定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成18年12月28日(木)

午前1000分午後0時05分

第2 出席者 溝手委員長、川口、大森、佐藤、吉田、葛西各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

組織犯罪対策部長、首席監察官

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)次期通常国会提出予定法律案件名要旨等について

官房長から、次期通常国会に提出する予定の法律案として、提出確定のもの2法案、検討中のもの1法案を登録すること及び地方自治法に基づき全国知事会等に対してこれら3法案の概要等を通知することについて説明がなされ、原案どおり決定した。

(2)道路交通法施行規則の一部改正について

交通局長から、パーキング・メーターの保守管理等の事務を公益法人以外の法人一般に広く委託することを可能とすることを内容とする道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案について説明がなされ、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)平成19年度警察庁予算(案)の概要について

官房長から、平成19年度警察庁予算(案)の概要について報告がなされた。

(2)中国公安部との協議(第3回)の開催結果について

官房長から、「12月18日、都内において、警察庁と中国公安部との3回目の協議を行い、薬物・銃器事犯、サイバー犯罪、不法出入国事犯等に関する情報交換等を行った」旨の報告がなされた。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「神奈川県警察の巡査長が、7月7日、当番勤務中に管内住民宅に制服で侵入し、現金7万2,000円以上を窃取した事案に関し、同県警察は、12月26日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら5名を戒告等とした」旨、「神奈川県警察の巡査部長が、4月から9月までの間、不適切な交際をしていた女性の所在確認等の目的で、虚偽の捜査関係事項照会書35通を作成・行使するなどした事案に関し、同県警察は、12月26日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら5名を戒告等とした」旨及び「埼玉県警察の巡査長が、11月8日、群馬県太田市内の郵便局において現金を強取し、11月15日、懲戒免職となった事案に関し、同県警察は、12月27日、監督責任として、上司ら3名を戒告等とした」旨の報告がなされた。

)平成18年(1月~11月)の110番通報の概要等について

生活安全局長から、平成18年は11月末現在で、約835万件(前年同期比2.2%減少)の110番を受理したこと等について報告がなされた。

)薬物乱用対策推進本部の策定による薬物乱用防止新五か年戦略の一部改正について

刑事局長から、「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)対策の一層の推進を図るため、薬物乱用対策推進本部が平成15年7月に策定した『薬物乱用防止新五か年戦略』中の『いわゆる「脱法ドラッグ」』との表記を『違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)』と改めるなどの一部改正を行う予定である」旨の報告がなされた。

川口委員より、「これまで『脱法ドラッグ』と表記されていたものを『違法ドラッグ』と改めるとのことであるが、脱法ドラッグ以外のMDMA等はそのまま名称が表記されているため、表記されているMDMA等はかねてから違法ドラッグであるにもかかわらず、これらは違法ドラッグでないようにも読み取れる。違法ドラッグという場合のカテゴリーに何か変化があったのか」旨、質問し、刑事局長から、「MDMA等は、麻薬及び向精神薬取締法等で規制された違法ドラッグであることには何ら変わりはない。これまで脱法ドラッグと呼ばれていたものについては、芳香剤、脱臭剤等と称して薬事法違反から逃れる形で販売されるなどしていたため、本年6月、薬事法を改正して、現に乱用されるなどしている幻覚等の作用を有する一定の物質を『指定薬物』として法令で明示するとともに、その製造、輸入、販売等を原則禁止し、違法ドラッグであることを明確にしたところである」旨、説明があった。

川口委員より、「これまで脱法ドラッグと称していたものを含めてすべて違法ドラッグであるならば、違法ドラッグの概念として、また国民が誤解しない記載として、『MDMA等錠剤型合成麻薬や大麻、あるいは違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)等』ではなく、『MDMA等錠剤型合成麻薬や大麻、その他の違法ドラッグ等』と記載すべきではないのか」旨、発言し、刑事局長から、「記載の表現として委員ご指摘の点もあるかもしれないが、ここに記載のある『違法ドラッグ』というのはこれまで脱法ドラッグと呼んでいたものを指すことを明らかにするため、『違法ドラッグ』の後に『(いわゆる脱法ドラッグ)』と記載し、誤解を招かないようにしている」旨、説明があった。

)「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について

交通局長から、「道交法改正案を策定するに当たり、12月29日から来月28日までの間、平成18年『道路交通法改正試案』を一般に公表し、意見の募集を行うこととした」旨の報告がなされた。

大森委員より、「改正試案によれば、あらかじめ車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗した場合、運転者が酒酔い運転の場合には3年以下の懲役、運転者が酒気帯び運転の場合には2年以下の懲役という重い刑罰を科すこととし、このように単に同乗するだけで3年以下又は2年以下の可罰的違法性があると評価する理由として、『同乗者は、飲酒運転を容認することで運転者の意を強め、また運転者と行動を共にしているという点で運転者と同様の悪質性がある』旨、『参考』の箇所で記載されている。まず、処罰対象行為とその理由がそもそも整合していないだけでなく、可罰的違法性があるとする理由には問題がある。本日の定例委員会開催前の公安委員のみのミーティングにおける意見交換では、他の委員においても、問題があるという意見が強かった。昨日、警察庁の担当者から今回の改正試案について説明を受けた際、担当者から『改正案は、酒気を帯びていることを知りながら同乗したということだけを構成要件として刑罰を科すものではない。構成要件の具体的な内容は現在議論している』旨の説明があったが、どのような行為をどのような趣旨で処罰の対象にしようとしているのかについて、納得できるような説明が得られなかった。警察庁が、酒気を帯びていることを知りながら同乗しただけでも3年以下又は2年以下の懲役に値すると評価しているということを表明すること自体に問題があるのではないかということを強く感じた。私の考えとしては、同乗することにより飲酒運転を助長することとなった一定の場合には、酒酔い運転の場合には3年以下の懲役、酒気帯び運転の場合には2年以下の懲役という限定を付した上でパブリックコメントを実施すべきではないか。現在の改正試案の内容でパブリックコメントを実施した場合、同乗するだけで3年以下又は2年以下の懲役に値すると警察庁は評価していると国民は理解し、刑罰が重すぎるとして反対意見が続出するか、あるいは国民が困惑して何の理解もないままに反対や賛成の意見を寄せることになって、本来のパブリックコメントの趣旨を十分に実現し得ないということになりかねない」旨、発言し、交通局長から、「改正試案をまとめるに至った考え方について若干申し上げたい。同乗する行為は助長罪のような行為であろうと捉え、この行為を現行法で見た場合、強いて言えば意を強めるということで飲酒運転の幇助で捉えるべきではないかという議論と飲酒運転の共謀共同正犯のようなものではないかという議論があったが、結局、同乗者は結果的に飲酒運転を助長しており、行動を共にして意を通じ、また運行利益を受けているので、共同共謀正犯を彷彿させるような悪質性があるのではないかと捉え、可罰的違法性があると評価するに至ったものである。同乗するに至るまでの事情としては、一緒に酒を飲んでその後同乗させてもらう、飲酒の場は一緒ではなかったが運転者に頼んで拾ってもらい同乗させてもらうということが多く想定されるが、同乗するまでに至る事情は様々であり、今回の改正試案に書き出したものは、少なくとも運転者が酒気を帯びていることを知って運行利益を得たという共通的な最低限の要件である。このような中、この要件以外の様々な事情というものは、情状によって懲役3年以下又は2年以下の範囲の中で量刑を軽くされたりする場合があり得るが、やはり要件をもっと絞るべきではないかという意見もあるため、その場合にはどのような構成要件にすべきかについて検討中である。国民からいろいろな意見が寄せられると思うので、これらを踏まえながら、もう少し構成要件を整理していく中で、構成要件と量刑の両面についてご指導いただきたいと思う」旨、説明があった。

佐藤委員より、「交通局長の発言を聞いていると、現在の改正試案の内容を変えずにパブリックコメントを行いたいようであるが、警察庁がパブリックコメントを求めるのであれば、内容を国民が分かりやすいものにすることが大事であり、特に、先ほどの説明にもあったように構成要件等について警察庁内部においてすらいろいろな意見があるのならば、その点を国民が分かるように説明した内容でパブリックコメントを求めるべきではないかと考える。運転手の飲酒を承知の上で同乗することに違法性を認めようとすること自体には反対しないが、国民に意見を求める以上は、国民が問題のポイントを理解して意見を出せるように文案を考え直して欲しいというのが、公安委員の一致した意見だと理解している」旨、発言があった。

大森委員より、「交通局長の説明を聞いていると、運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗するだけで、同乗者を3年以下又は2年以下の懲役に科すのではなく、さらに何らかの限定を付す必要があるという考えのようなので、交通局長がそのように判断するのであれば、今回の改正試案の段階から、『他に何か限定要件を付け加えた構成要件を設定し、そのような行為に対して上限3年あるいは2年の懲役が相当と考えている』ことを明示すべきであって、共通の要素だけ示して懲役3年以下又は2年以下の懲役という今回の改正試案の内容では誤解を招いてしまう。法案提出の直前のパブリックコメントなので、『特に大きな異論がなければこのような内容の法案を提出します』というある程度検討して詰まった段階のものを公表するのが通例ではないのか。なお、交通局長の説明では、運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗しただけで、同乗者を3年以下又は2年以下の懲役に科すという選択肢もあり得るようであるが、単純同乗行為に可罰的違法性を認めることは相当でないと私は思う」旨、発言があった。

葛西委員より、「常識的に見て、運転者が酒を飲んでいることを知りながら同乗したという行為そのものが犯罪行為であるというのは、少し飛躍があり過ぎるような気がする。『運転しろ』と言ったなどのことがあれば、多少なりとも可罰的違法性があると思う」旨、発言があった。

長官から、「現在、運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗しただけで、同乗者を3年以下又は2年以下の懲役に科すこととするのか、それともさらに何らかの条件を付すこととするのかについて検討中である。この点を踏まえると、委員ご指摘のとおり、今回の改正試案は、運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗しただけで3年以下又は2年以下の懲役に科すこととし、さらに何らかの条件が付されるとは思えない内容になっているため、国民に対して現在の検討状況や改正案の方向性が分かりにくいものとなっている。現在の検討状況等が国民に理解できるように、『参考』に何らかの説明を加えるなどの修正をさせていただきたい」旨、交通局長から、「委員のご指摘を踏まえ、『参考』の箇所に、『同乗しただけでも処罰の対象とするか、そうでない場合にはどのような追加的な要件を必要とするか、今後、検討してまいります』旨の文章を追加することとさせていただきたい」旨、説明があった。

大森委員より、「『参考』には、運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗するだけでも運転者と同様の悪質性があるという記載があり、この認識自体に問題があるので、本来、このような記載を含めて『参考』の部分を書き直すべきであると思うが、パブリックコメントを早急に実施しなければならないという時間の制約上、当面交通局長から説明のあった修正案で良しとしたい」旨、発言があった。

)IC免許証の発行開始について

交通局長から、「偽変造防止、プライバシーの保護等を図るため、来月4日から、警視庁等の5都県においてICチップが埋め込まれた運転免許証の発行が開始され、今後、平成20年度末までに全国で発行される予定である」旨の報告がなされた。

)安倍総理大臣の伊勢神宮参拝に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍総理大臣は、来月4日、伊勢神宮参拝のため三重県を訪問する予定である。本訪問に伴い、警視庁、愛知県警察及び三重県警察では、警護警備を実施する」旨の報告がなされた。

(9)安倍総理大臣の欧州諸国訪問及び東アジア・サミット等出席に伴う警護警備について

警備局長から、「安倍総理大臣は、来月9日から15日までの間、欧州諸国訪問及び東アジア・サミット等出席のため、イギリス、ドイツ、ベルギー、フランス及びフィリピンを訪問する予定である。本訪問に伴い、警視庁では警護警備を実施する」旨の報告がなされた。

10)警察情報通信セミナー及びICPOワークショップについて

情報通信局長から、「開発途上国の法執行機関における情報通信技術の活用の促進等を目的として、来月10日から26日までの間、独立行政法人国際協力機構との共催により、都内等において、14か国から14名の関係職員を招へいした警察情報通信セミナー等を開催する」旨の報告がなされた。

3 その他

(1)官房長から、元栃木県警察官による発言を受けた栃木県警察の調査結果に関し、「栃木県警察は、12月27日、元警察官が、市民団体主催のシンポジウム等において、県警の不適正経理及び交通違反もみ消しについて発言したことを受け、当時の関係職員から詳細な聞き取りを行うなど、必要な調査を実施した結果、同人が主張するような不適正経理及び交通違反もみ消しの事実は認められなかったことから、栃木県公安委員会に報告するとともに、その旨を公表したところである」旨の報告がなされた。

(2)官房長から、日韓刑事共助条約批准書交換式の開催に関し、「日韓刑事共助条約については、平成18年5月に我が国国会の承認を得、韓国における条約批准に必要な国内手続きの完了を待っていたところ、12月、韓国国会において承認され、昨日、飯倉公館にて批准書の交換が行われた。同条約は、来年1月26日に発効する予定である」旨の報告がなされた。

(3)生活安全局長から、12月21日開催の国家公安委員会において報告のなされた「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」最終報告書(案)に関し、確定した最終報告書との内容の差異について報告がなされた。

(4)交通局長から、自動車等のナンバープレート表示義務、ナンバープレートへの赤外線吸収・反射物の取付け等の規制内容等について報告がなされた。