定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成16年7月8日(木)

午前10時後045分

第2 出席者 小野委員長、渡邊、荻野、安崎、川口、大森各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長、首席監察官

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整備について

官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項に関し、新法の制定により設けられた新たな手続等に係る専決区分の整備について説明がなされ、原案どおり承認の決定をした。

安崎委員より、「本件専決区分の整備自体に異議はないが、これに関連して、かねてから疑問に思っていることについて伺いたい。というのは、専決区分の中間ないしは枠外の部分について、あるいは警察の職務と関連する法制度の不備・不足を補う法律の改正及び新設などについて、国家公安委員会でもう少し議論してもよいのではないかと考えているが、そのような議論は実益がない、あるいは大綱方針から逸脱した個別具体的な問題であり、当委員会での議論にはなじまないということになるのかということである。本日報告のあった違法カジノについても、違法カジノを無条件で合法化することは問題外だろうが、違法カジノが地下に潜って更に悪質化する前に、例えば、日本で不人気な観光クルージングにおいて、『合法カジノ』の特区の実験をしてみるというのはどうか。現在、カジノの合法化に向けて議員立法が検討されていると聞くが、法制化等される前に当委員会でこの問題を検討することには意味があるのではないのか。ぱちんこの景品のごとく建前と実態の離れたものよりもすっきりした『合法カジノ』は、警察が積極的に管理に関与できれば認められてもよいかもしれない。この他にも組織犯罪を繰り返すだけの勢力が、結社の自由の名の下に合法的な存在であり続けることに多くの国民は納得していないのではないのか。また、薬物が社会にもたらす害悪や捜査の困難性等を考えると、麻薬及び向精神薬取締法等の定める刑罰は軽過ぎないのか。他省庁の所管の問題もあろうが、こうした問題について、警察庁や国家公安委員会がイニシアティブをとって議論を進めることは、権限外のことに首を突っ込むことになるのかどうか。」旨、発言があり、長官より、「警察法における警察の責務あるいは任務に関わる事柄について、国家公安委員会で議論するのは当然のことである。もっとも、ある施策を実現するに当たり別に主務官庁があるとすれば、その限りで所管を外れることはある。御指摘の『合法カジノ』については、風俗関係事犯の取締り、暴力団対策、少年非行対策等、警察の責務に関わる問題があり、それらの観点から、あるべき姿や問題点等について論ずるのは必要なことである。」旨、説明した。

大森委員より、「カジノの取締りは、刑法の賭博罪の規定に基づくが、刑法の改正となると、その所管は法務省となる。しかし、一定の行政施策の観点から、合法化されたカジノの経営について一定の規制をするとなれば、それはまた別問題であり、それをどこの官庁が担当するかは、省庁間の所掌事務の切り分けの問題になると思われる。」旨、発言があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「警視庁において、会計文書を誤廃棄するなどした事案に関し、警察庁長官は、警視庁総務部長を懲戒手続に付する必要があると認め、本日7月8日、国家公安委員会にその旨の申立てを行う。」旨の説明がなされ、その結果、国家公安委員会において懲戒審査会に対し審査を要求する旨決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「広島県警察及び岡山県警察における会計文書の廃棄事案について、国家公安委員会の了承が得られれば、7月9日、広島県警察は警務部首席監察官を本部長注意の措置とし、岡山県警察は警務部長を本部長訓戒の措置とする予定である。」旨の説明がなされ、原案どおり了承した。

渡邊委員より、「岡山県警察の事案のうち一部のものについては、3月24日に警察庁から行われた当該会計文書の保存継続を指示する連絡が電話ではなく文書により行われていれば、発生しなかったのではないか。」旨、質問があり、官房長より、「警察庁から全国3000を超えるすべての所属に文書を流す仕組みはできていない。また、当時当該会計文書の保存期限が3月末に迫っていたこともあり、文書ではなく電話で指示連絡を行ったものである。一般には電話で連絡をする場合には、その内容を文書の形にして必要箇所に伝達し、受けた方も文書(メモ)を作るのが通例である。もっとも、連絡後、それが行き渡ったことの確認を行っていなかったという反省点はある。」旨、説明した。

大森委員より、「広島県警察の事案に関し、これは国家公安委員会の権限ではないが、本部広報課等における文書の廃棄を容認し、又は惹起したという総務部会計監査官については、その職責からみて戒告という処分は少し軽いのではないかと思う。」旨、発言があった。

(4)盲導犬の訓練を目的とする法人の指定及び公示について

交通局長から、道路交通法施行令第8条第2項の規定により、盲導犬の訓練を目的とする法人として、社会福祉法人兵庫盲導犬協会を指定し、公示すること等について説明がなされ、原案どおり決定した。

委員長より、「盲導犬の数について、諸外国では万単位であるのに、日本では千にも満たないというのは、育成の在り方に問題があるのか、それとも費用の問題なのか。」旨、質問があり、交通局長より、「双方の要因があると思われる。盲導犬の育成はなかなか難しく、費用もかかるとのことである。もっとも、最近では、盲導犬のほか、介助犬も出てくるなど、一般の関心は高まってきており、今後もっと増える可能性はある。」旨、説明した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を原案どおり了承した。

2 報告事項

(1)予算執行検討委員会の開催状況について

官房長から、「北海道警察では、7月13日の北海道議会においてこれまでの調査状況を報告する予定であるが、報告を予定している調査結果の概要は次のとおりである。

旭川中央警察署における平成10年度から15年度分の予算執行に関し、平成10年度から12年度の捜査用報償費等については不適正な執行が認められたが、平成13年度から15年度の捜査用報償費等については、一部に手続の誤りによる支出関係書類の作成はあったものの、現段階では不適正な執行は認められなかった。また、旅費については現在調査を継続しているほか、交際費及び食糧費については、現段階では慣行的・組織的な不正執行は認められなかった。

北見方面本部警備課において平成15年の会計検査に際し領収書の差し替え等が行われていた事案に関し、差し替えられた領収書は当初3枚とのことであったが、その後の調査で6枚であることが判明している。また、同課では、平成14年4月から15年6月ころまで間、不適正な予算執行が認められたことから、今後調査を継続する。」旨の報告がなされた。

また、「福岡県警察では、7月13日の福岡県議会においてこれまでの調査状況を報告する予定であるが、報告を予定している調査結果の概要は次のとおりである。

銃器対策課以外の本部の13所属において、平成8年度から12年度まで、各所属に毎月交付されていた捜査費及び捜査報償費の一定金額が基本経費として会計課に留保されていた。また、平成10年度及び11年度の捜査報償費の一部並びに平成8年度及び9年度の基本経費について、現在金額について精査中であるが、今後、福岡県に返還する予定である。」旨の報告がなされた。

さらに、京都府警察における旅費の流用疑惑に関し、「6月30日現在、所属として旅費振込み用の個人口座を一括管理しているところはないが、警察本部の係や班単位、警察署の課や係単位で一括管理しているところが9所属16係あった。一括管理に当たっては本人の同意を得ているとのことであるが、今後、事実関係を検証していきたいとの報告を受けている。」旨の報告がなされた。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「熊本県警察の巡査が、熊本市内の路上等において、女性にわいせつな行為をしたとして、6月22日、通常逮捕された事案に関し、同県警察は、7月13日、同人を、懲戒免職処分とする予定である。」旨の報告がなされた。 

(3)違法カジノバーの現状について

生活安全局長から、バカラ賭博等を行う違法カジノバーに関し、取締りの現状等について報告がなされた。

安崎委員より、「違法カジノという表現が報告では使われていたが、現行刑法の下で、『合法カジノバー』というものは開業できるのか。」旨、質問があり、生活安全局長より、「カジノ等の賭博については、現在刑法で禁止しているが、特別法でカジノバーのようなものも認めるということになれば、それは可能である。」旨、説明した。

大森委員より、「国会議員のグループがカジノを認めるように関係省庁に働き掛けを行っているようだが、その動きは現在どのようになっているのか。」旨、質問があり、生活安全局長より、「国際観光業としてカジノを考える議員連盟」のカジノ合法化に向けた最近の動き等について説明するとともに、「公共の安全と秩序の維持を責務とする警察としては、善良な風俗への影響、青少年の健全育成への影響、暴力団等の反社会的団体の関与等の観点から、こうした動きには関心をもってしっかり対応していきたいと考えている。」旨、説明した。

(4)不正アクセスにより入手した情報を利用した架空請求に係る詐欺事件の検挙について

生活安全局長から、「鹿児島県警察は、不正アクセスにより入手した情報を利用して、架空請求メールを送信した事案に関し、出会い系サイト運営者ら5名を、不正アクセス禁止法違反及び詐欺罪で逮捕した。」旨の報告がなされた。  

(5)「道路交通法施行令改正試案」に対する意見の募集について

交通局長から、「道路交通法施行令の一部を改正する政令案を策定するに当たり、7月9日から8月9日までの間、「道路交通法施行令改正試案」を公表し、広く意見を募集することとした。」旨の報告がなされた。

(6)天皇皇后両陛下の地方事情御視察(岐阜県)に伴う警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、7月13日、地方事情御視察のため、岐阜県へ行幸啓になる。本行幸啓に関して、関係警察で警衛警備を実施する。」旨の報告がなされた。

(7)皇太子殿下の「第40回献血運動推進全国大会」御臨席等(大分県)に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、7月14日から16日までの間、「第40回献血運動推進全国大会」御臨席等のため、大分県へ行啓になる。本行啓に関して、関係警察で警衛警備を実施する。」旨の報告がなされた。

(8)警察庁長官狙撃事件等被疑者の逮捕について

警備局長から、「警視庁は、平成7年3月30日に東京都荒川区内で発生した警察庁長官狙撃事件に関し、本年7月7日、元オウム真理教信者3名を殺人未遂罪で逮捕するとともに、同日、平成7年3月19日に東京都杉並区内で発生した爆弾事件に関し、元オウム真理教信者1名を爆発物取締罰則違反で逮捕した。」旨の報告がなされた。

大森委員より、「懸案の事案について一歩前進したことは、治安の観点からも組織の威信の観点からも非常に望ましい展開であり、9年3か月にわたる努力のひとつの成果であると思う。ただ、今後の捜査に関しては、あとに問題を残さないように着実かつ慎重に真相解明への努力を続けていただきたい。」旨、発言があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、7月6日に首相官邸で開催された人身取引対策に関する関係省庁連絡会議の状況等について報告がなされた。

渡邊委員より、「本会議では、人身売買を取り締まる法制度の整備についてどのような議論があったのか。」旨、質問があり、生活安全局長より、「法務省では、『国連国際組織犯罪防止条約補足人身取引議定書』の要請を踏まえ、次期通常国会に所要の法律を提出することを目標として、現在関係省庁と協力しながら検討を進めているとのことである。」旨、説明した。

(2)警備局長から、北朝鮮拉致被害者である曽我ひとみさんとその家族のインドネシアにおける再会とこれに対する警察の対応等について報告がなされた。

(3)渡邊委員より、7月2日に東京都内で開催された全国公安委員会連絡会議に関し、「特に会計経理の問題については非常に活発な議論がなされ、よかったと思う。以前、国家公安委員会で、都道府県公安委員会の中でも、実際にこの問題に取り組んでいるところとそれ以外のところとでは若干の温度差があるように感じられる旨述べたが、今回の会議の結果、これはよそ事ではないとの意識を相当多くの方が持たれたのではないかと思う。」旨、発言があった。

(4)川口委員より、「兵庫県警察自動車警ら隊による組織的な捜査書類の偽造事件等に関連し、現場では検挙率や検挙件数を上げるために不適正な捜査が行われていることがあるのではないかとの疑念の声を最近耳にした。検挙率のアップ等を組織の目標として掲げると、組織の一番下にいる現場の人達にすべての負担がかかり、なんとか目標を達成しようとして無理をしてしまうこともあり得ると思う。統計上の数字が良くなったとしても、その背後で現場の人達が実際にどういうことを行っているのかということを直属の上司等がしっかり把握することが大切であると思う。」旨、発言があり、刑事局長より、「一般の方々にそうした疑念を抱かれることのないよう、今後とも捜査の適正の確保に引き続き努力してまいりたい。」旨、説明した。