定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成17年6月9日(木)
午前10時~午後0時15分
第2 出席者 村田委員長、安崎、川口、大森、佐藤、吉田各委員
長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長
首席監察官
第3 議事の概要
会議の冒頭、委員長より、6月8日の夕刻から夜間にかけて行った神奈川県警察視察の概要(歓楽街総合対策の実施状況、黄金町周辺徒歩視察等)について報告があった。
1 議題事項
(1)中野会の指定の確認について
刑事局長から、「大阪府公安委員会から受理した中野会に関する指定暴力団としての確認請求について、暴力団対策法第6条に基づく確認をし、同公安委員会に通知することとしたい」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。
(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、6月3日に行われた衆議院内閣委員会の状況、今後の国会予定等について報告がなされた。
(2)G8司法・内務閣僚会合の開催について
官房長から、「6月16日から17日にかけて、英国のシェフィールド市でG8司法・内務閣僚会合が開催されるが、警察庁からは、警察庁次長が出席する予定である」旨の報告がなされた。
(3)地域警察を中心とした精強な第一線警察の構築について
官房長から、「治安対策の推進と国民の信頼確保のため、地域警察を中心とした精強な第一線警察を構築するための諸施策を推進するよう通達を発出するとともに、全国警察本部長会議でその内容について指示する予定である」旨の報告がなされた。
大森委員より、「本施策の前提事情として、警察官の職務執行を取り巻く環境が悪化し、警察官職務執行法の運用が困難になっている状況もあるようだが、確かにそのような面もあると思う。しかし、それは同法が定める職務質問に関する要件等からすれば当然予定されるところでもある。昭和30年代に警職法の改正が頓挫して以来、同法の改正はタブー視されているが、現在、今のような要件では到底警察が任務を果たすことができない、という状況があるのであれば、警職法を改正し、要件を緩和することも考えるべきではないのか」旨、発言し、官房長より、「現段階ではそのようなことは考えていない。まずは、本施策を強力に推進し、警察官一人ひとりのマンパワーを高めることが重要である」旨、説明があった。
大森委員より、「警職法の運用面の工夫だけでは、現在の治安情勢に対応できなくなってきているのではないのか。また、当時とは、社会情勢も随分変わってきていると思う」旨、発言し、長官より、「警職法の改正が長い間タブー視されてきた面があることは確かである。御指摘のとおり、社会情勢は大きく変わってきており、改正の必要性があるか否かを考えていきたい」旨、説明があった。
大森委員より、「警察官が職務質問で相手方に名前を尋ねても個人情報を盾に答えないという例もあるようだが、職務質問と個人情報保護法との関係について、考え方を第一線の警察官に示すべきではないのか」旨、発言し、官房長より、「今後とも職務執行の法的根拠についてはしっかり教養してまいりたい」旨、説明があった。
川口委員より、「初任科の学生に対し、職務質問の仕方について、どのように教育しているのか。また、警察学校卒業後の最初の配置は交番なのか。そこで一人で勤務させることもあるのか」旨、質問し、官房長より、「職務質問については、非常に重要な活動であることから、十分な時間を取り、ロールプレイング方式による実戦的な教養も行っている。また、学校卒業後は、地域警察官として交番等に配置されることとなるが、大都市圏では、状況により、複数で職務質問を行うなどの工夫はしている」旨、説明があった。
川口委員より、「職務質問の際、相手方と口論になっても、警察側に正当性があることを何らかの形できちんと示せるように教育すべきではないのか」旨、発言し、長官より、「その点は警察学校や職場で十分教育しており、あとは本人に実践のための経験と度胸がいかに備わるかである。そのためには現場の指導者の存在が重要となるが、現実には、最も働き盛りの30才台から40才台の指導者が少ないという年齢構成上の問題がある。このような点も含めて本施策により改善していきたいと考えている」旨、説明があった。
(4)予算執行検討委員会の開催状況について
官房長から、北海道警察における補足調査結果に伴う新規処分者に関し、「元釧路方面本部運転免許課長を、在任中、管理監督の徹底を欠き、旅費の不適正執行事案を惹起したことから、減給100分の10・1月の処分とする予定である」旨の報告がなされた。
官房長から、「北海道知事は、北海道監査委員の確認的監査結果報告を受け、北海道が被った損害額は2億4,045万5,079円と判断し、6月3日、北海道警察本部長に対し、北海道警察が特別調査結果に基づき既に道に返還した額(2億0,270万3,289円)の補正を要請した。これを受け、北海道警は、同日、既返還額との差額約3,775万円に利息を付して今月中に返還することを、北海道公安委員会の了解を得た上、知事に回答した。
また、北海道公安委員会は、6月8日、予算執行調査委員会の特別調査等に対する点検結果と北海道公安委員会としての意見をまとめ、北海道警察本部長に通知したが、その意見の概要は次のとおりである。不適正な予算執行が行われたことは、道民の警察に対する信用を著しく失墜させるものであり、極めて遺憾である。北海道警において示した監察事項の問題点と改善方策の着実な推進に努め、適正かつ透明性が確保された予算執行に一層の努力を払う必要がある。そこで、北海道警に必要な対応を求める事項として、適正かつ効果的な予算執行制度確立のための措置、予算のあり方についての検討、予算執行に関する教養の実施、内部牽制制度の一層の充実、監査の実効性を高めるための措置、予算、執行状況及び監査についての報告等8項目を挙げている。
さらに、北海道公安委員会は、再発防止と適正かつ効果的な予算執行の改善等を検証するため、必要に応じ、北海道警察改革委員会への出席、警察職員との面談、監査状況の実地調査等を実施し、北海道警察の予算執行面につき更にきめ細かな指導と助言を行い、管理に万全を期する、としている」旨の報告がなされた。
官房長から、「6月7日、参議院決算委員会において『警察における捜査費等の不正流用疑惑』についての審査措置要求決議及び警告決議がなされ、6月8日、参議院本会議において内閣に対する警告が議決された」旨の報告がなされた。
官房長から、「本年1月に愛媛県警察生活安全部地域課の巡査部長が記者会見を行い、愛媛県警において不適正な会計経理が行われていた旨述べたと報道されたことから、愛媛県警では調査を実施していたが、同巡査部長及び関係者247人(死亡・病気等により聴取が不可能であった者57人を除く)からの聞き取り及び関係する文書の確認を行った結果は、次のとおりである。なお、警察庁では明日の衆議院内閣委員会に報告する予定であり、同日、愛媛県警では記者会見を行い、発表する予定である。
まず、偽領収書の作成依頼やカラ出張等が行われていたとの事実は確認されなかった。鉄道警察隊における警乗旅費の支給については、平成16年度の警乗旅費の支給について、鉄道警察隊活動日誌に長距離警乗に従事した記載があるにもかかわらず旅行命令簿に記載がなく、結果として旅費が支給されていないものや、長距離警乗の行き先地の記載誤り等の不備が5件認められた。これ以外については、平成15年以前の鉄道警察隊活動日誌は既に保存期間を満了し廃棄されているため、これと旅行命令簿との突き合わせによる確認はできなかったが、現在保存されている関係文書を確認した限りにおいては、鉄道警察隊における警乗旅費の支給に不適正な点はなかったと認められた。飲酒運転検挙に対する報奨金交付の有無については、昭和61年に愛媛県下で飲酒運転による死亡事故が急増したことを背景に、当時の署長の方針等により、一部の警察署において、飲酒運転を検挙した際、署長からの表彰として千円が交通課長を通じて交付されていたことが認められた。また、これらの表彰は、県費の報償費から支出されていたが、いずれも開始後数ヶ月で廃止されたものと認められた。JR業務証明書を使用する一方で乗車料金分の旅費を請求していた事実は確認されなかった。
なお、愛媛県知事からの要求による監査結果報告において疑義があると指摘された13事案35件の捜査報償費の執行状況について、引き続き調査を進めている」旨の報告がなされた。
安崎委員より、「参議院決算委員会の内閣に対する警告決議については重く受け止める。特に警察刷新会議後の平成13年以降、今日に至る現在も根治していない問題として全国レベルで再発防止に努めなければならないと思う。北海道の関係では、北海道公安委員会が本件に正面から取り組み、真剣に対応されたことに敬意を表したい。また、北海道の犯罪統計等を見る限り、本件のために懸念された警察官の士気の低下や警察機能の弱体化には至っていない。北海道警察本部長以下の警察職員が本来業務に精励してこられたものと評価できる。不祥事などのマイナス面のニュースは大々的に報道されるが、立て直しの仕事をきちんとやったことはあまり報道されない。国会や北海道議会等の場で、適正な評価や報道が行われるとよいと願っている」旨、発言し、官房長より、「御指摘の点については、今後、答弁の機会等があれば、反映させてまいりたい。また、警告決議については、明日の全国警察本部長会議で指示したい」旨、説明があった。
大森委員より、「安崎委員の発言に同感である。北海道公安委員会が事案の解明に払われた努力に対し敬意を表するとともに、その成果を高く評価したい。報告のあった6月8日の北海道公安委員会の意見については、各県の公安委員会に送付すれば非常に参考になるのではないかと思う」旨、発言し、官房長より、「そのように対処したい」旨、説明があった。
佐藤委員より、「北海道公安委員会の本件に対する取組み、北海道警察の本来業務への精励についての安崎委員及び大森委員の発言に賛同する。その点を申し上げた上で、北海道公安委員会の意見を読ませていただいた印象であるが、これを実行するための執務体制や支援体制をどうするかが、一番重要だと思うので、この点を把握しておきたい」旨、発言し、長官より、「その点については、北海道警察がこの北海道公安委員会の意見に基づいてどのように対応するか、ということにかかってくるものと思う」旨、官房長より、「警察改革の後、北海道を含め各都道府県の公安委員会の補佐体制はかなり充実している。しかし、必要であれば、内部の努力でさらに強化することは十分可能である」旨、それぞれ説明があった。
委員長より、「支援体制に関しては、最後は定員の問題に結びつくが、都道府県の公安委員会の事務局のスタッフに、例えば、県の知事部局の職員を当てる、ということは可能なのか」旨、質問し、長官より、「公安委員会の補佐に当たる職員については、警察業務に精通した者であることが必要であるため、知事部局の職員を直接これに当てることは適当でないと思う。しかし、都道府県警察職員により補佐体制を強化した結果、人員が不足することとなった分野について知事部局から職員を出してもらい、それを補う、ということであれば、検討の余地はあるのではないかと思われる」旨、説明があった。
(5)監察の取扱い事案について
首席監察官から、「北海道警察の警部補が、平成16年7月、札幌市内のホテルにおいて、女性を姦淫しようとしたとして、本年5月23日逮捕された事案に関し、同警察は、6月10日、同警部補を懲戒免職の処分にする予定である」旨の報告がなされた。
(6)出会い系サイトに係る広告宣伝メール無差別大量送信事犯の検挙について
生活安全局長から、「京都府警察は、出会い系サイトに係る広告宣伝メールを無差別かつ大量に送信した同サイトの経営者を、5月16日、有線電気通信法違反(有線電気通信の妨害)により、全国で初めて検挙した」旨の報告がなされた。
(7)偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な取引からの預貯金者の保護等に関する法律案要綱(与党案)について
刑事局長から、与党においてとりまとめられた「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律案要綱」に関し、その経緯と概要等について報告がなされた。
川口委員より、「預貯金者の保護のため、金融機関が補てんするとなると、金融機関には大きな負担となるのではないか」旨、発言し、刑事局長より、「そのような意見もあるが、金融機関が負担することにより、今の状況を改善しようとする力は強くなると考えている。また、金融機関におけるシステムの改善も進むと思われる。ただ、警察としては、新たな制度を悪用する事案には十分留意してまいりたい」旨、説明があった。
川口委員より、「お金やパスポート等様々なものが偽造されているが、偽造防止技術の開発について関係機関が協力するということはないのか。また、偽造防止のための統一的なマニュアルのようなものを作るといった工夫はないのか」旨、発言し、長官より、「e-Japan戦略推進のため、政府として、セキュリティの関係については既に検討に入っている」旨、情報通信局長より、「一般論ではあるが、技術的には一つの基準を作ると、それに攻撃が集中するおそれもあり、考慮する必要がある」旨、それぞれ説明があった。
(8)チャイルドシートの使用状況について
交通局長から、4月20日から30日までの間、警察庁と日本自動車連盟(JAF)が合同で実施した、チャイルドシートの使用状況に関する全国調査の結果について報告がなされた。
(9)外国人登録証明書等偽造組織の一斉摘発について
警備局長から、「埼玉県警察、愛知県警察、千葉県警察は、東京都内に所在する外国人登録証明書等の偽造工場をそれぞれ摘発し、5月31日、既に入管法違反等で逮捕していた中国人6人を有印公文書偽造罪で再逮捕した」旨の報告がなされた。
安崎委員より、「本事案の摘発に対する警察の努力を評価したい。高度の技術を有する外国人の受入れは増やす一方、不法滞在者は減らす必要がある。本事案を見ても、偽造された外国人登録証明書等に支払われる対価は決して小さくなく、かつ需要も多い。偽造の問題については、当分の間、技術的な面でシーソーゲームが続くと思われる。IC化など偽造が不可能となるような努力を継続してもらいたい」旨、発言し、警備局長より、「外国人登録証明書の場合は、かつては指紋押捺を義務付けており、指紋は偽造が困難で、本人確認にも有効な手段であったが、現在は廃止されている。最近では、バイオメトリクスを中心に偽造防止のための技術は進んでいる一方、こうした方法を採らずして偽造対策を行うのは難しい状況にある。外国人登録証明書のIC化については、入国手続等を簡素化できるというインセンティブを与えることにより、任意に指紋情報を登載してもらう、という考えも出されているようである」旨、説明があった。
安崎委員より、本件に関連し、「指紋や虹彩等の生体情報をパスポートに登載する偽造防止対策は進んでいるのか」旨、質問し、警備局長より、「パスポートに関しては、外務省が今国会に旅券法の一部改正案を提出しているが、顔画像で本人確認をしようという方式であり、指紋や虹彩によるものではない」旨、説明があった。
安崎委員より、「パスポートについては、その発行や所持を希望するすべての日本国籍保有者に対し、国内外を問わず、指紋等の生体情報の登載を発行条件とすることを思い切って考えてもよい時期に来ていると思う。これだけ相互に海外旅行が多くなった時代に、日本だけ過去の経緯にとらわれて、パスポートへの生体情報の登載が遅れると、一般国民の海外での不利益が増大するおそれが大きい」旨、発言した。
佐藤委員より、「最近では、金融機関のキャッシュカードにも本人確認方法として生体認証が使われ始めていることを考えると、今説明があった外務省の改正案は変化している要請に十分対応するものではないのではないかと思う。むしろ、指紋が外国で自己を立証する上で役立つという面も出てきたのではないかと思われる」旨、発言した。
吉田委員より、安崎、佐藤両委員の発言に賛同する旨の発言があった。
3 その他
(1)2005年米国務省トラフィッキング報告について生活安全局長が話題にしたところ、安崎委員より、「トラフィッキングの問題が表面化してからの警察の行動と関係省庁との協議は素早く適切であった。ただ、この報告書の最後に『日本政府は、国内の人身取引に対する需要を削減するための著しい努力を行っていない』との記載があるが、こうしたことを担当する主務官庁がないように思えるが、その点が心配である」旨、質問し、生活安全局長より、「本件に関しては、内閣官房が中心とした関係省庁連絡会議において対応を協議してきている。警察庁では、今国会に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正案を提出しているが、この中で、風俗営業者等が外国人を雇用するに当たり、就労資格を確認することを義務付けており、これにより、雇用側の需要削減という効果は期待できるのではないかと考えている」旨、説明があった。