定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成16年12月2日(木)
午前10時~午後0時
第2 出席者 渡邊、荻野、安崎、川口、大森各委員
長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、情報通信局長
総括審議官、長官官房審議官(警備局担当)
第3 議事の概要
渡邊委員より、会議の冒頭、「本日で最後の国家公安委員会定例会議となる。国家公安委員会委員長及び委員の皆様方並びに警察庁長官以下各局長等には5年間大変御世話になり、感謝申し上げたい。今後とも、警察の発展を御祈念させていただきたい。」旨、12月6日付けで国家公安委員会委員を退任するに当たり挨拶があった。
1 議題事項
(1)双愛会の指定の確認について
刑事局長から、「双愛会に関する指定暴力団としての確認請求について、暴力団対策法第6条に基づく確認をし、千葉県公安委員会に通知することとしたい。」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。
(2)道路交通法施行令の一部を改正する政令案等について
交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う、放置違反金の額、車両の使用制限命令の基準等を定めることなどを内容とする同法施行令の一部を改正する政令案、放置車両を確認した際に取り付ける標章の様式を定めることなどを内容とする同法施行規則の一部を改正する内閣府令案等について説明がなされ、原案どおり決定した。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
(4)国家公安委員会委員長を代理する者の指定に係る互選について
現在、「委員長を代理する者」の職にある渡邊委員が12月6日に任期を終えることから、委員相互で互選を行い、12月3日以降の「委員長を代理する者」として荻野委員を互選した。
2 報告事項
(1)日フィリピン経済連携協定の大筋合意について
官房長から、「11月29日の日比首脳会談において、日フィリピン経済連携協定の主要点について大筋合意に達したことが確認された。」旨等の報告がなされた。
(2)国会の状況について
官房長から、11月30日の参議院内閣委員会において犯罪被害者等基本法案が質疑・採決されたことなど、11月25日から12月1日までの国会の概要、今後の予定及び当庁に対する主な質疑事項について報告がなされた。
(3)予算執行検討委員会の開催状況について
官房長から、静岡県警察が11月29日の本部長記者会見において報告した「旅費、食糧費及び捜査費執行状況の調査結果報告書」について報告がなされた。
また、「市民オンブズマンのメンバーが、10月4日の京都府警察の府議会での報告に関する報道を受け、11月19日、京都府監査委員に対し、平成15年度の府警における旅費の執行に関する住民監査請求を行った。」旨の報告がなされた。
さらに、会計経理をめぐる事案に関し、北海道警察及び福岡県警察における今後の返還金処理計画、監察の指示に対する公安委員会報告の予定、12月3日予定の北海道監査委員の監査結果報告への道警の対応等について報告がなされた。
大森委員より、「先日の全国公安委員会連絡会議の席上で、北海道公安委員会委員の方から、道公安委員会の総意なのか委員個人の見解なのかは分からないが、今回の北海道警における不適正経理問題に関して、公安委員としての責任をどのように果たすのかということに関する御発言がなされた。この点については、北海道だけではなくて、福岡県や静岡県等都道府県公安委員会にも共通する問題点を孕んでいることから、我々国家公安委員会としてもどうあるべきかをよく検討すべきであると考えている。本件については、警察庁、北海道警察本部及び福岡県警察本部における対応も考慮し、慎重に取り扱うべき問題であり、関係者がそれぞれの立場でよく考え、決して直ぐに結論を出してしまうことのないようにした方がよいのではないかと思う。」旨、発言があった。
荻野委員より、大森委員の発言に関連して、「北海道公安委員会委員の御発言の中であったように、給与の一部返還という形で責任を取るということになると、それは北海道だけに止まらず、他県にも広がり、様々な形で影響するところが大きいと思う。私としては、もし責任を取るというのであれば、都道府県公安委員会が都道府県警察への管理機能をさらに徹底するという形での責任の取り方というものが当然にあるわけであり、そこに重点を置く方がよいのではないかと思う。」旨、発言があった。
長官より、これに対し、「北海道公安委員会委員の御発言に関しては、委員御指摘のように全体に波及する可能性のある問題であることから、警察庁でも法的な問題も含めて様々な角度から現在検討しているところである。」旨、説明した。
(4)通信カラオケ楽曲データ不正配信に係る電子計算機損壊等業務妨害・著作権法違反事件の検挙について
生活安全局長から、「愛知県警察・警視庁・三重県警察合同捜査本部は、12月1日までに、コンピュータのプログラムを改ざんして通信カラオケ用楽曲データを不正に入手し、配信していた事件に関し、被疑者3名を電子計算機損壊等業務妨害及び著作権法違反(複製物の頒布)で逮捕した。」旨の報告がなされた。
(5)金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案について
刑事局長から、衆議院内閣委員長から本国会に提案された、預貯金通帳等の有償による譲受け等を処罰する「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案」の内容等について報告がなされた。
(6)前北海道石狩支庁長らによる社会福祉法人に対する指導監督等をめぐる贈収賄事件について(北海道警察)
刑事局長から、「北海道警察は、11月26日、指定介護老人福祉施設の指導・監督等に関し、前社会福祉法人理事長から現金百数十万円の賄賂を収受した前北海道石狩支庁長(現札幌医科大学事務局長)を収賄罪で、同理事長を贈賄罪でそれぞれ逮捕した。」旨の報告がなされた。
(7)殺人・死体遺棄事件被疑者に係る「日韓犯罪人引渡条約」に基づく身柄引渡し及び逮捕について
刑事局長から、「警視庁が本年4月に認知した殺人・死体遺棄事件に関し、『日韓犯罪人引渡条約』に基づき、6月に外務省を通じ韓国に被疑者の引渡しを請求していたところ、韓国において引渡しを許可する旨の決定が行われたことから、11月26日、韓国から同人の身柄の引渡しを受け、殺人・死体遺棄両罪で逮捕し、我が国に移送した。」旨の報告がなされた。
(8)「治安の回顧と展望」について
官房審議官(警備局担当)から、国際テロ情勢、北朝鮮による対日有害活動やオウム真理教等の動向及び警察の対応等を記述した「治安の回顧と展望」(平成16年版)について報告がなされた。
3 その他
(1)荻野委員より、奈良市内における女子児童被害の誘拐・殺人事件に関し、「依然として報道は過熱しているようであるが、なんとか早く結果を出していただきたいということを重ねて申し上げたい。」旨、また、「本件については事実関係の細かなことが毎日のようにマスコミを通じて出てきているが、それにより捜査がやりにくくなっている面はないのか。」旨、発言があり、刑事局長より、「具体的な捜査の状況を申し上げるわけにはいかないが、奈良県警においては現在、犯人の早期検挙に向け、必要な捜査を一生懸命行っているものと承知している。」旨、「現場においては、個々の報道に対して一々反論等はしてないものの、そのような面もあるものと思われる。また、捜査への支障とは別に、被害者の立場にもう少し配慮が欲しいと思われるものもある。」旨、それぞれ説明した。
(2)渡邊委員より、「最後の定例会議ということで少し考えていたことをお話したい。私が国家公安委員会委員に就任したのは、平成11年12月7日であるが、就任した当時は、執務室等もなく、率直に言って実質的な仕事はしなくてもいいという雰囲気さえ感じた。そもそも警察法が考えている国家公安委員会の役割としては、政治的中立性の確保と民主的管理の2つがあるところ、政治的中立性については厳正に機能してきたが、民主的管理については、世界に冠たる警察ということで警察の自律性に対する信頼感が前提となっていたと思う。しかしその間に制度疲労を起こし、それと警察組織の閉鎖性・独善性とが相まって一連の不祥事が累発したのだと思う。就任当時は、神奈川県警の累次の事案が問題となっており、その後も埼玉県警の桶川事件や新潟県警のいわゆる雪見酒事案が続発し、その取扱いをめぐり当時の警察庁長官の懲戒処分にまで至った。こうした状況下、警察刷新会議が発足し、警察刷新に関する緊急提言が行われ、それを受けて一連の警察改革が実施されてきているのは御承知のとおりである。
諸般の改革が実施されると同時に、当時の警察庁幹部の強い働き掛けもあり、治安の回復、警察力強化のため、地方警察官の大幅増員が推進されることとなったのは、特筆されるべきだと考える。
公安委員会に関しても、就任当初の定例会議は、警察庁からの報告に対する発言等も特定の委員に片寄りがちであったが、最近では各委員から活発に発言がなされており、会議の状況は様変わりしている。なお、新庁舎に移転する際、我々委員の執務室もでき、仕事をする環境も整えられた。さらには、当時は委員だけが集まって意見交換をすることはなかったが、現在は、定例会議前に委員だけの意見交換をしているほか、昼食を伴う意見交換や夕刻集まっての勉強会を、それぞれ定期的に行っているところである。このように、国家公安委員会の活性化という面でも成果があったと思う。
なお、実績として記憶に残っているのは、暴走族対策が国家公安委員会の議論を通じて本格化したことと、また、これは荻野委員の功績だと思うが警察官等けん銃使用及び取扱い規範が改正されたことである。
それから、国家公安委員会と都道府県公安委員会との連絡体制に関しては、全国公安委員会連絡会議や管区内公安委員会連絡会議があるが、就任当初は非常に形式的なものであったが、最近では実質的で活発な議論がなされるようになってきている。
また、これも就任時にはなかったことだが、国家公安委員会委員が年に2回、都道府県を訪問し、そこの公安委員の方と懇談している。その際、様々な相談を受けることも多く、それについて後日、他の委員の方々と話し合ったり、定例会議に報告するなどしている。また、我々委員としても、警察行政の執行主体は都道府県警察であり、実際に行われている警察活動について見聞を広げることは非常に有益なことである。最近の例を一つ挙げると、先日、地方出張の際、ある県の公安委員の方から、県警内の内部告発の受け手として県公安委員会が機能することの是非について相談を受けた。その場で即答することなく、持ち帰り、後日、他の委員の方とも相談をし、当該県の公安委員の方に御意見を申し上げたところである。このように、我々国家公安委員会委員が、都道府県公安委員会の委員の方々の相談相手となり、日頃考えていること等について意見等のやり取りを行うこともまた国家公安委員会と都道府県公安委員会との連携として重要なことではないかと思う。
最後に、今後の日本の治安を考える上でさらに力点を置いていただきたい点について申し上げたい。まず一つは、暴力団の問題である。従来の暴力団対策は、暴力団を壊滅すると言いながらも、麻薬や銃器、あるいは対立抗争等の現象面の抑制に重点が置かれていたように感じる。しかし、先般、暴力団組長の使用者責任を肯定する最高裁判決も出たこともあり、ぜひとも組織面に打撃を与える対策を強化していただきたい。2つ目は、右翼の問題、特に街宣車の問題である。私は国際的な仕事が長かったが、あのように街宣車が大音量で街の中を走り回るということを容認している国は日本以外にはない。いろいろ難しい問題もあるようだが、将来的には街宣車規制の問題も考えていただきたい。3つ目は、外国人犯罪の問題である。私が理解するところ、外国人犯罪というのは、その凶悪性と組織性とが問題なのであり、日本に滞在する外国人数に占める外国人犯罪の率は必ずしも高くない。また、外国人犯罪者の中身を見ると、入国管理法違反等の特別法犯が多い。したがって、川口委員も提起されていたが、外国人犯罪の問題は深刻であるけれども、それを過度に強調するのは今後の日本の在り方としてはいかがなものかと思う。日本経済という観点から見ると、今後、外国人の技術者と共に単純労働者も相当程度受け入れていかなくてはならないだろうし、日本はその人達との共生を真剣に考えなくていけない段階に来ていると思われる。治安という観点からは、外国人犯罪の問題は深刻だが、そうしたより実質的な面もあることを忘れてはいけないと思う。なお、少し理屈っぽくなるが、日本が良い国だと言う場合、日本人にとって良い国だという意味だけでなく、外国人が住んでも良い国だという意味もあると思う。フランスの例を見ても、ロシア人のシャガール、スペイン人のピカソ等、良い外国人、優秀な外国人が多く住んでおり、その人達もその国に貢献しているという国がおそらく本当に良い国ではないかと思う。国と国土と国民というものをもう一度考え直し、そこで外国人をどのように位置付けるのかということが日本の将来にとって重要ではないかと思う。最後は、大量退職・大量採用時代の問題である。この問題に関し、3年前、国家公安委員会委員であったある方が次のような指摘をされている。すなわち、大量退職時代に今から備えておかないと、大量退職者分をその1年で補充しようとすれば、警察官の質の低下は必至であり、そうした質の低下は国民の損失でもある。また、増員は新卒ばかりでなく、中途採用を相当数入れて、組織の人員構成に十分配慮すべきではないかと。私もこの件に関し、先日この会議の場で申し上げたが、警察官の質の維持という観点から言うと、女性の採用ということと、自衛隊員の中途採用が一つの案として考えられるのではないかと考えている。」旨、発言があった。