定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成16年1月29日(木)

午前10時30分午後1時25分

第2 出席者 小野委員長、渡邊、荻野、安崎、川口、大森各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長          

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)警察法の一部を改正する法律案について

警察庁から、国の治安責任の明確化を図るため、国家公安委員会の所掌事務に関する規定の整備を行うとともに、警察運営の効率化を図るため、警察庁の組織に関する規定等の整備を行うことを内容とする警察法の一部を改正する法律案について説明し、決裁を受けた。

委員より、「今回の警察法の改正に伴い、国の治安責任の明確化が図られるとともに、2つの部が新設されることは今後の警察行政にとって大変意味のあることであると思う。これが本当に成果を上げるかどうかはその運用にかかっているものと思われる。また、今後も警察を取り巻く内外情勢はかなりの変化が予想されることから、常に見直しということを念頭に置いた組織の運用をお願いしたい。」旨、発言があり、警察庁より、「運用次第であるというのは、委員御指摘のとおりである。また、今後は、サイバー犯罪、国際協力、国際捜査共助等の問題にも対処できるよう、国民世論の動向を踏まえつつ、あるべき警察制度について検討してまいりたい。」旨、説明した。

(2)北海道公安委員会の犯罪被害者等給付金裁定に対する審査請求事案の審理状況報告及び裁決について

警察庁から、北海道公安委員会が行った犯罪被害者等給付金の裁定を不服として、7月31日付けで国家公安委員会に対し提起された審査請求に関し、審理の状況について報告が行われ、同審査請求を棄却する裁決を行った。

(3)監察の取扱い事案について

警察庁から、「和歌山県警察の巡査が、1月18日、警察署において、証拠品として保管中の現金を窃取したとして、窃盗罪で通常逮捕された事案に関し、同県警察は、同月30日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、国家公安委員会の了承が得られれば、監督責任として、警視正の上司を本部長注意の措置とする予定である。」旨の説明がなされ、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を原案どおり了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

警察庁から、1月26日に行われた衆議院予算委員会等における質疑の状況について報告がなされた。

(2)平成15年中における犯罪被害給付制度の運用状況について

警察庁から、平成15年中における犯罪被害者等給付金の申請及び裁定・決定状況等について報告がなされた。

(3)監察の取扱い事案について

警察庁から、「香川県警察の巡査長が、平成15年12月3日及び4日に、インターネットを利用して、わいせつ画像を不特定多数の者に閲覧させたとして、わいせつ図画公然陳列で通常逮捕された事案に関し、同県警察は、平成16年1月30日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、上司1名を本部長注意の措置とする予定である。」旨の報告がなされた。

(4)平成15年中における生活経済事犯の取締状況について

警察庁から、平成15年中のヤミ金融事犯の検挙数が556事件と前年の検挙数(238事件)の2倍を上回ったこと等、平成15年中における生活経済事犯の取締状況について報告がなされた。

(5)平成15年中における薬物情勢について

警察庁から、平成15年中の覚せい剤の押収量が前年と比べ増加したほか、MDMA等錠剤型合成麻薬の押収量や大麻事犯の検挙人員・大麻樹脂の押収量が過去最高を記録したこと等、平成15年中における薬物情勢について報告がなされた。

委員長より、本件に関連して、都立高校の生徒が校内で合成麻薬MDMAを他の生徒に売り渡していた事件に関し、「報道では、この生徒が薬物に関するテレビ番組を見て興味を抱き、六本木のクラブで外国人等から購入したとのことであるが、警察として、このような実態を把握し、何らかの対策をとっているのか。」旨、質問があり、警察庁より、「警視庁においては、昨年来、MDMAの乱用パーティが行われている等の情報に基づき、その現場である店舗での摘発やその周辺での少年の補導活動の強化等を行っているところである。また、当該事件の検挙を契機として更なる実態の解明に努めてまいりたい。」旨、説明した。

委員より、「MDMAの流行にかねてから懸念を持っている。本件事件後の学校側の説明会に保護者が10%程度しか参加しなかったという報道がなされていたが、これが事実ならば誠に嘆かわしい。MDMAの密輸事件の場合には、密輸元の国に対し日本での捜査情報を伝えて、密輸ルートの取締りを依頼するというような国際捜査協力は行われていないのか。」旨、質問があり、警察庁より、「2月3日からアジア・太平洋薬物取締会議(ADEC)が開催されるが、同会議では、国を越えた共同オペーレーションに加え、MDMA等の薬物への対処の仕方が検討される。また、科学警察研究所では現在、押収されたMDMAから製造国等が特定できないかについて研究を進めているところである。御趣旨に沿って協力の強化に努めていきたい。」旨、説明した。

(6)岸和田市における中学生男子虐待による殺人未遂事件について(大阪府警察)

警察庁から、「大阪府警察は、1月25日、大阪府岸和田市における中学生男子に対する虐待による殺人未遂罪で、被害者の実父及びその内妻を逮捕した。」旨の報告がなされた。

(7)息子等親族を装い現金を騙し取る広域多額詐欺(オレオレ詐欺)事件について

警察庁から、平成15年中のいわゆる「オレオレ詐欺事件」の認知及び検挙状況並びにこの種事案への対策について報告がなされた。

(8)通信傍受法第29条に基づく平成15年における通信傍受に関する国会への年次報告について

警察庁から、平成15年中の通信傍受の実施状況等について報告がなされた。

(9)「道路交通法改正試案」に対する意見の募集の結果について

警察庁から、昨年12月27日から本年1月23日までの間に行われた「道路交通法改正試案」に対する意見の募集の結果について報告がなされた。

委員より、「今回道路交通法を改正して、高速道路一般について二人乗り禁止規制を見直すこと自体には反対ではない。ただし、首都高速のような安全性が危惧されるところは、法施行により全面的に解除した後、事故が発生してから、都道府県公安委員会が再び規制を行うのではなく、法施行時にそのような危険な箇所が規制解除から除外されることが担保されるように法律上明らかにする必要がある。例えば、政令で指定する道路又は道路の部分については規制の見直しの例外とすることができる旨の規定を法律の中に設けることが適当ではないかと思われる。」旨、発言があった。

警察庁より、「委員御指摘のような政令で規制を解除しない路線を明らかにすることについては、具体的な路線・区間を定める技術的な問題に加え、結局は、高速道路の実態を把握している都道府県の判断に基づかなければ政令を定めることができないという実務的な問題がある。そこで、現行の道路交通法の体系に照らし考えてみた場合、これまでの国家公安委員会での議論やそこで示された懸念等を踏まえて、例えば、問題の首都高速等については、国家公安委員会から、同法第110条第2項の規定に基づき、都道府県公安委員会に対し、首都高速等の一定部分については法施行時も規制を解除せず規制措置を継続するように指示を出していただくという方法も考えられるし、国家公安委員会からの警察庁に対する指示を踏まえて、警察庁から警視庁等に対し、そのような規制措置をとるべきことを指導することも考えられる。警察庁としては、国家公安委員会からの指示に基づき都道府県警察に対し指導を行うという方法をとらせていただきたいと考えるがどうか。」旨、発言があった。

委員より、「首都高速以外の高速道路で、首都高速と同じように安全面が危惧されるところはどのように対処するのか。」旨、質問があり、警察庁より、「法の施行に当たっては、各都道府県から、その地域の高速道路の実態について十分に意見を聴取した上で、適切な安全対策を実施してまいりたい。」旨、説明した。

委員より、「現在の法改正の内容では、高速道路における自動二輪車の二人乗りが例外なく全面解除されるようになっているが、実際は都道府県公安委員会の判断で、法の施行に際し、特定の箇所では規制を解除せずに規制措置を継続することもあり得るということであるならば、この点について事前に対外的に明らかにする必要があると思われる。また、今回のパブリックコメントで寄せられた、本件規制の見直しについての反対意見に対する警察庁の考え方は、説得的な理由にはなっておらず、了承しかねる。」旨、発言があった。

委員より、「高速道路における自動二輪車の二人乗り禁止規制の見直しについて、規制を緩和すべきとの考え方や今回のパブリックコメントの賛成意見はよく理解できる。しかし、自動二輪車が転倒した際に、後続の車両が巻き込まれて危険だという懸念は消えない。平成15年中は、交通事故死者数は減少したとはいえ、交通事故発生件数は約95万件と史上最高となっているほか、高齢者の運転が増えていること、暴走族の実態も平成15年中は参加人員約13万6千人、参加車両約7万5千台であることなどを考えると、一般車両等に対し注意を促す広報啓発活動だけでは十分とは言えない。平成15年5月に内閣府が実施した世論調査で本件規制見直しについて国民の約77%が不安感を持ち賛成できないと言っている。議員立法で行うよりも政府提出法案の形の方が責任を明確にする意味では良いと考え直したが、本件規制の見直しについての国民の懸念に対して、警察が事故の予防に全力を尽くすことを更に考えてもらいたい。」旨、発言があった。

委員より、「転倒事故の際、巻き込まれて危険だという懸念に賛同することから、今回の道路交通法の改正のうち、高速道路における二人乗り禁止規制の見直しの部分だけを除外して法案を国会に提出するということはできないのか。」旨、質問があり、警察庁より、「同法の改正項目のこれまでの経緯はそれぞれ異なるものの、同じ法律の改正であるならば、特段の事情がない限り、一括して国会に提出するのが通例である。」旨、説明した。

委員長より、「本件規制の見直しに当たっては、自動二輪車が事故を起こした際、後続の車両も巻き込まれることが懸念の一つとなっているが、特に事故が発生しやすいカーブ等では、スピードを落とさざるを得ないように、道路の路面上に何らかの工夫を施すことにより、自動二輪車の事故の発生自体を防止することも考えられるのではないか。」旨、発言があった。

委員より、「警察庁側で示された方法により、私の抱く懸念はカバーできると思われるが、法施行時に本件規制の見直しの例外を認めることを法律上どのように規定するのかという問題は残る。」旨、発言があった。

委員より、「本件規制の見直しについては、基本的には、その例外を認めることで賛同するが、首都高速以外の高速道路をどうするのかという部分についてもっと明らかにしてもらいたい。」旨、発言があった。

委員より、「本件規制の見直しについての国家公安委員会としての最終的な判断は、来週の会議の場にしていただきたい。それまでに、パブリックコメントで寄せられた反対意見に対する警察庁の考え方をもう少し説得的なものとしていただくとともに、警察庁側の提案についても十分検討することとしたい。」旨、発言があった。

警察庁より、「今回のパブリックコメントの結果については、来週の国家公安委員会における議論を経て公表させていただくこととし、それまでに、本日の議論を踏まえ、警察庁の考え方について修文をさせていただきたい。また、本件規制の見直しの在り方について、先に申し上げたような方向で御理解いただけるかどうか御検討いただきたい。」旨、説明した。

10)平成15年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について

警察庁から、若者の死者が減り、交通事故死者に占める高齢者の割合が初めて4割を超えたこと、取締総件数が約1,141万件と前年と比べ増加(2.7%増)したこと等、平成15年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について報告がなされた。

11)平成15年中における暴走族対策の結果について

警察庁から、暴走族の構成員数、い集・走行回数及び110番通報件数等が前年と比べ減少したこと等、平成15年中における暴走族対策の結果について報告がなされた。

12)自衛隊のイラク派遣をめぐる動向と警察措置について

警察庁から、自衛隊のイラク派遣をめぐる国内外の反対・抗議動向、テロ等違法行為の未然防止を図るための警備諸対策の推進状況及び警戒強化状況について報告がなされた。

13)情報セキュリティ技術セミナーの開催結果について

警察庁から、1月26日に開催された情報セキュリティ技術セミナーの開催結果について報告がなされた。

3 その他

(1)警察庁から、1月27日に東京地方裁判所において言渡しがあった、警視庁警察官によるけん銃発砲に係る国家賠償請求訴訟判決の概要等について報告がなされた。

委員より、「かつて国家公安委員会で、『警察官等けん銃使用及び取扱い規範』について議論がなされ、その改正がなされたわけだが、この改正『規範』の正当性については裁判でも堂々と主張してもらいたい。」旨、発言があった。

委員より、「本判決に関する報道により、一般の警察官が、犯人が背を向けて逃走している場合には、一律にけん銃を使用してはいけないと誤解し、現場の職務遂行が萎縮することのないように対処してもらいたい。」旨、発言があった。

(2)警察庁から、北海道警察における窃盗事件に係る誤認逮捕事案の概要及び警察庁における対応等について報告がなされた。

(3)警察庁から、イラクにおける日本人外交官殺害事件の捜査状況について報告がなされた。また、「2月4日から5日までの間、オーストラリアとインドネシアとの共催で、テロ対策閣僚会議がバリ島で開催される予定であり、警察庁からは次長が出席する。参加国は、ASEANの加盟各国、中国、韓国、イギリス、アメリカ、フランス、ロシア等であり、アジア太平洋地域におけるテロの脅威と地域対応や法執行機関の相互協力等について話し合う予定である。」旨の報告がなされた。