捕されており、逮捕後は、中国の法律に基づき、同国の司法機関において処罰されることになる。」旨、説明した。
委員より、「中国当局が同国内で日本に薬物を持ち込もうしていた『運び屋』を検挙したような場合、日本国内の依頼主等の捜査に資する情報も日本側に通報してくれるのか。」旨、質問があり、警察庁より、「中国当局でそのような情報を把握していれば、通報していただいているものと考えている。」旨、説明した。
委員より、「日本人ではなく、中国人が日本に薬物を持ち込もうとしていた事案の検挙について、中国当局から日本に通報がなされたことはあるのか。そこまで両国の捜査協力が進むとよいと思われる。」旨、質問等があり、警察庁より、「これまで日本に通報のあった事案はすべて日本人に係るものである。御指摘のような事案の有無は確認できていないが、日本に薬物を持ち込もうとしていた事案があれば、犯人の国籍のいかんを問わず、通報いただけるという関係が望ましい姿である。もっとも、日本の警察と中国の公安部等との交流が進展する中で、薬物犯罪の分野における互いの情報交換等も非常に進んできている。」旨、説明した。
(3)消費者金融会社代表取締役会長らによる電気通信事業法違反事件について(警視庁)
警察庁から、「警視庁は、被害者方の電話回線に盗聴器を仕掛け、平成12年12月頃から13年2月頃までの間、被害者が他人と通話した内容を盗聴録音した消費者金融会社代表取締役会長を、12月2日、電気通信事業法違反で逮捕した。」旨の報告がなされた。
(4)指定暴力団工藤會に対する集中取締り状況について(福岡県警察)
警察庁から、本年8月の工藤會組員による飲食店への爆発物投てき事件を受けた、福岡県警察における指定暴力団工藤會に対する集中取締り状況について報告がなされた。
委員より、「これだけ凶悪な事件を敢行している工藤會を、これを機に組織それ自体を壊滅するということはできないのか。」旨、質問があり、警察庁より、「暴力団対策法上、指定暴力団として指定はしているが、同法は組織それ自体を法的に認めないという形にはなっていない。警察としては、徹底した取締りと暴力団対策法の効果的運用、さらには暴力団排除活動の推進により、工藤會を社会的に孤立させるとともに、その資金源を絶つことにより、実質的に暴力団の組織としての実態を失わせるための努力を現在しているところである。」旨、説明した。
(5)捜査用似顔絵の活用について
警察庁から、過去4年間における全国の似顔絵作成事件数の推移や似顔絵による検挙状況等、捜査用似顔絵の活用について報告がなされた。
委員長より、「似顔絵の作成技術者については、警察官に採用してから指導するのか、それとも、そういう能力のある者を採用しているのか。」旨、質問があり、警察庁より、「その養成については、システム化されているわけではなく、都道府県警察ごとに様々であるが、採用時教養において似顔絵講習会を開催するなどして、作成技術者の育成やその底辺の拡大、素質のある者の発掘に努めているところである。」旨、説明した。
(6)第10回高度道路交通システム(ITS)世界会議の開催結果について
警察庁から、11月17日から20日までの間、スペインのマドリッドで開催された、第10回ITS世界会議の開催結果について報告がなされた。
委員より、「ITS世界会議について、出席者の構成、事務局及び課題の決め方等はどうなっているのか。」旨、質問があり、警察庁より、「この会議は、ITSに関する世界規模での情報交換と協力体制の構築を目的として平成6年以降毎年、欧州地域、アジア・太平洋地域及びアメリカ地域の持ち回りで開催されており、事務局はその開催地の国が受け持つことになる。また、同会議には産官学の三者が多数出席しており、毎年の課題は参加する各国が提案することになっている。」旨、説明した。
委員より、「道路通行料金の収受について、現在日本が採用しているETC方式と、欧州が推奨するガリレオ衛星を利用したシステムとを比べると、どちらが優れているのか。」旨、質問があり、警察庁より、「欧州のガリレオ衛星を利用したシステムについては現在実証実験中であり、その精度等を確認している段階にある。」旨、説明した。
(7)「治安の回顧と展望」について
警察庁から、国際テロ情勢と警察の対応、北朝鮮による対日有害活動等を盛り込んだ、平成15年版の「治安の回顧と展望」について報告がなされた。
3 その他
(1)警察庁から、11月29日にイラクにおいて日本大使館員2名が殺害された事件に関し、「日本の外交官を狙った犯行かどうかは分かっていないが、単なる物取りではなく、テロの可能性が高いとの見方が強い。また、12月4日午後、成田空港にご遺体が到着した後、警視庁により検視が行われ、同月5日、司法解剖が行われる予定である。」旨の報告がなされた。
(2)委員より、「国際テロ情勢が厳しさを増す時節柄、日本での爆弾テロの発生を懸念している。火薬や爆発物等が米軍基地や自衛隊、あるいは民間の火薬工場や鉱山の発破現場等から盗まれたような場合、警察には、どの位の時間差でそのことが通報されることになっているのか。」旨、質問があり、警察庁より、「これまでにも警察からは、サミット等の様々な局面で、関係業界や経済産業省等に対し、あるいはそれらを通じて、火薬類の保管管理の徹底と遺失・盗難があった場合の警察への迅速な通報をお願いしているところであり、最近ではほとんど常時このような依頼をしている状況にある。」、「火薬類取締法では、火薬類を取り扱う者は、その所有する火薬類等を喪失し、又は盗取されたとき等は遅滞なくその旨を警察官等に届けなければならないこととされており、その違反者は20万円以下の罰金に処せられる。」旨、説明した。
(3)委員より、「最近、パトカーに追跡されて逃走中の車が事故を起こすという事案が続発している。逃走中の車が起こす事故については防止することは困難であるとしても、追跡しているパトカーが他の車と衝突するなどして第三者に被害を生じさせるという形態の事故については、逃走中の車両が起こす事故とは評価を異にすべき点があると思われる。したがって、パトカーが原因となる事故については、何としても避けるように配慮するよう、現場に何らかの方法で徹底させていただきたい。」旨、発言があり、警察庁より、「委員御指摘の点を踏まえ、そのような事故が起こることがないよう、よく注意してまいりたい。」旨、説明した。
(4)委員長より、「先日、警察官が酒気帯び運転の上、事故を起こすという事案の報告があったが、これから忘年会等が多くなる時期、警察は飲酒運転等を取り締まる立場になるわけであるから、そのような事案が絶対に起こらないよう、警察署の交番員に至るまで基本事項の確認を徹底していただきたい。」旨、発言があり、警察庁より、「時期的な点も考慮し、全国に通達等を発出するなどして、今一度注意喚起を促したい。」旨、説明した。