定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成16年5月27日(木)
午前10時~午後1時
第2 出席者 小野委員長、渡邊、荻野、安崎、川口、大森各委員
長官、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長、総括審議官、首席監察官、政策評価・情報公開企画官
第3 議事の概要
1 議題事項
(1)地方警務官の人事異動について
官房長から、「6月1日付けをはじめとする地方警務官7名の人事異動について発令していただきたい。」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。
(2)現行警察法施行50周年記念式典の開催について
官房長から、「本年7月26日、グランドアーク半蔵門において、現行警察法施行50周年記念式典を開催することとしたい。」旨の説明がなされ、了承した。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を原案どおり了承した。
2 報告事項
(1)警察庁長官に対する開示請求の措置について
政策評価・情報公開企画官から、5月25日までの間に警察庁長官等に対してなされた開示請求の状況、当該請求に係る開示決定等の概要(平成10年度捜査費証拠書類及び捜査費現金出納簿に係る開示請求事案を含む。)について報告がなされた。
大森委員より、「捜査費証拠書類等の部分開示決定の理由として、対象勢力から危害を加えられるおそれがあるという点が挙げられているが、すべての捜査が対象勢力に係るものではないのではないか。」旨、質問があり、政策評価・情報公開企画官より、「不開示部分ごとに一つ一つ不開示とする理由を具体的に記載すると、不開示とした部分にどのような情報が記載されているのかが分かってしまうので、このような記載としている。配付資料の不開示理由の記載では、開示決定通知書の理由のうち、代表的な一つの例示として『対象勢力から警察職員及び協力者に対し危害が加えられるおそれがあり、以後、協力者からの情報収集活動に支障を及ぼすおそれがある』ことを挙げ、その他の理由については『など』という形で記載しているものである。」旨、説明した。
(2)国会の状況について
官房長から、5月26日の衆議院内閣委員会で道路交通法の一部を改正する法律案の提案理由説明が行われたこと及び同法律案の今後の審議予定、5月21日の参議院内閣委員会での当庁に対する質疑の状況等について報告がなされた。
(3)監察の取扱い事案について
首席監察官から、「秋田県警察の巡査部長が、3月、インターネットの出会い系サイトで知り合った少女に現金を供与し、青森市内のホテルでわいせつな行為をし、5月13日、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反で青森県警察に逮捕された事案に関し、秋田県警察は、5月28日、同巡査部長を懲戒免職の処分にした。」旨の報告がなされた。
(4)知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の改訂に伴うインターネット・オークション等における模倣品・海賊版対策の強化について
生活安全局長から、「知的財産戦略本部において、本日、『知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画』の改訂が行われる。今回改訂される推進計画で求められている方策を実施するため、警察庁は、インターネット・オークション事業者に対して古物営業法に基づく努力義務の徹底等について働きかけを行うなどすることとしている。」旨の報告がなされた。
(5)人身取引事犯への取組みについて
生活安全局長から、近年、重大な人権侵害であるとして国際的にも大きな問題とされている、女性、児童の搾取を目的とした人身取引事犯(トラフィッキング)の現状、警察の取組み等について報告がなされた。
安崎委員より、「本年2月にこの委員会の会議の場で、米国の係官が『日本の人身売買事案への取組みが不十分である』旨の発言をしている報道について質問した記憶がある。外国と日本の犯罪組織が送り出す側と受け入れる側になり、相互に連絡あるいは関与しているのであれば、取締りの重点はそこに向けられるべきである。必要ならば法律改正も含め検討して取締りを急ぐべきだと考える。日本での関心が低いのは恥ずべき状態であると思う。」旨、発言があった。
渡邊委員より、「本件に関し、まず、人身取引事犯に係る国内法の整備ができていないという点が問題である。また、本件事犯の被害者として発見されても、不法滞在であれば被疑者となってしまうという点も問題であり、厚生労働省の婦人相談所をきちんと活用するという運用と、そのための手続の確立が重要である。さらに、関係国の在京大使館では本件に関する日本側の対応に不満が多いとも聞く。その意味では、先に説明のあった関係国の大使館等とコンタクトポイントを設けるというのは非常に良いことだと思う。この件に関し一番心配なのは、日本が、暴力団が背後に絡んでいるという事実、そしてこのような性の取引に非常に寛大な国であると国際的にみなされることである。」旨、発言があり、生活安全局長より、「警察としては、日本の受け入れ側のブローカーを中心に重点的に取締りを行っていきたいと考えている。個々の事案では、その内容に応じ、刑法犯や特別法犯の適用も視野に入れ、積極的な摘発に努めてまいりたい。」旨、説明した。
委員長より、「トラフィッキングは、現地での送り出し、その引率、日本での受け入れという一連の行為があって初めて成り立つものであることから、送り出す側の国も含めた総合的な対策が必要である。」旨、発言があり、生活安全局長より、「警察庁では、関係国の在京大使館等とコンタクトポイントを設けており、被害者を保護した場合には、そこと連絡を取り、本国に通報してもらうこととしている。我が国としては、日本での受け入れ側のブローカーあるいは引率してくる者の取締りを重点的に行っているところであり、送り出す側のブローカーの捜査についてはその国の捜査機関に委ねることとなる。」旨、説明した。
(6)身近な知能犯罪の抑止対策の強化について
刑事局長から、「近時、いわゆる『オレオレ詐欺』等、国民の身近で発生する知能犯罪が増加しているため、5月26日付けで通達を発出し、都道府県警察に対し、抑止対策の強化を指示した。」旨の報告がなされた。
安崎委員より、「警察が発表する最近の犯罪統計は、治安の悪化を強調し過ぎであるとの論調を時々見かける。私自身は、5年前、10年前に比べて体感治安は悪化していると実感するが、このような批判に正面から答え、統計の取り方、発表の仕方について、事実を理解できるような区分・分析を手間をかけずに工夫できないものだろうか。例えば、自転車盗やオートバイ盗で被害届を提出後、それが発見され本人の手に戻っても犯人が分からなければ未検挙に入るとのことだが、このような場合は、解決に準ずるものとして区分して発表すると実態が分かりやすくなるような気がするがどうか。」旨、発言があり、刑事局長より、「被害回復という点については、犯罪統計とは別に、現実に被害者に還付された数字を集計している。」旨、説明した。
川口委員より、犯罪統計に関し、「現在ある犯罪統計については、都道府県ごとや地域ごと等にグループ分けをして分析をするということがなされていないようだがどうか。そうした分析をしないと、犯罪の背後にどういう因果関係や因子があるのか分からないと思う。」旨、発言があり、生活安全局長より、「街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策では、各都道府県警察が街頭犯罪等抑止計画を策定するに当たり、警察署あるいは交番ごとにその管内の治安情勢を分析し、取締りの対象とする地域や罪種を決定するなど、当該地域の状況や罪種に応じた対策を講じているところである。」旨、説明し、さらに、長官より、「委員御指摘の統計分析については、警察庁においても全国供用を目的としてシステムを作り、それに基づき、現在いくつかの県警察で試験的な運用が始まった段階であり、これが全国的に運用されるようになるにはもう少し時間がかかるものと思われる。」旨、説明した。
(7)指定暴力団の名称等の変更について
刑事局長から、「指定暴力団・四代目共政会の名称及び代表する者の変更があった旨、広島県公安委員会から報告がなされた。なお、5月31日付けの官報によりその旨公示される予定である。」旨の報告がなされた。
(8)暴走族取締強化期間の実施について
交通局長から、「暴走行為が本格化する夏期を控え、暴走族の各種不法事案の抑止を図るため、6月中、暴走族取締強化期間を実施することとした。」旨の報告がなされた。
(9)アル・カーイダ関係者に関連する一斉強制捜査について
警備局長から、「5月26日、新潟県警察及び群馬県警察は、アル・カーイダ関係者リオネル・デュモンに関する不法入国事件等2事件に関し、同人の元稼働先等の捜索を行ったほか、警視庁、神奈川県警察及び群馬県警察は、同人の足跡を追っていく過程で判明した不法残留事件等6事件に関し、5名を逮捕し、関係先等の捜索を行った。」旨の報告がなされた。
渡邊委員より、「アル・カーイダ関係者リオネル・デュモンが敢行したとしてICPO手配されている犯罪歴はすべてテロリストとして行われたものなのか。アル・カーイダという組織の性格との関係で承知したい。」旨、「本件捜査に関し、新聞には事前に捜索する旨の記事が掲載されていたが、どういう経緯でそうなったのか。」旨、それぞれ質問があり、警備局長より、「御質問の犯罪歴に関しては、アル・カーイダという組織の性格も含めて今後解明すべきことと考えている。」旨、「具体的な経緯は分からないが、捜査情報が事前に漏れるということはあってはならないことであり、残念である。」旨、説明した。
荻野委員より、「現在の国際テロ情勢を考えた場合、現行の通信傍受法をテロ対策にも使えるように検討すべきではないかと思うがどうか。」旨、発言があり、警備局長より、「今後、通信傍受法の適用罪名を見直されるような場合には、テロ対策も重要なものになるのではないかと思われる。」旨、説明した。
委員長より、「テロ対策としては、水際対策が非常に重要であるが、この点に関し、警察と入国管理局等関係機関との検討はどの程度進んでいるのか。真剣に検討し短期間で結論を出すことが求められていると思われる。」旨、質問があり、警備局長より、「入国管理局とはこれまでも連携し、水際対策に当たってきている。具体的には、警察の保有するテロリストのリストや盗難旅券のデータを提供するなどしているところである。今後は、テロリストを水際で阻止する方策として、指紋その他のバイオメトリクス技術を活用した方法についても関係機関と検討してまいりたい。」旨、説明した。
(10)都道府県危機管理担当部局等との連携について
警備局長から、都道府県における危機管理体制の構築状況及び各種施策の推進状況、警察と都道府県危機管理担当部局等との連携等について報告がなされた。
3 その他
(1)官房長から、会計文書の廃棄事案に関し、「警察庁から平成10年度の会計文書の保存継続を求める指示・連絡をした本年3月24日以前の会計文書の亡失・廃棄事案については現在調査中であり、調査結果がまとまり次第、報告したい。」旨の報告がなされた。
また、「先週の国家公安委員会で、警察庁から同指示・連絡をした以降に該当文書を廃棄した部局は、10部局16所属である旨報告したが、同日、青森県の大間警察署でも廃棄事案が判明、その結果、10部局17所属となった。」旨、さらに、「先週の委員会で、廃棄されている会計文書の中で旅行命令簿が多いのではないかということについて御指摘を受けたが、この点について調査したところ、旅行命令簿だけを廃棄したというわけではなく、他の保存期限が満了した文書とともに廃棄されていたというのが実態である。これは、会計担当者が日常、旅行命令簿を頻繁に参照して仕事を進めることが多いため、他の会計文書とは別に自分の手元に置いて使用しており、他の文書と一緒に廃棄する原因となったのではないかと考えられる。」旨の報告がなされた。
(2)官房長から、先週の国家公安委員会で、川口委員より質問のあった「外国公務員の腐敗対策」に関し、国連腐敗防止条約の批准をめぐる国内法の整備状況等について報告がなされた。
(3)交通局長から、先週の同委員会で、荻野委員より発言があったシートベルトを着用しないとエンジンがかからない自動車に関し、シートベルト着用に係る警察庁の考え方等について報告がなされた。
(4)警備局長から、先日の同委員会で、安崎委員より発言のあったアラビア語等に通じた警察官の育成に関し、警察庁等による警察官に対するアラビア語教養の現状、今後のイスラム専門家の育成方策等について報告がなされた。
(5)総括審議官から、「先般、自由民主党は、新宿歌舞伎町を日本一安全で賑わいのある街とするため、治安回復と街の品格向上による都市再生を盛り込んだ『歌舞伎町刷新プラン』を提言したが、大変有意義な試みであることから、警察としても、関係機関や地域住民の方々と協力しながら、対策を推進してまいりたい。」旨の報告がなされた。
大森委員より、「このような取組みがもっと早く着手されるべきであったとも思うが、その成果を大いに期待している。」旨、発言があった。
(6)委員長より、「先日、ロシアマフィアが麻薬であるMDMAを北海道の海上に投棄する方法で日本の暴力団と取り引きしているという内容の報道があったが、警察としてどのような対応を考えているのか。」旨、質問があり、刑事局長より、「報道の詳細は把握していないが、警察としては、この種事案への対応として従来、海上保安庁、税関等関係機関と緊密に連携し、各種情報交換や現場のオペレーション等を行い、一定の成果を上げてきているところである。」旨、説明した。
(7)生活安全局長から、クラブ等におけるMDMA乱用防止対策について、「本年に入り、少年がクラブ等においてMDMAを入手して乱用した事件を検挙したところであるが、少年による乱用防止を図るため、クラブ等に対する立ち入り等の実施、同種店舗を背景とした事件の検挙の他、乱用防止啓発ビデオの制作、非行防止教室プログラムの作成等の対策を推進している。」旨の報告がなされた。
(8)荻野委員から、5月24日に中国管区内公安委員会連絡会議(広島県)に出席した結果について、「ある県の公安委員の方から、会計経理に関する問題や東京国際空港における侵入事件など全国的にも重要な問題については、国の対応等を適宜把握したいので情報の提供をお願いたい旨の意見があった。これは、都道府県公安委員会の活動が活性化している一つの現れであると思われ、各都道府県公安委員会が国の重要施策を把握できるよう、警察庁としても十分配慮していただきたい。」旨、発言があり、警備局長より、「警察庁では既に、4月28日に発生した東京国際空港における侵入事件を踏まえ、国土交通省と確認した事項等について空港を管轄する都道府県警察に通達を発出しているところである。」旨、説明した。
また、「報告では、広島県では、公共事業からの暴力団排除に取り組んでおり、市町村単位の公共事業については排除することができたものの、国のレベルの公共事業については、関係者の理解がなかなか得られず排除するに至っていないとのことである。国に対しこうした暴力団排除を働きかけるルートの確立が必要であると感じた。」旨、発言があり、長官より、「御指摘の点については、一応の仕組みは作られているが、地方における実情を確認の上、後日報告したい。」旨、説明した。
(9)安崎委員より、5月21日に四国管区内公安委員会連絡会議(香川県)に出席した結果について、「ちょうど、東京国際空港で警察と国土交通省のテロ警備対策の合同訓練の当日であったが、高松空港の警備の現状を見せてもらった。東京国際空港での訓練と経験を踏まえ、地方の空港も『対岸の火事に非ず』との認識が生まれ、対策が実行されればよいと思う。協議の場では、不正経理問題について対話を行った。私からは5月6日の会議録における自分の見解を説明し、今後の会計監査の誠実な実行とその報告に期待していることを申し上げた。また、南海大地震が起きると、高知県では8~12メートルの津波が時速160キロメートルで押し寄せ、最悪の場合、6,200人の死者が出る懸念があるというシミュレーションについて報告があり、驚いた。さらに、増員と大量退職を補充するための警察官の採用について、ペーパーテストを重視し過ぎる現在のやり方では、体力、気力、志に乏しい警察官が増えてくるのではないかとの意見を伺った。私自身も同様の懸念を有していたので議論が弾んだが、国家公安委員会としても、新人の採用、教養の在り方について更に委員間で議論を詰めた上で、具体的に警察庁と検討を進めてはどうかと考える。」旨の報告がなされた。