定例委員会の開催状況
第1 日 時 平成18年2月2日(木)
午前10時00分~午前11時50分
第2 出席者 沓掛委員長、安崎、川口、大森、佐藤、吉田各委員
長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長
首席監察官
第3 議事の概要
1 議題事項
(1)人事案件について
官房長から、「2月13日付け地方警務官7名の人事異動について発令していただきたい」旨の説明がなされ、原案どおり決定した。
(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、1月26日に行われた衆議院予算委員会等の状況について報告がなされた。
(2)監察の取扱い事案について
首席監察官から、「警視庁の巡査長が、平成17年6月、児童買春したとして、平成18年1月20日、通常逮捕された事案に関し、同庁は、1月31日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司の警察署長を警視総監訓戒の措置とした」旨の報告がなされた。
(3)平成17年の懲戒処分者数について
首席監察官から、平成17年の全国警察職員の懲戒処分者数は、合計341人で、その内訳は、懲戒免職40人、停職52人、減給113人、戒告136人であることなど、平成17年の懲戒処分の状況について報告がなされた。
(4)遺失物行政の在り方に関する提言について
生活安全局長から、遺失物の取扱いをめぐる諸問題に関して検討を重ねてきた「遺失物行政研究会」からの「遺失物行政の在り方に関する提言」の内容について報告がなされた。
(5)第11回アジア・太平洋薬物取締会議(ADEC-11)の開催について
刑事局長から、「2月7日から10日までの間、都内において、28か国、2地域、2国際機関から約120名の参加を得て、薬物取締り及び捜査協力に関する討議等を目的とした『第11回アジア・太平洋薬物取締会議』を開催する」旨の報告がなされた。
(6)事前旅客情報システム(APIS)の運用状況について
刑事局長から、平成17年1月に運用を開始した事前旅客情報システム(APIS)の効果的な活用により、平成17年中、指名手配被疑者等合計17人を検挙したことなど、同システムの運用状況について報告がなされた。
(7)高齢運転者に対する認知機能検査の開発のための委員会の設置について
交通局長から、「警察庁では、高齢運転者の認知機能の状況を簡易に把握するための検査手法(認知機能検査)を開発するため、専門家からなる委員会を設置して検討することとした」旨の報告がなされた。
安崎委員より、「認知機能の低下した高齢運転者は、本人が健全だった時に比べて、思わざる衝突や避け損ないの交通事故で被害者にも加害者にもなり得ると考えられる。交通事故の現場調査では、当事者が高齢の場合、一般的にこのような運転技能の状況について見分は行われないのか。また、警察とは無関係の福祉の現場で軽度の認知症と判定された高齢者の運転免許証は、通常返上されることにはなっていないのか」旨、質問し、交通局長から、「1点目の見分については、例えば、高速道路を逆行したというような非常に特異な状況があれば、御家族から健康状況を聞いて認知機能の状況を確認しているが、軽微な『うっかり』というような事故であれば、詳細な調査をしていないと思う。2点目の運転免許証の返納の関係であるが、介護関係の機関から認知症患者についての情報を得ておらず、また医療機関からも認知症患者についての通報が来ないため、介護機関等において認知症と判定・診断されたことをもって、運転免許証を返納してもらうという仕組みはないが、病院の医師が診断の結果を見て運転免許証を返納するよう指導する場合がある。参考として高齢運転者の運転免許証の更新等の状況を申し上げると、例えば70歳から74歳の年齢層で見た場合、亡くなられた方を含めて免許の更新に来られない方は17%で、残り83%が免許証の更新に来られている。認知症の方は、この17%の免許の更新に来られないグループに含まれるかと思われるが、83%の免許の更新を受けるグループにも含まれ得る。認知機能検査が開発されると、この83%の中から認知症の方が判明してくるということになる」旨、説明があった。
安崎委員より、「認知症は、加齢により一定の比率で誰にでも起こり得る不幸な病気であろうから、運転免許証の回収や更新の停止をどうするのかについて、認知の機能検査の方法の開発と並行して方針を検討しておく必要があるのではなかろうか」旨、発言があった。
大森委員より、「高齢運転者の認知症に関しては、免許の拒否や取消しという法制度が整備されているが、認知症の高齢運転者の把握という点では、かねてから議論されてきているにもかかわらず、その具体的な施策を講じて来なかった。今回、認知機能を検査するための手法を検討しようとしたのは、医学的な検査手法に何か顕著な進展があったためか。また、病院での綿密な検査ではなく、簡易な方法で実用に耐え得るような検査手法が確立できるという見込みがあったためか」旨、質問し、交通局長から、「昨年、今年と検査手法に顕著な進展は特にない。2点目の検査手法の確立の見込みであるが、その前に、若干活用の考え方について説明すると、従来からCDRという評価手法が確立しており、全ての方にこの評価を受けていただくことは大変なので、簡易な予備的検査を開発し、これを交通行政で活用し、検査の結果、認知症の疑いがある方については病院等で本格的な検査を受けていただくことを考えている。また、認知機能の軽度の低下であれば、それに応じた適切な措置を講じれば低下を防止できるので、高齢運転者講習に来られた方に検査していただき、必要に応じて専門機関で適切な処置を受けて、少しでも長い期間安全運転をしていただければと思っている。見込みの点については、事前に委員会のメンバーから意見を聞いて、全日本交通安全協会の協力も得ながら実際に検査を実施したところであり、検査手法として用いることが可能であろうということで、委員会を立ち上げることとしたものである」旨、説明があった。
大森委員より、「委員会での研究成果が出た場合、免許行政のどのような場面で活用することになるのか」旨、質問し、交通局長から、「現在、高齢者講習の中で、運転の適性検査を行っているが、その検査の一つとして実施しようと考えている。ただ、全員を対象とするかどうか、あるいは高齢者講習の検査項目に追加するだけであれば、現行制度のままで構わないが、一定の検査結果が出た場合に何らかの制度的効果を与えるとなると、別途、検討しなければならないと考えている」旨、説明があった。
大森委員より、「委員会での研究成果が出て、ある程度の法改正につなげるとなると、いろいろな面で、相当な議論がなされることになると思う。高齢運転者の認知機能に関し、具体的な対策を講じていこうということは遅きに失するぐらいではあるが、大いに期待している」旨、発言があった。
川口委員より、「介護保険制度は別の省庁の問題であるが、同制度では、一人一人の能力等を調べて要介護認定がなされている。要介護者は運転することはないので問題はないと思うものの、要介護認定から漏れたような境界線上の方々が運転に関し問題になってくるかもしれない。警察の方からこのような方を直接今回のような検査の対象にすることはできないが、介護行政と免許に関する今回のような行政とは重なり合っている部分があるので、介護認定を行う人から認定を受けようとする方々に車の運転等に関し指導してもらうなどの連携の在り方についても検討してはどうかと思う。また家族等の周りの方が高齢者の認知機能の低下をよく分かっているはずなので、『車の運転をしない方が良い』等と注意できるような社会になって欲しいと思う」旨、発言し、交通局長から、「委員会では、認知機能検査等の技術的な検討になるが、委員ご指摘の重なり合っている部分については、これからよく見ていき、今後の施策の中で検討していきたい」旨、説明があった。
川口委員より、「高齢運転者の認知機能の低下が問題になっていることを国民がもっと知ることが大事だと思うので、委員会での検討の前提となる『こういう方はこういう危険がある』、『こういう人はこういう検査をする必要がある』等の客観的なデータ等を、国民がよく分かるような形で公表したらどうか」旨、発言し、交通局長から、「委員会の設置について公表することとしているので、高齢運転者の認知機能の低下という問題が報道されるであろうし、検査手法が開発されれば、マスコミ等に対して、検査手法の概要を含め、高齢運転者の認知機能に関する問題等に関し詳しく説明することとしたい」旨、説明があった。
(8)極左暴力集団をめぐる動向について
警備局長から、極左暴力集団をめぐる動向について報告がなされた。
3 その他
(1)委員長から、平成17年12月に女子児童殺害事件が発生した栃木県への出張に関し、「先日、栃木県へ行き、ボランティア関係の方々と懇談し、また事件現場付近を視察したので、感じたことを若干申し上げたい。同県に行き、ボランティア関係の方々とお話をさせていただいたが、宇都宮市内のある小学校に関しては、ボランティアが父兄等と一緒に、全学校区内を週2回程度、車での巡回パトロールを実施して、子供達に注意を呼び掛けており、またボランティア活動への参加意欲を持ってもらうという意味で会費を募っているとのことであった。これらのことはいろいろな面で大変なことだとは思うが、非常に効果があるのではないかと思う。しかし、パトロールに使用する車の買い換えに苦労しているとのことであったので、この点を今後の参考にしていただければと思う。また、事件現場である通学路を見に行ったが、被害児童は、ほとんど人家のないひっそりとした林の中の道を一人で帰宅途中、被害に遭ったとのことであった。以前は、街中を通る別の通学路であったが、交通事故を気にしてのことか、現在の通学路になったとのことであった。通学路を検討する際、交通事故から子供を守るという観点も大切であるが、今回の事件を踏まえ、今後は、学校と警察が連携を図りながら、防犯の観点からも見ていくことが大切ではないかと思う。最後になったが、警察本部長以下が事件の解決に向けて一生懸命取り組んでおられ、御苦労されているので、警察庁も、いろいろな面で是非とも支援していただきたい」旨、発言があった。
(2)生活安全局長から、空気銃に該当しないエアソフトガンのうち、人に傷害を与えるおそれのあるものについて、一定の場合を除き、所持を禁止すること等を内容とする銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の検討状況について報告がなされた。
佐藤委員より、「エアガンの規制を良い方向で検討していただいていると思う。国民の安全を第一に考えるということが重要であり、地方議会からも国家公安委員会に対し、エアガンの規制を望む要望書が多数来ているので、是非この方向で進めていただきたい」旨、発言があった。
(3)生活安全局長から、平成17年の刑法犯認知・検挙状況について報告がなされた。
(4)吉田委員より、1月30日から31日にかけて熊本県公安委員会及び同県警察本部等を視察した結果に関し、「2点ほど感じたことを申し上げたい。1点目は、留置管理の関係であるが、署の留置担当者と話をした際、ベテランの担当者から、『留置人に対して、マニュアル化された言葉ではなく、自分の言葉で話をした時、その後、当人から感謝の手紙をもらうなど、非常に効果があって、留置業務の張り合いを感じた』との話があり、その状況を聞くと、暴力団との関係を断ち切るか否かで悩んでいた留置人に対して、『いつまでもそんな世界に生きるのではなく、おてんとう様の下で汗を流すような仕事をしてみろ』と諭したら、本人はその言葉で目が覚めたようで、現在、更生しつつあるとのことであった。やはり、自分の言葉というのは大事で、効果を生むことがあると感じた。2点目は、ボランティア活動に関してであるが、熊本県警と住民の結び付きがうまくいっていると感じた。少女殺害を機に盛り上がっているボランティア活動も徐々に先細りしていくのではないかと心配していたが、県警本部長、ボランティア関係者の方々から話を聞いて、熊本県では持続しそうな予感を感じた。熊本県では、ボランティア関係者に対して住民が感謝の言葉を述べたりして、ボランティア関係者も途中で止めることはできないという雰囲気になっており、また、ボランティア活動の盛り上がりの中で、高校生も、『ボランティア』をもじった『ボウハンティア』という言葉で参画して、一種の破れ窓理論の実践みたいな駅前の清掃を積極的に行っている。国家公安委員会としては、地方の実情を把握することも一つの役割であると思うので、引き続き、各地を視察していきたい」旨、報告があり、生活安全局長から、「ボランティア団体が急速に増加し、現在、約1万4,000団体ある。昨年11月に、そのうち、ホームページで公開しても良いとの連絡があった3千数百団体について、警察庁のホームページにボランティアサイトを設けて掲載し、さらにそのうちで効果的な活動をしている約100団体について、活動内容等を詳しく掲載している。私も、吉田委員と同様の認識を持っているが、警察の予想以上にボランティア活動は広まっており、例えば、青色灯パトカーの例を挙げてみても、昨年の11月末現在、全国で約3,700台で、現在も増加している状況にあり、警察としても、全国のボランティア活動の状況を的確に把握して、委員ご指摘のような適切な対応を図っていきたい。ボランティア団体に対する表彰に関してであるが、ボランティア団体の士気高揚を図って活動の流れを持続させるため、昨年の全国地域安全運動中央大会でも、地区防犯協会に加えてボランティア団体を表彰しており、また、昨年末の犯罪対策閣僚会議で決定したことであるが、今年から、ボランティア活動に貢献のあった個人・団体を内閣総理大臣が顕彰することとなっている。その他、警察としては、警察本部長による表彰はもちろんであるが、知事や市長が積極的にボランティア活動に貢献した個人・団体を表彰していただくよう働きかけていきたい」旨、官房長から、「留置業務は精神的にもかなりきつい業務であるため、留置に登用したら、その後、本人が希望する刑事等の内勤へ積極的に登用するなどして、士気の高揚を図っているが、一方で、若い留置担当者が短期間で入れ替わっていくこととなるため、今、ご指摘のあったようなベテランの留置担当者が留置業務の運営の中で重要な位置を占めている。実際に、一線の留置業務においては、あってはならないことではあるが、若い留置担当者が留置場内の暴力団関係者から脅されて不当な要求に応じてしまう事例もあることから、委員から説明があったようなベテランの留置担当者が増えてくることが理想である」旨、説明があった。